チリの世界遺産:ラパヌイ国立公園とイースター島

チリの世界遺産:ラパ・ヌイ国立公園(イースター島) 観光・旅行情報まとめ

世界遺産の歴史と登録の概要


チリ本土から約3700km西の沖合、南太平洋に浮かぶイースター島は1722年に発見された孤島。
イースターという名の“キリスト教の復活祭”の日に発見されたことからこの名前がついたが、1888年にチリ領になった時に付けられたスペイン語の名前はイスラ・デ・パスクアといい、現地の島民からはポリネシア系先住民の言葉で“広い大地”を意味するラパ・ヌイと呼ばれている。

この孤島にいつ誰がどうやって上陸したのか、はっきりしたことは何もわかっていない。
この島を世界的に有名にしているモアイ像は、10〜16世紀頃に盛んに造られたとされ、現在は約1000体のモアイ像と、アフと呼ばれる祭壇が島のあちこちに残されている。

モアイ像は立っているものや倒れているもの、製造途中のものなど様々だが、なぜモアイ像が大量に造られたのか、学者による調査が進められているが、その多くは現在も謎に包まれている。

謎が解明されない理由として、先住民はロンゴロンゴという独自の文字を用いていたが、この文字が記されたものはキリスト教の布教に伴い全て焼却処分され、文字を読める人は奴隷としてペルー本土に連れ去られてしまったためである。

近年の調査で、地面から顔を出しているモアイ像の一部には、地中に巨大な胴体が隠れていることが分かったが、運搬方法は明らかになりつつも推測の域を出ず、現地では今でも“モアイは歩いて移動する”という伝説を信じている人も少なくない。

このように、多くの謎に包まれるイースター島は、その島の総面積の約40%がラパ・ヌイ国立公園に指定され、1995年に世界遺産に登録された。


チリの世界遺産:ラパ・ヌイ国立公園(イースター島)とモアイ

イースター島観光の拠点はハンガ・ロア


観光の拠点となるのはイースター島唯一の町ハンガ・ロアで、小さなこの町のメインストリート周辺にレストランや宿泊施設、観光案内所やレンタカー会社が集中している。
ハンガ・ロア以外には店がないので、島内を観光する前にここで必要なものを揃えておきたい。

イースター島は周囲58㎞ほどの広さなので、レンタカーを利用すれば1日で島内を回ることもできるが、見どころをゆっくりと観光するなら2〜3日は滞在したい。

レンタカー会社ではバイクや自転車も取り扱っており、時間に余裕があり、体力に自信があればサイクリングやウォーキングで島内を回ることも可能である。

車とバイクの運転には国際運転免許証が必要で、レンタカー会社で借りる際には国際運転免許証とパスポートの提示が求められる。

また、モアイ像などの遺跡が残るエリアは国立公園に指定されており、入園チケットが必要。
チケットは空港内のカウンターで購入でき、値段はUS$60。

ハンガ・ロアの中心部から北に10分ほど歩くと、タハイ儀式村とイースター島博物館がある。
タハイ儀式村には、1体のモアイが立つアフ・タハイ、5体のモアイが立つアフ・バイ・ウリ、模造品の目がはめ込まれたモアイが立つアフ・コテリクという3つのアフがあり、ここから眺める夕日は素晴らしい。

イースター島博物館には、ロンゴロンゴ板やモアイに関するものが展示されている。
博物館の開館は9:30〜17:30、土・日は9:30〜12:30まで、月曜休みで入場無料。

イースター島のレンタカー会社公式サイトはこちら。
Insular

イースター島内にある日本人宿公式サイトはこちら。
Hare Kapone

イースター島観光の注意点


イースター島ではモアイ像、遺跡、自然などを保護する法律があり、モアイ像に乗ったり傷つけたりすると逮捕・拘束され、最高5年の懲役刑に処せられる。
また、イースター島とチリ本土は時差があり、イースター島の方が2時間遅いので注意が必要。


チリの世界遺産:ラパ・ヌイ国立公園(イースター島)とモアイ

イースター島の見どころ


オロンゴ儀式村とアナ・カイ・タンガタとアフ・ビナプ

島の南西にあるラノ・カウ火口湖は直径約1㎞、水深4〜5mほどあり、島の水源になっている。
この火口湖と海の間に位置するのが、かつて聖域とされていたオロンゴ儀式村。

ここの岬から海を見下ろすと、モトゥ・カオカオ、モトゥ・イティ、モトゥ・ヌイという3つの島があり、かつてはこの島に泳いで渡り、海鳥の卵を取ってくる“鳥人儀礼”という宗教的な儀式が行われていた。

岬の岩には鳥人の彫刻がいくつもあり、ここから広がる南太平洋の景色を眺めると、ここが孤島であることを改めて実感できる。

ハンガ・ロアからオロンゴ儀式村に向かう途中の海岸に、食人洞窟といわれるアナ・カイ・タンガタがある。
天井に鳥の絵が描かれたこの洞窟では、戦いに敗れた部族の人肉を食す儀式が行われていたとされる。
この洞窟から空港滑走路沿いの道を東に進んでいくと、アフ・ビナプがある。

ここにはうつぶせに倒れたモアイが数体、女性のモアイといわれる石柱、そしてまったく隙間のない見事な石組みのアフが残されている。

アフ・トンガリキとラノ・ララク

アフ・トンガリキは長さ100mに及ぶ島最大のアフで、15体のモアイがこのアフの上に立つ。
ここにあるモアイは日本企業の援助によって立てられたもので、それ以前は倒れた状態で風化の一途をたどっていたが、立ち上がったことで現在は息を吹き返した。
海に背を向けて立つ15体のモアイの背後から、朝日が昇る光景は一見の価値あり。

アフ・トンガリキの近くに立っている1体のモアイは、1982年に東京と大阪に展示されたもの。
ここから内陸に向かって延びる道を進んでいくと、ラノ・ララクというなだらかな丘が見えてくる。
ここはモアイの製造所跡地で、島にあるモアイのほとんどはここから石器で切り出されて製造された。

高さ約21m、重量160〜180tの島最大のモアイや正座をした珍しいモアイ、製造途中のモアイなど、ここだけで400体近いモアイが確認されている。

アナケナビーチとテ・ピト・クラ

ヤシの木が風に揺れる白い砂浜と青い海が広がり、海水浴も楽しめるアナケナビーチは、伝説の王ホツマツアが上陸されたとされる場所で、丘の上にはホツマツアの像といわれるモアイが立つ。

この近くには、プカオを頭に乗せたモアイを含む7体のモアイが立つアフ・ナウナウがある。
ここのモアイは砂に埋もれていた為に風化が進まず、最も保存状態のいいモアイといわれ、背中に掘られた模様も確認できる。

ここから海に面した道を東に進むと、海岸の近くにテ・ピト・クラ(光のへそ)といわれる石がある。
磨き上げたようにツルツルしたこの石には磁場があり、不思議なパワーを秘めているといわれている。

直径約75㎝、重さ約82tのこの石は、イースター島に最初にやってきたとされる伝説の王ホツマツアが故郷から運んできたという説と、海の波にさらされて丸くなった普通の石だという説がある。
近くに倒れているモアイ・パロは高さ10mほどあり、アフに立たされたことのある中で最大のモアイ。

アフ・アキビとアナ・テ・パフ

イースター島内陸部の小高い草原にある、海を見つめて立つ7体のモアイがアフ・アキビ。
このモアイ達は春分と秋分の日没の方角を向いており、天文学的な意味を持って立てられたのではと考えられている。
モアイの高さは約4.5m、重さは1体あたり約20t。

ここから西海岸へと延びる道を進むと、アナ・テ・パフという洞窟がある。
イースター島にはいくつもの洞窟があるが、アナ・テ・パフは島内で最大の規模を誇る洞窟で、その奥行は確認されているだけでも910mに達し、現在も中に入ることができる。
内部には人工的に手を加えた跡があり、かつては洞窟内で人が生活していたと考えられている。

プナ・パウとアフ・ハンガ・テエとアフ・アカハンガ

モアイの頭にプカオというものが乗せられるようになったのは1500年代と考えられおり、モアイとは色の違う赤い石が使用されている。

プナ・パウはその赤い石の切り出し場跡で、全てのプカオが造られたと考えられているこの場所には、現在も製造途中のプカオが残っている。

ここから東海岸へと延びる道を進んでいくと、アフ・ハンガ・テエとアフ・アカハンガがある。
アフ・ハンガ・テエには8体のモアイが、アフ・アカハンガには13体のモアイがあるが、その全てのモアイが倒されている。

これは1700年頃に始まってとされるフリ・モアイというモアイ倒し戦争によるもので、当時はモアイの目に霊力が宿ると考えられていたため、多くのモアイはうつぶせに倒された。


チリの世界遺産:ラパ・ヌイ国立公園(イースター島)とモアイ

イースター島の天気・気候


イースター島は海洋性亜熱帯気候に属し、年間平均気温は20℃前後と温暖な気候。
11〜4月が夏で乾季、5〜10月が冬で雨季、最も暑いのは2月、最も涼しいのは8月。

年間を通じて日差しと風が強く、にわか雨が多いので、日焼け止めやサングラス、雨具も用意したい。
また、天候が変わりやすいので脱着しやすい上着があると便利。

夏の日中は30℃を超えることもあり、平均最高気温は23〜26℃、最低気温は19〜21℃。
冬の平均最高気温は20〜21℃、最低気温は16〜17℃だが、朝晩は防寒着が必要なほど冷え込む日もある。

年間降水量は1000㎜前後で、夏は1ヶ月に70〜90㎜、冬は1ヶ月に90〜120㎜の雨が降る。
比較的雨の少ない夏が観光のベストシーズンで、アナケナビーチでは海水浴も楽しめる。

イースター島の天候グラフ

チリの世界遺産:ラパ・ヌイ国立公園(イースター島) 観光・旅行

イースター島の2017〜2018年の天候データ
出典:気象庁ウェブサイト


チリの世界遺産:ラパ・ヌイ国立公園(イースター島)とモアイ

アクセス:日本からの行き方


現在、日本からチリへの直行便はなく、アメリカのダラス、ヒューストン、アトランタ、ニューヨークなどを経由してサンティアゴのアルトゥーロ・メリノ・ベニテス国際空港に向かうのが一般的で、大抵のフライトは日本を夕方に出発し、翌日の早朝にチリに到着する。

経由地や航空会社によるが、所要時間は乗り継ぎ込みで27〜36時間ほど。
その他では、ヨーロッパや中近東の主要都市、シンガポール経由のフライトもある。

また、アメリカ経由でチリへ向かうには、事前にESTAの取得が必要。
ESTAに関しての詳細はこちら。
アメリカへの入国とESTA申請・取得方法

イースター島のマタベリ国際空港への便があるのはラン航空のみで、タヒチ島のパペーテ・タヒチ国際空港と、チリの首都サンティアゴのアルトゥーロ・メリノ・ベニテス国際空港からフライトしている。

日本からはチリ本土のサンティアゴ経由が一般的だが、タヒチ経由でも訪れることができる。
イースター島までの所要時間はどちらも5〜6時間ほど。

マタベリ国際空港からハンガ・ロアまでは1㎞ほどあり、タクシーを利用するか、時間に余裕があれば歩いて行くこともできる。

通貨と言語とビザについて

チリの通貨はチリ・ペソ(Chile Peso)で記号は$、補助通貨はセンターボ(Centavo)で記号は¢。
しかし、イースター島ではUS$が使用できる場所も多い。
公用語はスペイン語だが、観光地にある旅行者向けのホテルやレストランでは英語が通じる所もある。

また、日本人の観光目的でのチリへの入国は、3ヶ月以内であればビザは不要。
パスポートの残存有効期間は入国時に6ヶ月以上必要。

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