オーストラリアの世界遺産・タスマニア原生地域

オーストラリアの世界遺産:タスマニア原生地域(オーストラリア囚人遺跡群) 観光・旅行情報まとめ

世界遺産の歴史と登録の概要


オーストラリア大陸の南に浮かぶタスマニア島は、はるか昔にオーストラリア大陸から分離し、独自の進化を遂げた島固有の野生動物と太古の自然が残されている。

また、約3万年前の氷河期、人類がこの地に存在していたことを証明する壁画や石器も発見されている。
島の総面積の約36%が国立公園や自然保護区に指定されており、全部で17ある国立公園のうち4つを含む島の南西部の地域一帯が“タスマニア原生地域”として1982年に世界遺産に登録された。

タスマニア島は18〜19世紀にかけて、罪を犯した英国からの囚人が送られる“流刑の島”だった歴史があり、世界遺産に登録されている“オーストラリア囚人遺跡群”はオーストラリア全土で11ヶ所の遺跡があるが、そのうちの5ヶ所がこのタスマニア島に残っている。

さらには入植者との争いにより、この地の先住民タスマニアンアボリジニの純血が絶滅し、入植者の狩りよってタスマニアンタイガーが絶滅に追い込まれるなど、悲しい歴史がある島でもある。
実際にこの地を訪れることで、野生動物や豊かな自然だけでなく、負の歴史を知ることができる。

オーストラリアの世界遺産:タスマニア原生地域

タスマニア島観光の拠点はホバート


観光の拠点となるホバートは島の南部に位置するタスマニア最大の町で、歴史的建造物の保護を目的とする団体である“ナショナルトラスト”認定の建造物が90以上も残されており、オーストラリアで最も歴史の面影を強く残す町といわれている。

ホバートはオーストラリアでシドニーについで2番目に古い町でもあり、その歴史ある美しい街並みに思わず目を奪われる。

ホバート市内の中心はエリザベス・ストリートとデイビー・ストリートが交わる辺りで、この角にタスマニアン・トラベル&インフォメーションセンターがある。
このインフォメーションセンターでホテルや各種ツアーの情報、そしてタスマニアの国立公園入園パスの販売を行っている。

入園パスは各国立公園の入口にあるビジターセンターでも購入できるが、予定が決まっているならここで事前に購入しておくのがいいでしょう。
国立公園に関してのその他詳細はこちら。
パークス&ワイルドライフ・サービス・タスマニア

入園パスの種類と料金


  • 1日パス(クレイドル山を除く全ての国立公園)
    1人$12、車の場合は1台$24(乗車人数は8人まで)
  • クレイドル山限定1日パス(クレイドル山のシャトルバス利用料込み)
    大人(18歳以上)1人$16.50、子供(5〜17歳・5歳未満は無料)1人$8.25、家族(大人2名・子供3名)の場合は全員で$41.25
  • ホリデーパス(8週間有効・クレイドル山を含む全ての国立公園)
    1人$30、車の場合は1台$60(乗車人数は8人まで)

ホバートには日本人旅行者向けの日本語インフォメーションデスクが2ヶ所ある。
ひとつはオールドウールストア・アパートメントホテル内のインプレッシブ・タスマニア日本語ヘルプデスク、もうひとつはブルックリン・ストリートワーフにあるAJPRインフォデスク。

窓口ではホテルやツアーの手配などをしてくれて、到着前に公式サイトから問い合わせしておけば、旅行の日程や希望に合ったツアーを組んでもらえる。

各公式サイトはこちら。
オールドウールストア・アパートメントホテル
AJPR

市内を巡る観光バスについて


歩いて町を散策するのもいいが、多数の見どころが点在するホバート市内を効率良く回るには、レッドデッカー社(Red Decker)が運行するシティループ(City Loop)という観光バスが便利で、全20ヶ所のバス停からなる市内の主要な観光スポットを回っている。

真っ赤な車体が目印のレッドデッカー社のバスは、タスマニアン・トラベル&インフォメーションセンター前から発着している。
公式サイトはこちら。
レッドデッカー


オーストラリアの世界遺産:タスマニア原生地域

タスマニア島の主な国立公園と見どころ


マウントフィールド国立公園

ホバートから約75kmの所にある、タスマニアで最も古い国立公園であるマウントフィールド国立公園には、タスマニア随一といわれるほど多種多様な自然に囲まれ、ワラビーやウォンバット、タスマニアンデビルなどが生息している。

まず立ち寄りたいのが国立公園入口にあるビジターセンターで、園内のウォーキングトレイルに関しての詳細など各種情報が入手でき、小さな博物館も併設されている。
ホバートから車で90分ほどで、レンタカーを利用するかツアーに参加して訪れるのが一般的。

ウォーキングトレイルについて

園内には大きく分けて2つのウォーキングトレイルがある。
ひとつは公園の入り口にあるビジターセンターが拠点となるトレイルで、大きなユーカリの森や穏やかな清流を抜け、ラッセルフォールズという滝へと出るラッセルフォールズ・ウォークはビジターセンターから往復で所要30分ほど。

ここからビジターセンターへ戻らずに、さらに森の中へ進むとトールツリー・ウォークに出る。
ユーカリの一種であるスワンプガムという高さ90mを超える巨木の森を抜けるコースで、終点はビジターセンターから車で5分ほどのレイクドブソン・ロードで、ビジターセンター〜ラッセルフォールズ・ウォーク〜トールツリー・ウォーク終点まで所要1時間ほど。

レイクドブソン・ロードから南側の森を抜け、レディ・バロンフォールズという滝を見てビジターセンターへ戻るレディ・バロンフォールズ・サーキットは全長約6㎞、所要約2時間ほど。
これら全てのコースを歩いても、所要3時間ほどでビジターセンターへ戻れる。

もうひとつのトレイルは、標高1000mを超える場所にあるドブソン湖周辺を巡るトレイルで、ビジターセンターからレイクドブソン・ロードを上って約15㎞の所にあり、車で所要30分ほど。

ドブソン湖とその隣にあるイーグルターンの周囲を回るパンダニグローブ・サーキットは、標高が高いためビジターセンター周辺とは雰囲気が異なり、タスマニアならではの高山植物が生い茂っている。
約1.5㎞、所要40分ほどのコースで、この辺り一帯は冬には雪が降り積もり、不定期だがスキー場の営業も行われる。

フレシネ国立公園とコールズベイ

タスマニアの東海岸にあるフレシネ国立公園は、美しい白砂のビーチと緑豊かな森に囲まれ、ワラビーやポッサム、ハリモグラなどの野生動物、そしてワシやオウム、ミツドリなど数多くの野鳥が生息している人気の国立公園。

まず立ち寄りたいのが国立公園入口にあるビジターセンターで、ここでウォーキングトレイルを記した地図や各種情報が入手でき、博物館も兼ねている。
国立公園入口があるコールズベイは東海岸有数のリゾート地で、フレシネ国立公園を満喫するならここに数泊するのがオススメだが、夏は旅行者で混雑するので宿泊先は事前に予約しておいた方がよい。

ウォーキングの起点となるウォーキングトラック駐車場はビジターセンターから約4㎞あり、車があれば便利だが、徒歩でも1時間ほどなので、ハネムーンベイやリチャードソンビーチを見ながら歩くのもよい。

ウォーキング・トレイルについて

人気のウォーキング・トレイルは、ウォーキングトラック駐車場からワイングラスベイ展望台まで歩く、往復90分ほどのコース。
この展望台からは、ワイングラスのふちのように綺麗な曲線を描く入江、そして白砂のビーチが美しいワイングラスベイを一望できる。

展望台からさらに南下するとワイングラスベイに行くことができ、ここから西に進みハザーズビーチやレマナ展望台を経由して、マイソン山の周囲を回って駐車場まで戻る、所要3〜4時間ほどのコースも人気で、体力と時間に余裕があればこちらも歩きたい。
ワイングラスベイからさらに南下してグラハム山に行くコースもある。

ホバートからは、タジーリンク社のバスがホバートと東海岸の各町を結んでおり、コールズベイやフレシネ国立公園を訪れるならビシェノ(Bicheno)という町で下車したい。
ビシェノからコールズベイまでは、ビシェノ・コーチサービス社のシャトルバスで30分ほどで着く。
各公式サイトはこちら。
タジーリンク

クレイドル山・セントクレア湖国立公園

広大な面積を誇るクレイドル山・セントクレア湖国立公園は、標高1545mのクレイドル山、タスマニア最高峰の標高1617mのオサ山を中心に1500m級の山々が並び、水深167mを誇るオーストラリアで最も深いセントクレア湖と無数の湖が点在し、緑豊かなタスマニアの大自然を味わうなら是非とも訪れたい場所である。

まず立ち寄りたいのが、国立公園北側の入口の2.5㎞ほど手前にあるビジターセンターで、ここでウォーキングトレイルを記した地図や各種情報が入手でき、この周辺にはホテルやカフェ、ガソリンスタンドなどもある。

ビジターセンターと国立公園入口の間にあるデビルズ・アット・クレイドルは、タスマニアンデビルの保護施設で、野生に近い環境で飼育されているタスマニアンデビルを観察できる。

園内の主なウォーキングトレイルの始点には駐車場があり、ビジターセンターから公園入口、そして公園入口から各ウォーキングトレイル駐車場への移動は、車がない場合は園内を走るシャトルバスを利用することになる。
このシャトルバスは入園パスを提示すれば何度でも無料で利用できる。

ウォーキング・トレイルについて

アクセスがよく人気のウォーキングトレイルは、ダブ湖周辺を回るルートとクレーター湖周辺を回るルートの2つに大きく分けられる。

ひとつはクレイドル山の麓にあるダブ湖の周囲を回るルートで、始点となるダブ湖駐車場まではシャトルバスで行くことができる。
所要2時間ほどのルートで、途中にあるグレーシャーロックからのクレイドル山の景色は素晴らしい。

もうひとつはウォンバットが生息する草原や森を抜け、クレーター滝を経由してクレーター湖へ向かうルートで、始点となるロニークリーク駐車場まではシャトルバスで行くことができる。

所要3時間ほどのルートで、クレーター湖から10分ほどの所にある標高約1100mの展望台からは、クレイドル山とダブ湖を一望できる。

ここからさらに登っていくと、標高1223mのマリオン展望台に出る。
帰路はウォンバットプールという小さい湖やリラ湖を抜け、ロニークリーク駐車場へと戻る。
リラ湖からダブ湖駐車場までは歩いて15分ほどなので、体力と時間に余裕があれば合わせて回りたい。

クレイドル山・セントクレア湖国立公園は、ロンセストンという町から車で2時間ほどの所にあり、ロンセストンからビジターセンターまでタジーリンク社のバスが運行している。
ホバートなどの都市からロンセストンまでは、同じくタジーリンク社とレッドライン社がバスを運行している。

各公式サイトはこちら。
デビルズ・アット・クレイドル
タジーリンク
レッドライン


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ホバートの天気・気候


日本の約21倍という広大な国土を誇るオーストラリアは、地域によって気候が大きく異なる。
南部には比較的涼しい冬があるのに対し、北部のほとんどの場所は一年中温暖な気候をしている。
オーストラリアは海に囲まれた島国である一方、世界一乾燥した大陸ともいわれ、大陸中央部の内陸には砂漠地帯が広がっている。

オーストラリア大陸の南部に浮かぶタスマニア島は、日本ほど大きな変化はないが四季がある。
南半球に位置するため日本と季節が逆になり、夏となる12〜2月の平均最高気温は21℃ほどで東京の夏よりも涼しく、平均最高気温は12℃ほど。

冬となる6〜8月の平均最高気温は12℃ほどで、平均最低気温は5℃ほど。
秋となる3〜5月や春となる9〜11月は、夏と冬の中間の気温となる。
年間降水量は600㎜前後で、毎月40〜60㎜ほどの雨が降る。
特別雨が多い季節などもなく、年間を通じて過ごしやすい気候をしている。

ホバートはタスマニア島南部の町だが、北部の町ロンセストンでは年間を通じて気温が2℃ほどホバートより高く、5〜9月は1ヶ月に60〜90㎜ほどの雨が降る。
その他にはホバートとの大きな違いはない。

クレイドル山・セントクレア湖国立公園の夏の平均最高気温は18℃ほど、平均最低気温は6℃ほど。
冬の平均最高気温は8℃ほど、平均最低気温は0℃ほどで、高地のため年間を通じて気温が低い。
そして雨も多く、毎月100㎜以上の雨が降り、7〜9月は1ヶ月に200㎜以上の雨がふる。

この地を訪れる際には雨具、そして夏でも防寒具が必要となる。
どの地域を訪れるにしても、タスマニア島観光のベストシーズンは暖かい12〜2月といえる。

タスマニア島:ホバートの天候グラフ

オーストラリアの世界遺産:タスマニア原生地域 観光・旅行

ホバートの2017〜2018年の天候データ
出典:気象庁ウェブサイト

オーストラリアの世界遺産:タスマニア原生地域

アクセス:日本からの行き方


日本からは、オーストラリアの各都市に直行便が出ている。
ケアンズまで約7時間、ゴールドコースト、ブリスベンまで約8時間、シドニーまで約9時間、メルボルンまで約10時間。
主な航空会社はカンタス航空、ジェットスター、ヴァージン・オーストラリアなど。

シドニーやブリスベン、ゴールドコーストなどの主要都市からホバート空港(HBA)への便が出ているが、最も便が多いのはメルボルンからで、各都市からホバート空港までは所要1〜2時間ほど。

空港からホバート市内への移動について

空港からホバート市内は約17km離れており、空港と市内を結ぶレッドライン社のエアポート・シャトルバスが、飛行機の発着に合わせて運行している。

このシャトルバスはホバート市内のトランジットセンター(Transit Centre)に着き、ここからタスマニアン・トラベル&インフォメーションセンターなどがある中心部まで徒歩10分ほど。

また、タスマニアの各地からホバードに入るレッドライン社のバスもトランジットセンターに着く。
ホバートから各国立公園や各都市へツアーに参加せず訪れる場合は、レッドライン社かタジーリンク社のバスを利用する。

通貨と言語とビザについて

オーストラリアの公用語は英語で、通貨はオーストラリアドル(A$)とオーストラリアセント(A¢)。
また、オーストラリアへの入国にはビザを取得するかETA登録が必要。

ETAに関しての詳細はこちら
オーストラリアへの入国とETA登録方法

気候に関してはこちら
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