オーストラリアの世界遺産・グレーターブルーマウンテンズ

オーストラリアの世界遺産:グレーター・ブルーマウンテンズ地域 観光・旅行情報まとめ

世界遺産の歴史と登録の概要


シドニーから西に70kmほど行くと、クイーンズランド州からビクトリア州まで約4000㎞に渡って連なるグレートディバイディング山脈がある。

この山脈はオーストラリアで最も重要な山脈であり、世界で4番目に長い山脈でもある。
ブルーマウンテンズ国立公園はこの山脈の一部にあり、その周辺の7つの国立公園と自然保護区を含む地域一帯が“グレーター・ブルーマウンテンズ地域”として2000年に世界遺産に登録された。

総面積103万haを誇るこれらの地域一帯は、迫力ある壮大な渓谷や滝、神秘的な洞窟など変化に富んだ自然景観をしている。

そして緑豊かな自然に囲まれ、1億年以上前の植物といわれるウォレマイ・パインや130種以上の固有種、全世界の13%にあたる約90種のユーカリなど多種多様な植物が群生し、数多くの野生動物も生息している。

山々を覆うユーカリが含む油分が揮発し、日光に反射して辺りが青く霞んで見えることからブルーマウンテンズと名付けられた。

オーストラリアの世界遺産:グレーター・ブルーマウンテンズ


グレーター・ブルーマウンテンズ地域観光の拠点はカトゥーンバ


観光の拠点となるカトゥーンバ(Katoomba)はシドニーの約100㎞西にある町で、古き良き英国植民地時代の面影を残す町として知られる。

町の中心にあるカトゥーンバ駅から南に延びるカトゥーンバ・ストリートは、カフェや各種ショップが軒を連ねる繁華街で、レストランやホテルなどもこの辺りに多い。

この通りから路地を入った所にあるブルーマウンテンズ・カルチュラルセンターは、この地域に住むアーティスト達の作品が展示されたアートギャラリー、大画面の迫力ある映像でブルーマウンテンズの魅力を伝えるワールドヘリテージ・エキシビジョンという2つの展示をメインに行っており、この他にもカフェやショップ、図書館が併設されている。

入場料はワールドヘリテージ・エキシビジョンのみ$5かかるが、その他は無料。
公式サイトはこちら。
ブルーマウンテンズ・カルチュラルセンター

カトゥーンバ駅前からは、町の周辺にあるブルーマウンテンズの見どころ29ヶ所を巡る2つの観光バス、ブルーマウンテンズ・エクスプローラーバスとブルーマウンテンズ・トロリーツアーが出ている。

ブルーマウンテンズの主要な見どころはカトゥーンバの南側にあるが、これらのバスを利用すればツアーに参加しなくても、ほとんどの見どころを巡ることができる。
各公式サイトはこちら。
ブルーマウンテンズ・エクスプローラーバス
ブルーマウンテンズ・トロリーツアー

カトゥーンバの東にあるルーラ(Leura)は、“山の王冠に輝く宝石(The Jewel In The Mountains Crown)”と称される町で、メインストリートにカフェやレストラン、工芸品店などが並び、緑豊かな自然に囲まれた美しい町。

カトゥーンバから北に10kmほどの所にあるブラックヒース(Blackheath)も旅行者が集まる町で、この2つの町とその周辺には、人気のウォーキングトレイルや見事な眺めの展望地がいくつもある。

オーストラリアの世界遺産:グレーター・ブルーマウンテンズ


ブルーマウンテンズの見どころ


エコーポイント&スリーシスターズ Echo Point&Three Sisters

エコーポイントはこの地域で最も人気の展望台で、ブルーマウンテンズの壮大な景観を一望できる。
断崖絶壁の渓谷の先には、ユーカリで埋め尽くされたジャミソンバレーが辺り一面に広がり、東側には自然が造り出したスリーシスターズという奇岩がたたずむ。
カトゥーンバ南側に位置し、カトゥーンバ駅前から出る2つの観光バスで来ることができる。

スリーシスターズという呼び名の由来はアボリジニの伝説によるもので、かつてこの地には一人の祈祷師とその娘である三姉妹が暮らしていた。
そんなある日、バンイップという魔物がこの三姉妹を襲いに来たため、父は娘達の姿を岩に変えて魔物から守った。

しかし父親自身も魔物から自分の身を守るため、コトドリに姿を変えて岩穴の中に逃げ込んだ。
こうして難を逃れたが、父は元の姿に戻ることができず、そのため娘達を元の姿に戻すこともできなくなり、残った岩がスリーシスターズと呼ばれるようになった。

エコーポイントにはインフォメーションセンターがあり、ブルーマウンテンズ国立公園のウォーキングトレイルに関しての情報などを入手できる。

また、エコーポイントのすぐそばにあるワラダ・アボリジニセンターでは、アボリジニの演奏やダンスなどのショーが行われ、工芸品の展示や販売もしている。
公式サイトはこちら。
ワラダ・アボリジニセンター

エコーポイントからスリーシスターズへは往復30分ほどのウォーキングコースがある。
手前の岩には小さな橋がかかっており、渡ってスリーシスターズに触れることもできる。

ここからジャミソンバレーへ下るジャイアント・ステアウェイズは約900段からなる階段で、下りた所からはフェデラルパスへと続くウォーキングコースが延びている。
崖沿いに西へと続くこのウォーキングコースを進むとシーニックワールドに行くことができる。

シーニックワールド Scenic World

ブルーマウンテンズ随一のアトラクション施設で、主に4つのアトラクションでブルーマウンテンズの大自然を満喫できる。

カトゥーンバ南側に位置し、カトゥーンバ駅前から出る2つの観光バスで来ることができる。
入場料は1日乗り物乗り放題で大人$35、子供(4〜13歳)$18、4歳未満は無料。
また、観光バスのチケットにはこの入場料が含まれたものもある。

公式サイトと4つのアトラクションはこちら。
シーニックワールド

  • シーニック・スカイウェイ
    渓谷の上空270mを滑るように進んで行くスカイウェイ。
    スリーシスターズ、飛沫を上げるカトゥーンバフォールズ、ユーカリに埋め尽くされたジャミソンバレー、遠くに見える地平線など360度に渡って雄大な景色が望める。
    また、床の一部が透明になっており、足下からの景色もなかなかのもの。
  • シーニック・レイルウェイ
    世界最大といわれる勾配52度の急斜面を、トロッコ型の列車で急降下していくレイルウェイ。
    スリル満点のレイルウェイに乗り断崖に沿ったトンネルを抜けると、シーニック・ウォークウェイという遊歩道に着く。
  • シーニック・ウォークウェイ
    熱帯雨林の森の中に造られた遊歩道を散策するウォークウェイ。
    この辺りにはかつての炭坑跡が残っていて、シーニック・レイルウェイはもともとは炭鉱夫の移動手段として利用されていたトロッコだった。
    遊歩道を抜けると、シーニック・ケーブルウェイ乗り場に着く。
  • シーニック・ケーブルウェイ
    ジャミソンバレーの崖上と谷底を行き来するケーブルウェイ。
    84名収容可能な全面ガラス張りの大型のゴンドラからは、スリーシスターズ、カトゥーンバ滝、ソリタリー山、オーファンロックという大きな岩などを望める。
ジェノランケーブ Jenolan Caves

3億4000万年前から形成されたとされる巨大な鍾乳洞群で、見学可能なものとしては世界最古のもの。
カトゥーンバから南西約80㎞の所にあり、カトゥーンバ駅前からブルーマウンテンズ・トロリーツアーのツアーに参加して訪れるのが一般的。

ジェノランケーブに向かうとまず目を奪われるのが、グランドアーチという巨大なトンネルで、このトンネルはかつて鍾乳洞だった場所で、現在でもここがいくつかの鍾乳洞に通ずる入口となっている。
グランドアーチの脇のウォーキングトレイルを進むと、貴重なストロマトライトも見られる。

ストロマトライトとは、シアノバクテリアが幾層にも重なった岩のような見た目のもので、このストロマトライトが地球上で初めて光合成をし、地球の大気中に酸素をもたらしたと考えられている。

ジェノランケーブの洞窟について

ジェノランケーブにはいくつのも洞窟があり、内部はそれぞれ異なった景観をしている。
もっともポピュラーなのはルーカスケーブで、この洞窟内のカテドラルと呼ばれ場所では、天井から巨大な鍾乳石がカーテンのように垂れ下がり、その神秘的な姿に思わず見とれてしまう。

オリエントケーブはもっとも美しいとされる洞窟で、この洞窟内の見事な形の鍾乳石は、ジェノランケーブのマークになっているほど。

洞窟内にはガイド付きで入場することになり、洞窟ごとに設定されたガイドツアー料がかかる。
料金は$35〜48.50。

公式サイトと、ガイド付きで一般見学できる洞窟は下記の通り。
ジェノランケーブ

  • ルーカスケーブ Lucas Cave
  • オリエントケーブ Orient Cave
  • チフリーケーブ Chifley Cave
  • インペリアルケーブ Imperial Cave
  • リバーケーブ River Cave
  • ダイヤモンドケーブ Diamond Cave
  • リボンケーブ Ribbon Cave
  • テンプル・オブ・バールケーブ Temple Of Baal Cave
オーストラリアの世界遺産:グレーター・ブルーマウンテンズ

カトゥーンバ(ブルーマウンテンズ)の天気・気候


日本の約21倍という広大な国土を誇るオーストラリアは、地域によって気候が大きく異なる。
南部には比較的涼しい冬があるのに対し、北部のほとんどの場所は一年中温暖な気候をしている。

オーストラリアは海に囲まれた島国である一方、世界一乾燥した大陸ともいわれ、大陸中央部の内陸には砂漠地帯が広がっている。

シドニーやメルボルン、カトゥーンバがあるオーストラリア南部には四季がある。
南半球にあるオーストラリアは日本とは季節が逆で、9〜11月が春、12〜2月が夏、3〜5月が秋、6〜8月が冬となる。

南部の中でも地域によって気候は異なり、標高約1000mに位置するカトゥーンバは、シドニーなどの都市よりも年間を通じて気温が低く、降水量が多い。

夏の平均最高気温が23℃ほど、最低気温は12℃ほどで、気温の面では最も過ごしやすい季節といえる。
しかし雨が多い時期でもあり、年間で最も雨が多い1〜3月は1ヶ月に150㎜以上の雨が降る。
夏でも朝晩は気温が下がるので、上着を用意しておいた方がいいでしょう。

冬の平均最高気温は10℃ほど、最低気温は3℃ほどで、標高が高いだけあって朝晩はかなり冷え込むため、防寒対策が必須となる。

冬は雨が少ない時期だが、年間で最も雨が少ない7〜9月でも1ヶ月に80㎜前後の雨が降る。
春と秋の気温は、夏と冬の中間くらいで、毎月100㎜前後の雨が降る。

リッチモンドの天候グラフ

リッチモンドは、カトゥーンバの約55㎞北東の都市。
カトゥーンバのグラフが無いので参考までに。

オーストラリアの世界遺産:グレーター・ブルーマウンテンズ地域 観光・旅行
リッチモンドの2015〜2016年の天候データ
出典:気象庁ウェブサイト
オーストラリアの世界遺産:グレーター・ブルーマウンテンズ


アクセス:日本からの行き方


日本からは、シドニー国際空港(キングスフォードスミス空港)へカンタス航空と日本航空から直行便がでており、所要9時間ほど。
空港からシドニー市内までは約10㎞あり、タクシー、エアポート・シャトルバス、電車などで向かう。

  • タクシー
    市内中心部まで$30〜50で所要15〜25分ほど。
  • エアポート・シャトルバス
    キングスフォードスミス・エアポートバス&シドニーエアポーター社とエアバス・シドニー社が、空港から市内の指定した場所まで運行している。
    空港到着ロビー出口前から人数が集まり次第出発する。

    目的地に乗客を降ろしながら向かうので、タクシーより時間がかかる場合が多い。
    料金はキングスフォードスミス・エアポートバス&シドニーエアポーター社が$15、エアバス・シドニー社が$16。


    各公式サイトはこちら。
    キングスフォードスミス・エアポートバス&シドニーエアポーター
    エアバス・シドニー


  • 電車
    市内を走るシドニートレインが運行する電車の路線T2 Airportが空港ターミナルと市内を結んでいる。
    空港にあるインターナショナル・エアポート駅から、市内中心部のシドニー・セントラル駅まで所要10分ほど。

    公式サイトはこちら。
    エアポート・リンク


シドニー・セントラル駅でブルーマウンテンズ・ラインという路線に乗り換え、カトゥーンバ駅まで所要2時間ほどで着く。
また、シドニー発のブルーマウンテンズ観光ツアーも各種でている。

通貨と言語とビザについて

オーストラリアの公用語は英語で、通貨はオーストラリアドル(A$)とオーストラリアセント(A¢)。
また、オーストラリアへの入国にはビザを取得するかETA登録が必要。

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