チリの世界遺産:バルパライソの海港都市の歴史的街並み 観光・旅行情報まとめ
この記事の目次
世界遺産の歴史と登録の概要
首都サンティアゴに次ぐ第二の都市であり、チリ最大の港町でもあるバルパライソ。
チリ中部に位置し、スペイン植民地時代は入植者の小さな集落があるだけの町だったが、1818年の独立後にチリ海軍の主要港となり、以後は貿易と漁業の重要な役割を果たす港町として繁栄した。
港周辺と町の中央以外は、石段と急な坂道の続く丘陵地帯となっていて、その斜面を埋め尽くすかのように伝統的な建造物とカラフルな家屋が建ち並んでいる。
町には港を囲むように41もの丘があり、丘の斜面や急な坂を登るため、町のあちこちに“アセンソール”というケーブルカーのような木箱の乗り物が設置されている。
かつては30ものアセンソールが稼働していたが、1883年のクリスマスから利用されているだけあって、現在も稼働しているのは7つにまで減った。
バルパライソ港は1986年に開港450周年を祝った歴史ある港で、スペイン人征服者ディエゴ・デ・アルマゴが命名したバルパライソという名は“天国のような谷”という意味をもつ。
古くから南米の太平洋沿岸最大の貿易港として国を支えた歴史と、丘陵地帯に広がるその独特な雰囲気の町並みが“バルパライソの海港都市の歴史的街並み”として2003年に世界遺産に登録された。
バルパライソの町について
サンティアゴから長距離バスでやってくると、バルパライソ東側の国会議事堂前のバスターミナルに到着し、ここから西へ約3㎞の所にあるサント・ドミンゴの丘までが主な観光エリアとなる。
町並みを眺めながら散策するのがおすすめで、バスターミナル前の大通りを西に約1.5㎞行くと、町の中心となるビクトリア広場とボリーバル広場に面してカテドラル(大聖堂)が建つ。
ここから南に向かって坂道を登って行くと、坂の右側の壁一面に絵が描かれている。
この辺りの壁に描かれた約20もの作品は、ロベルト・マッタなどのチリを代表する芸術家によるもので、絵が描かれた1周1時間ほど道と一帯は“青空美術館”とよばれている。
バルパライソの町にはあちこちに多くの落書きがあるが、青空美術館に描かれた作品の数々は、それらの落書きとは一線を画す芸術性の高さで、一見の価値あり。
ここからさらに坂道を登って行くと、1971年にノーベル文学賞を受賞したチリの詩人パブロ・ネルーダの邸宅が、ラ・セバスティアーナという博物館として公開されている。
見晴らしのいい丘に建つ5階建ての邸宅で、書斎や寝室、ダイニングやバーなど様々な部屋を見学できる。
開館は1・2月は10:30〜18:50、3〜12月は10:10〜18:00、月曜休みで入場料は$5000。
ソトマヨール広場周辺の見どころ
ビクトリア広場に面する大通りを西に約1㎞行くと、中央に大きな記念碑が建つソトマヨール広場がある。
広場の周囲には大きな建物が建ち並んでいるが、広場正面に建つ海軍総司令部の建物は特に立派。
ここから海の方に向かうと、客船や貨物船が停泊するバルパライソ湾とプラット埠頭があり、海沿いの道を左に進むと遊覧船乗場がある。
ここからバルパライソ港を30分ほどで一周する遊覧船(ランチャ)が出ていて、海からの眺めもなかなかのもので、特に町全体に明かりが灯る夜のバルパライソはとても美しい。
ソトマヨール広場から南に向かって坂道を登って行くと、バブリッツァ宮殿が建つアレグレの丘に着く。
イタリア建築の立派な建物で、ここから海を背にして左に行くとコンセプシオンの丘に着く。
ここにはカフェやホテルがあり、この2つの丘からは海を一望できる。
ソトマヨール広場から西に500mほど行くとサント・ドミンゴの丘があり、この丘に建つラ・マトリス教会は1559年に建てられたバルパライソ最古の教会。
ここはバルパライソ発祥の地といわれ、丘の周辺に少しずつ人々が住み着き、徐々に町を形成した。
また、バルパライソの観光案内所はバスターミナル内、ソトマヨール広場の北、ビクトリア広場の西にある市庁舎内にあるが、最も充実しているのは市庁舎内。
バルパライソの天気・気候
チリは太平洋とアンデス山脈に挟まれた、南北4329㎞に細長く延びる国で、北部には砂漠地帯がある一方で、南部には1年中氷に覆われた氷河地帯があり、地域によって大きく気候が異なる。
南半球に位置するチリは南に行くほど寒く、北に行くほど暑くなり、季節は日本と逆になる。
季節は日本のように四季がある地域、乾季と雨季に分かれる地域など様々である。
バルパライソが位置する中部地方は温暖な気候で、日本のように四季がある。
1年のうち300日以上が晴天に恵まれ、特に9〜4月は雨が降ることはほとんどない。
雨は気温の下がる5〜8月に多いが、それでも1ヶ月の降水量は50〜100㎜前後で、この時期が観光に適さないという訳ではない。
雨の心配はないが、朝晩はかなり冷え込む日もあるので、夏でも上着を用意しておいた方がいい。
夏の12〜2月の最高気温は19〜21℃で日中は過ごしやすいが、朝晩は13℃前後まで気温が下がる。
冬の6〜8月でも最高気温は14〜15℃まで上がるが、朝晩は9℃前後まで冷え込む。
冬は防寒対策が必須となるが、雪が降り積もるようなことはほとんどない。
バルパライソ観光のベストシーズンは、比較的暖かく雨の降らない3〜8月となる。
サンティアゴの天候グラフ
サンティアゴはバルパライソの約100㎞東の都市。
バルパライソのグラフが無いので参考までに。
アクセス:日本からの行き方
現在、日本からチリへの直行便はなく、アメリカのダラス、ヒューストン、アトランタ、ニューヨークなどを経由してサンティアゴのアルトゥーロ・メリノ・ベニテス国際空港に向かうのが一般的で、大抵のフライトは日本を夕方に出発し、翌日の早朝にチリに到着する。
経由地や航空会社によるが、所要時間は乗り継ぎ込みで27〜36時間ほど。
その他では、ヨーロッパや中近東の主要都市、シンガポール経由のフライトもある。
また、アメリカ経由でチリへ向かうには、事前にESTAの取得が必要。
ESTAに関しての詳細はこちら。
アメリカへの入国とESTA申請・取得方法
サンティアゴからバルパライソへの移動について
バルパライソへは、サンティアゴ市内のサンティアゴ・バスターミナルとアラメダ・バスターミナルから長距離バスが出ている。
ここからバルパライソまで所要約2時間、料金は$2800前後。
この2つのターミナルは隣接していて、メトロ駅(地下鉄)Universidad de Santiagoのすぐそばにある。
空港からサンティアゴ市内までは所要30〜40分、距離は約25㎞あり、市内までの交通手段は3つある。
この3つの交通機関は全て、税関前と到着ロビーにチケット購入窓口があり、料金も表示されている。
- ミニバス
空港ターミナルを出た所に乗り場があり、Transvip社が運行している。
サンティアゴに滞在するならホテルまで送ってくれるので便利で、料金は$5000〜6000。
チケットはこの乗り場でも購入できる。バス会社公式サイトはこちら。
Transvip - 空港タクシー
最も早く市内に着けるのは空港タクシーで、料金は定額制で$17000〜20000で、向かう市内のエリアごとに料金があらかじめ決まっている。空港を出て普通のメーター制のタクシーを利用すると、渋滞にはまって高くつくことがあるので、空港内のタクシーを利用しよう。
- 空港バス
最も安いのが空港バスで、Centropuerto社とTur Bus社が運行している。
どちらバスもUniversidad de Santiagoに停車するので便利で、料金は$1600〜1900。バス会社公式サイトはこちら。
Tur Bus
サンティアゴのその他の主要なバス会社公式サイトはこちら。
Cruz del Sur
Pullman Bus
通貨と言語とビザについて
チリの通貨はチリ・ペソ(Chile Peso)で記号は$、補助通貨はセンターボ(Centavo)で記号は¢。
公用語はスペイン語だが、観光地にある旅行者向けのホテルやレストランでは英語が通じる所もある。
また、日本人の観光目的でのチリへの入国は、3ヶ月以内であればビザは不要。
パスポートの残存有効期間は入国時に6ヶ月以上必要。
基本情報はこちら
チリの基本情報-時差、言語、人口、宗教、首都、飲料水など
気候に関してはこちら
チリの気候と観光・旅行のベストシーズン
チリのその他の世界遺産についてはこちら
ラパ・ヌイ国立公園