エクアドルの世界遺産・サンタ・アナ・デ・ロス・リオス・クエンカの歴史地区

エクアドルの世界遺産:サンタ・アナ・デ・ロス・リオス・クエンカの歴史地区 観光・旅行情報まとめ

世界遺産の歴史と登録の概要


エクアドルの首都キトの南約440㎞、4000〜6000m級の中央アンデスの山々に囲まれた標高約2535mに位置するクエンカの現在の町は、スペイン人によって1557年に建設が始められた。

この地に初めて町ができたのは500年頃、先住民族であるカニャーリ人の手によるものだが、16世紀にスペイン人に征服される50年ほど前、この地はインカ帝国に支配され、町は廃墟と化していた。

しかし、スペイン人によって再建設が始まると町は発展していき、広場を中心にカトリックの教会やカテドラルが造られ、石畳の道が基盤の目のように張り巡らされていった。

現在も人口の多くをインディヘナが占めるクエンカには、当時の伝統や風習が色濃く残され、その街並みからも16世紀のコロニアルな雰囲気が感じられる。

石畳の道が広がる町には歴史的建造物が建ち並び、16世紀のスペイン植民地時代の面影を色濃く残すクエンカの町は“サンタ・アナ・デ・ロス・リオス・クエンカの歴史地区”として1999年に世界遺産に登録された。


エクアドルの世界遺産:サンタ・アナ・デ・ロス・リオス・クエンカの歴史地区

クエンカ観光の拠点はアブドン・カルデロン広場


クエンカの中心であり、観光の拠点となるのがアブドン・カルデロン広場で、この広場を囲むようにカテドラル、旧大聖堂、市庁舎、政庁などが建ち並び、ホテルやレストラン、旅行会社や観光案内所も広場周辺に集中している。

3つの青いドームが印象的なカテドラルはクエンカの象徴ともいえる存在で、1885年に造られた。
大理石でできた豪華なカテドラルで、毎日3回、1時間程度のミサが行われている。
また、US$1を支払えば、計155段の階段を登って塔に上がることができる。

広場を挟んで向かいに位置する旧大聖堂は、町の建設と同時に造られた古い歴史をもつ教会。
現在は博物館として公開されており、クエンカやカテドラルの歴史に関する展示がされている。
開館時間は9:00〜17:30、土・日・祝は9:00〜13:00、入館料はUS$2。

市内には他にも多くの教会や博物館、インカの遺跡などがあり、歴史あるコロニアルな建物が石畳の道に並んでいるので、時間に余裕があればその足でゆっくり散策したい。

町の南を流れるトメバンバ川沿いの景観は特に美しく、川にかかる橋を渡り5㎞ほど行くと、クエンカの町を一望できる“トゥリの丘(Mirador de Turi)”がある。

クエンカ市内と近郊を巡る観光バスについて


アブドン・カルデロン広場に面する旧大聖堂のすぐそばから、クエンカ市内と近郊を巡る赤い車体で2階建ての観光バスがVan Service社から出ている。
ルートは町の北を回るか南を回るかの2種類あり、どちらも所要1時間45分で料金はUS$8、子供はUS$4。

公式サイトから“bus de II pisos”をクリックするとルートや時間の詳細を確認できる。
また、町の南を回るルートは“トゥリの丘”にも行く。

公式サイトはこちら。
Van Service


エクアドルの世界遺産:サンタ・アナ・デ・ロス・リオス・クエンカの歴史地区

クエンカ市内の見どころ


マヌエル・アグスティン・ランディバル博物館

ここには先住民族カニャーリとインカの遺跡があり、石組みの建物の跡や水路が残されている。
博物館内には、近郊の遺跡からの出土品などが展示されている。

開館は8:00〜16:30、土・日休みで入場無料。

先住民文化博物館

1万3000年前の新旧石器時代から紀元前4000年頃のバルディビア文化時代など、紀元前にまでさかのぼる様々な時代の石器や土器など、おびただしい量の展示品がある。

開館は8:30〜18:00、土曜は9:00〜14:00、日曜休みで入場料はUS$2。

ラス・コンセプタス博物館

この建物は白く大きな壁が特徴の修道院で、現在は一部が博物館として公開されている。
彫刻の施された扉や白い壁が美しく、内部には宗教画や肖像などが展示されている。

開館は月〜金9:00〜18:30、土曜10:00〜13:00、日曜休みで入場料はUS$3.5。

パナマ・ハット博物館

1946年創業の老舗のパナマ・ハット店で、工房や道具、製造工程などを公開している。
店舗の2階はトメバンバ川を一望できるカフェや展望台になっている。

開館は月〜金9:00〜18:00、土9:30〜17:00、日9:30〜13:30、入場無料。

クエンカ近郊の見どころ


インガピルカ遺跡

クエンカの北約60㎞に位置し、標高3160mに位置するインガピルカ遺跡。
紀元前1000年頃の先住民族カニャーリの遺跡と、15世紀頃のインカ帝国の遺跡が残されている。

月を観察するために建てられたとされる月の神殿、太陽を観察するために建てられたとされる太陽の神殿、王が住んでいたとされる住居跡などがあり、どれも隙間なく積み上げられた石組みが美しい。
また、この遺跡には博物館もあり、発掘された品々が展示されている。

クエンカからインガピルカ遺跡へはバスで2時間ほど。
開館は9:00〜17:30、入場料は博物館込みでUS$3.5(遺跡の見学はガイド付き)。

公式サイトはこちら。
Complejo Arqueologico de Ingapirca

カハス国立公園

クエンカの西約30㎞に位置し、広大な敷地面積を誇る公園内には4000mを超える山々、氷河期に山が削られてできた透明度の高い湖が、確認されているだけでも235ある。

野生のラマ、キツネ、スカンク、コンドルなどの野生動物も多く生息し、特に野鳥の種類は豊富。
トレッキングコースは1周2〜3時間のコースもあれば、2〜3日かけて歩く本格的なルートもあり、手付かずの大自然と高地ならではの景色を満喫できる。

クエンカからカハス国立公園まではバスかタクシーで40〜50分ほどだが、クエンカからツアーに参加して訪れることもできる。
カハス国立公園は年中無休で入園料はUS$2。

クエンカの旅行会社公式サイトはこちら。
Metropolitan Touring
Terra Diversa


エクアドルの世界遺産:サンタ・アナ・デ・ロス・リオス・クエンカの歴史地区

クエンカの天気・気候


クエンカの町は、南北に走る3つのアンデス山系が重なる山岳地帯の中央部に位置する。
これらの山々に囲まれたクエンカは標高が高いため、赤道直下にありながらも年間平均気温は14〜15℃前後と涼しく、その過ごしやすさから“永遠の春”とも言われる。

年間を通じて気温の変化はあまりなく、年間の平均最高気温は18〜22℃、最低気温は8〜10℃。
季節は10〜3月は雨季、4〜9月は乾季だが、雨の多い時期と降水量は地域により若干異なる。

クエンカの雨季の1ヶ月の降水量は70〜100㎜ほど。
この地域を訪れるベストシーズンは、最も天候が安定して晴天の日が多い6〜8月。


エクアドルの世界遺産:サンタ・アナ・デ・ロス・リオス・クエンカの歴史地区

アクセス:日本からの行き方


現在、日本からエクアドルへの直行便は無いため、アメリカの都市を経由してキトのマリスカル・スークレ国際空港に向かうのが一般的で、所要時間は20〜25時間ほど。

他にもカナダやメキシコ、ヨーロッパの各国を経由する便もあるが、ヨーロッパ経由の場合は所要時間は30時間以上かかる。

また、アメリカを経由する場合は事前にESTAを取得する必要がある。
ESTAに関しての詳細はこちら。
アメリカへの入国とESTA申請・取得方法

キトからクエンカへの移動について

キトからクエンカへの移動は長距離バスか飛行機のどちらかになる。
飛行機の場合は、マリスカル・スークレ国際空港から国内線で、クエンカのマリスカル・ラマル国際空港まで所要1時間ほどで、この路線は1日に8〜13便近く運行している。

この空港からクエンカ市内へは2kmほどで、バスかタクシーで5〜10分ほど。
空港から市内行きは11番のバスで料金はUS$0.25、タクシーはUS$2〜3。
なお、タクシーはメーターの無いものが多いので、乗る前に値段の交渉をした方が良い。

長距離バスの場合は、キトのキトゥンベ・バスターミナル(Terminal Quitumbe)からクエンカのバスターミナル(Terminal Terrestre)まで8〜9時間ほど。

各地からのバスはここに到着するが、ここから市内までは約1㎞あり、バスかタクシーで5〜10分ほど。
タクシーはUS$2程度、バスは11番か28番で料金はUS$0.25。

通貨と言語とビザについて

エクアドルの通貨はUSドルが使用されていて、紙幣も硬貨もそのまま使える。
公用語はスペイン語だが、観光地では英語が通じる所もある。

また、エクアドルへの入国は、1年間で90日までの滞在であればビザ不要で、パスポートの残存有効期間は入国日から6ヶ月以上必要。

入国審査時に希望の滞在日数を伝えると、それに合った日数の滞在が許可される。
滞在中にトラブルなどが合った時に備え、滞在日数は多めに伝えた方が良い。

基本情報はこちら
エクアドルの基本情報-時差、言語、人口、宗教、首都、飲料水など

気候に関してはこちら
エクアドルの気候と観光・旅行のベストシーズン

エクアドルのその他の世界遺産についてはこちら
キト市街
ガラパゴス諸島

地方移住生活というサイトもやっています。
合わせて読みたい記事はこちら