ポルトガルの世界遺産・エヴォラ歴史地区

ポルトガルの世界遺産:エヴォラ歴史地区 観光・旅行情報まとめ

世界遺産の歴史と登録の概要


“テージョ川の彼方”という意味をもつアレンテージョ地方の中心都市であるエヴォラは、先住民族であるルシタニア人がこの地に町を造ったことから始まり、2000年以上の歴史をもつ古都である。

紀元前57年のローマ時代に町がローマの支配下になると、城壁に囲まれた要塞都市として発展する。
その後は、ローマ帝国の時代が続いていた4世紀にキリスト教が伝わり、8世紀に侵攻してきたイスラム教徒が町を商業都市として発展させ、12世紀にはキリスト教徒がこの町を奪還した。

それ以降はポルトガル・ルネサンスの中心として栄華を極め、エヴォラの町には多くの芸術家や建築家によって教会やカテドラルなどの建造物が造られる。

全長6kmに及ぶ二重構造の城壁の内部には、ローマ、イスラム、キリストというそれぞれの時代を物語る貴重な建造物が混在し、それらが町に独特の雰囲気を醸し出している。

このように、まるで町全体が博物館のようなエヴォラの城壁内には、様々な時代を象徴する歴史的建造物が多く残されており、1986年に“エヴォラ歴史地区”として世界遺産に登録された。

ポルトガルの世界遺産:エヴォラ歴史地区


エヴォラ観光の拠点はジラルド広場


各地からのバスは町の西側のバスターミナルに、列車は町の南側のエヴォラ駅に到着し、ここから城壁内の中心に位置するジラルド広場(Pr. do Giraldo)までは歩いて15〜20分ほど。
ジラルド広場には観光案内所があり、周辺にはホテルやレストラン、おみやげ屋などが集中している。

ここから東に延びる10月5日通り(Rua 5 de Outubro)は旅行者や地元民で賑わう通りで、この通りを上りきるとカテドラルやエヴォラ美術館、ロイオス教会やディアナ神殿、カダヴァル公爵邸やエヴォラ大学などの建造物が建ち並んでいる。

広場から南に延びる通りを行くと市場やサン・フランシスコ教会が、城壁の外には闘牛場やサン・ブラス教会があり、ここからさらに500mほど進むとエヴォラ駅がある。

広場から北へ延びる通りを進んでいくと、水道橋が城壁の外のサント・アントニオ要塞まで続いており、その他にも城壁の外にはカルヴァリオ修道院などがある。

ポルトガルの世界遺産:エヴォラ歴史地区

エヴォラの見どころ


サン・フランシスコ教会 Ig de Sao Francisco

16世紀前半に建設されたマヌエル様式の美しい装飾が施された教会で、この教会の最大の見どころは祭壇の右奥にある人骨堂(Capela dos Ossos)といえる。

修道院たちが瞑想するために造られたとされるこの人骨堂は、その名の通り約5000体の人骨で壁や柱が埋め尽くされており、その一角には親子のような大小2つのミイラが吊るされている。

開館6〜9月は9:00〜18:30、10〜5月は9:00〜12:30・14:30〜17:00、人骨堂への入館料は€3。

カテドラル&エヴォラ美術館 Catedral de Évora&Museu de Évora

12〜13世紀に建てられた大聖堂で、外観は要塞のような強固な見た目だが、内部は8角形のドームが印象的な美しい造りで、左右のバラ窓から射し込む光が荘厳な雰囲気を醸し出している。

聖堂内には16世紀に造られたパイプオルガンがあり、1584年9月8日に日本からエヴォラにやってきた天正遣欧少年使節の4人が、このパイプオルガンの演奏を聴いたといわれている。

内部の宝物館には、13世紀に象牙で造られた“天国の聖母”、17世紀に1426個の宝石を散りばめて造られた“聖レーニョの十字架”などが展示され、重厚な造りの回廊からテラス式の屋根に上がると、エヴォラの町から城壁の外まで見渡すことができる。

カテドラルの開館は4〜9月は9:00〜17:00、10〜3月は9:00〜12:30・14:00〜17:00、入館料は大聖堂・宝物館・回廊・塔、全て込みで€4.50。

隣接するエヴォラ美術館はかつての司教館を改装したもので、内部にはローマ時代からの彫刻や考古学品、大理石の女神、14世紀の受胎告知像、16世紀の三位一体像などが展示されている。

エヴォラ美術館の開館は4〜10月が10:00〜18:00、11〜3月が9:30〜17:30、月曜休みで入館料は€3。

公式サイトはこちら。
Museu de Évora

ロイオス教会 Ig dos Loios

15世紀に建設された教会で、ファサードは1755年の地震のあとに修復され、内部の壁一面を飾る美しいアズレージョは18世紀初期のもので、聖ローレンスの生涯を表している。

また、教会の床下にはガラス越し見ることができる小さな井戸と人骨堂がある。
開館は10:00〜18:00、月・祝日休みで入館料は€7(カダヴァル公爵邸を含む)。

カダヴァル公爵邸 Palacio dos Duques de Cadaval

ジョアン1世が当時のエヴォラ市長マルティン・アフォンソ・デ・メロのために14世紀に建設した邸宅。
ジョアン3世とジョアン5世が暮らしていたこともあり、美術品や調度品で飾られた部屋が公開されており、中庭はレストランになっている。

開館は10:00〜13:00・14:00〜17:30、月・祝日休みで入館料は€7(ロイオス教会を含む)。

ディアナ神殿 Templo de Diana

2〜3世紀にローマ人によって造られたコリント様式の神殿で、中世には要塞として使われた。
神殿は月の女神ディアナに捧げられたものだと考えられており、夜には美しくライトアップされる。

イベリア半島に残るローマ神殿の中では保存状態がよく、柱や土台には大理石や御影石が使われている。
24時間見学可能で、入場無料。

エヴォラ大学 Universidade de Evora

1559年にイエズス会の神学校として造られ、その後は大学となってアレンテージョ地方の学問の中心となり、各地から学者が招かれて講義を行ったという。

2階建ての回廊は白い壁に18世紀のアズレージョが施され、回廊に面して各教室がある。
開館は9:00〜20:00、土曜は9:00〜18:00、日・祝日休みで入場料は€3。

ポルトガルの世界遺産:エヴォラ歴史地区

エヴォラの天気・気候


年間を通じて温暖な気候のポルトガルは、日本の4分の1ほどの小さな国で、地域による大きな気候の違いはないが、南北に長い国のため地域によって若干気温差がある。

日本のように四季があり、夏は晴天に恵まれる乾季、秋から春にかけては雨が多く、不安定な天気が続く雨季となるが、日本の梅雨のように1日中雨が降り続くことはあまりない。

春(3〜5月)

気温は東京の春とさほど変わらず、3〜5月にかけて日増しに暖かくなっていき、5月に入ると日中は20℃を超える日が多くなり、季節は夏へと移り変わっていく。

日中は暖かくても朝晩は10℃前後まで気温が下がるので、薄手の上着があるといいでしょう。
3・4月は比較的雨が多く、1ヶ月に70㎜前後の雨が降るが、日本の梅雨のようにジメジメとはしない。

夏(6〜8月)

夏の平均最高気温は28℃前後で東京の夏より低く、朝晩は17℃前後まで気温が下がるので、暑くて寝苦しさを感じるようなことはあまりないでしょう。
乾季でカラッとした晴天に恵まれ、湿度が低いので日陰に入れば昼間でも涼しく感じるほど。

特に7・8月は全くと言っていいほど雨が降らず快適で、多くの旅行者で混雑するとはいえ、この時期がポルトガル観光のベストシーズンといえる。

秋(9〜11月)

気温は東京の秋とさほど変わらず、9月はまだ夏の暖かさを感じられるが、11月に入ると日中でも20℃を超える日はなく、朝晩は10℃前後まで冷え込み、季節は冬へと移り変わっていく。

また、乾季から雨季への変わり目でもあり、10・11月は1ヶ月に100㎜前後の雨が降る。
晴れている時は過ごしやすいが、1日の中で急に雨が降ったりすぐに止んだりするので注意が必要。

冬(12〜2月)

東京の冬よりはるかに暖かく、平均最高気温は14℃前後、最低気温は7℃前後で、雪が降ることはほとんどない。
しかし、雨季の真っ只中なので雨は多く、毎月100㎜を超える雨が降るので傘などの雨具があると便利。

エヴォラの天候グラフ

ポルトガルの世界遺産:エヴォラ歴史地区 観光・旅行情報まとめ
エヴォラの2012〜2013年の天候データ
出典:気象庁ウェブサイト
ポルトガルの世界遺産:エヴォラ歴史地区


アクセス:日本からの行き方


現在、日本からポルトガルへの直行便はなく、ヨーロッパの主要都市で乗り継いでポルトガルのリスボン空港に向かうのが一般的。
所要は乗り継ぎ込みで17〜20時間ほどで、日本を昼頃に出れば現地時間で同日の夜に着く。

空港からリスボン市内への移動について

空港からリスボン市内まで約7㎞あり、移動手段は空港バス、地下鉄、タクシーなどがあるが、旅行者が最も利用しやすいのはYellow Bus社が運行する空港バス。

空港バスはAerobusと呼ばれ、空港ターミナル1の到着ロビーの正面が乗り場になっている。
料金は€3.50で、チケットは乗車時に運転手から買うか、到着ロビーの観光案内所で買う。

バス会社公式サイトはこちら。
Yellow Bus

市内へのルートは2つあり、Linha1(City Center)はエントレカンボス、ポンバル公爵広場、ロシオ、コメルシオ広場などを経由しカイス・ド・ソドレ駅へ、Linha2(Financial Center)はエントレカンボス、セッテ・リオス、エスパーニャ広場などを経由しジョゼ・マリア通りへ行く。

Linha2のセッテ・リオス駅と、駅に隣接するセッテ・リオスバスターミナルからエヴォラ行きのバスや列車が出ており、エヴォラまで所要90分ほど。

通貨と言語とビザについて

通貨はユーロ(Euro)で表記は€、補助通貨はセント(Centimo)で表記は¢。
公用語はポルトガル語だが、観光地にある旅行者向けのホテルやレストランでは英語が通じる所も多い。

シェンゲン協定加盟国であるポルトガルへの入国は、90日以内の滞在であればビザは不要。
パスポートは残存有効期間がポルトガル出国予定日から3ヶ月以上と査証欄の余白が2ページ以上必要。

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