ハンガリーの世界遺産:パンノンハルマのベネディクト会修道院とその自然環境 観光・旅行情報まとめ
この記事の目次
世界遺産の歴史と登録の概要
首都ブダペストから西へ約100㎞、ハンガリー北西部に位置する小さな町パンノンハルマ。
ハンガリーのキリスト教信仰の拠点となったこの地の起源は996年、ハンガリー初代国王イシュトヴァーンの父ゲーザ公がチェコからベネディクト会の修道士を招き、修道院を建築したのが始まり。
この時に建築されたパンノンハルマ修道院は、現存する最古のキリスト教会のひとつであり、ハンガリー唯一のベネディクト会の修道院でもある。
その後、この地はモンゴル軍やオスマン帝国の侵攻を受けたが、修道士達はキリスト教の布教に力を注ぎ、侵攻により損傷した修道院を幾度となく補修、増改築をし、何世紀にも渡って守り続けてきた。
人里離れた小高い丘の上から町を見守り、激動の時代をくぐり抜けてきたパンノンハルマ修道院は、周辺の豊かな自然とともに、創建から1000周年となる1996年に“パンノンハルマのベネディクト会修道院とその自然環境”として世界遺産に登録された。
パンノンハルマの町と交通手段について
パンノンハルマはバコニュ山脈の北に位置する小さな町で、修道院と修道院博物館以外には特に見どころも無く、交通の便もあまり良くない。
列車は便数が少なく、駅から修道院までは歩いて40分近くかかるため、ジュールという町からバスを利用するのが一般的な方法。
ジュール駅近くのバスターミナルから、パンノンハルマ行きのバスが平日は1時間に1〜2本、土・日は1〜2時間に1本出ており、距離は約20㎞、所要時間は30〜40分ほど。
また、バスは2種類あり、パンノンハルマ修道院行き(Pannonhalma-var-fokapu)のバスは修道院正門前のバス停まで行くが、パンノンハルマを経由するだけのバスは修道院が建つ丘の麓までしか行かない。
この丘の麓のバス停はサバドサグ広場前(Szabadsag-ter)という名前で、ここから修道院までは歩いて20〜30分ほどかかる。
パンノンハルマの見どころ
パンノンハルマ修道院
人里離れた282mの小高い丘の上に建つパンノンハルマ修道院は、何世紀にもわたり増改築や修復が繰り返され、各時代の歴史や特徴が残されている。
996年に修道院が創設され、13世紀になると初期ゴシック様式の教会が、そして19世紀には高さ55mの時計塔が造られ、近年では2006〜2012年にかけても改装が行われた。
教会内や回廊には豪華な装飾が美しく施されており、柱やアーチ、そして教会と回廊をつなぐポルタ・スペシオーサ(Porta Speciosa)という扉なども見逃せない。
回廊の北にあるイシュトヴァーン礼拝堂のステンドグラスは小さいながらも一見の価値あり。
そして修道院内の古文書館は、古代ギリシャ建築の柱とフレスコ画の壁に覆われ、ハンガリー最古の古文書や聖書だけでなく、法学や薬学、地理学など36万冊以上の本が高い天井までびっしりと積み上げられており、18〜19世紀に作られた地球儀も展示されている。
パンノンハルマ修道院では古くからワイン造りが盛んに行われており、修道院のワイナリーや近くにあるヴィアトル(Viator)というレストランでワインを楽しむことができる。
また、6〜7月にかけて丘周辺のラベンダーやひまわりが一斉に花開き、辺り一面を色鮮やかに彩る。
修道院の入場料は2200Ft、博物館との共通チケットは3300Ft。
この他にも、ワインのテイスティングがセットになったワイナリーツアーなどもある。
公式サイトはこちら。
パンノンハルマ修道院
修道院博物館
2014年にオープンしたパンノンハルマ市内にある博物館で、常設展、特別展、ワインセラーという3つの展示が行われている。
常設展では修道院の歴史や宗教に関する展示が行われ、ワインセラーでは本物のワイン貯蔵庫を利用してワイン造りや樽造りの方法、ワイン造りと修道院との関係などを学ぶことができる。
特別展ではその時々の展示が行われている。
入場料は1つの展示のみは750Ft、3つ全ての展示は1500Ft、修道院との共通チケットは3300Ft。
公式サイトはこちら。
修道院博物館
パンノンハルマの天気・気候
内陸国であるハンガリーは北海道と同じくらいの緯度に位置し、気候は大陸性気候に属する。
日本のように四季があるが、地域によっての気候の差はあまりない。
日本と比べると年間を通じて雨が少なく、夏と冬の寒暖の差が大きい。
近年の異常気象の影響で、夏には最高気温が35℃に達することもあるが、冬は最低気温がマイナス10℃以下になることもある。
パンノンハルマの年間降水量は530㎜ほどで、毎月30〜70㎜ほどの雨が降る。
ハンガリー観光のベストシーズンは春から秋にかけての5〜9月で、7〜8月は旅行者で最も混雑する。
夏は6〜8月で、6月頃から気温が高くなり、日中は30℃を超えることも珍しくない。
7〜8月は異常気象の影響で35℃を超えることもある。
また、日照時間も長くなり、20時を過ぎても明るいほど。
しかし朝晩は気温が下がるので、薄手の上着があるといいでしょう。
パンノンハルマの6〜8月の平均最高気温は25℃前後で、最低気温は14℃前後。
12〜2月は本格的は冬となり、日中でも最高気温は5℃を下回る。
1〜2月は各地で雪が降り、最低気温は10℃以下になることもある。
深い霧が出る日も多くなり、朝晩はかなり冷え込むので防寒対策が必須となる。
パンノンハルマの12〜2月の平均最高気温は3℃前後で、最低気温はマイナス3℃前後。
ブダペストの天候グラフ
ブダペストはパンノンハルマの約100㎞東の都市。
パンノンハルマのグラフが無いので参考までに。
アクセス:日本からの行き方
現在、日本からハンガリーへの直行便はなく、最低1度は近隣諸国で乗り換えが必要になる。
一般的な経由地はパリ、フランクフルト、ヘルシンキ、アムステルダム、ウィーンなどで、これらの都市からブダペストのリスト・フェレンツ国際空港まで所要90分ほど。
日本から上記の都市までは所要12〜13時間ほど。
空港からブダペスト市内への移動について
空港からブダペスト市内までは約24km離れており、エアポート・シャトルバスやエアポート・タクシーを利用するか、もしくは市バスで駅まで向かい、地下鉄を利用して市内に向かう。
ブダペストからジュールへは、南駅(Deli-palyaudvar)と東駅(Keleti-palyaudvar)から鉄道が出ているが、本数は東駅からの方が多い。
- エアポート・シャトルバスで市内へ向かう
到着ロビーのエアポート・シャトルバス受付カウンターでチケットを購入して利用する。
空港から市内までが3つのエリアに分けられており、下車するエリアによって料金が異なる。ある程度乗客が集まってから出発するので待たされることもり、出発すると空港から目的地が近い順に乗客を降ろしていくシステムになっている。
公式サイトはこちら。
エアポート・シャトルバス - エアポート・タクシーで市内へ向かう
フォータクシー社(Fotaxi)が空港公認のエアポート・タクシーとして運行している。
料金はメーター制で、市内中心部までの料金は6000〜7000Ftほどが目安。公式サイトはこちら。
Fotaxi - 市バスと地下鉄で市内へ向かう
空港ターミナル2A前から市バス200E番で終点のクーバーニャ・キシュペスト駅(Kobanya-Kispest)まで行き、ここから地下鉄M3でデアーク・フェレンツ広場駅(Deák-Ferenc-tér)へと向かい、ここで地下鉄M2に乗り換え東駅へと向かう。
通貨と言語とビザについて
ハンガリーの通貨はフォリント(Forint)で、紙幣と硬貨が流通している。
公用語はハンガリー語だが、観光地などでは英語が通じる所も多く、ドイツ語も比較的よく通じる。
シェンゲン協定加盟国であるハンガリーへの入国は、90日以内の滞在であればビザは不要。
パスポートの残存有効期間は、ハンガリー出国予定日から3ヶ月以上必要。
シェンゲン協定加盟国に関しての詳細はこちら
シェンゲン協定加盟国への入国方法
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