アルゼンチンの世界遺産・コルドバのイエズス会管区

アルゼンチンの世界遺産:コルドバのイエズス会管区とエスタンシアス 観光・旅行情報まとめ

世界遺産の歴史と登録の概要


アルゼンチンの首都ブエノス・アイレスに次ぐ第二の都市コルドバは、16世紀に植民地としてスペイン人によって建設された町で、現在も17〜18世紀のコロニアルな町並みが残されている。

17世紀に入るとイエズス会の中心地として繁栄し、1613年にはアルゼンチン初の大学も誕生した。
その後もイエズス会によって学校や教会が建設され、郊外では6つの農場(エスタンシアス)が運営された。

農場は都市部の宗教施設の維持管理費を補うためと、郊外の住民の布教活動の拠点として役立ったが、1767年にスペイン王カルロス3世がイエズス会に植民地からの退去を命じると、農場や宗教施設は放棄され、イエズス会がこの地に戻る1853年まで、これらの宗教施設はフランシスコ会よって運営された。

反政府運動や大学革命運動の中心となったコルドバには、現在もイエズス会の宗教施設や農場が残されており、2000年に“コルドバのイエズス会管区とエスタンシアス”として世界遺産に登録された。


アルゼンチンの世界遺産:コルドバのイエズス会管区とエスタンシアス

コルドバ市内観光の中心はサン・マルティン広場


コルドバ市内観光の中心はサン・マルティン広場で、広場を囲むようにカテドラルやカビルド、観光案内所が建ち並び、ホテルやレストランもこの辺りに集中している。

バロック様式のカテドラルは18世紀に完成したもので、夜には美しくライトアップされる。
カテドラルの隣に建つカビルド(市議会)も18世紀のもので、現在は内部が歴史博物館として公開され、中庭ではコンサートなどのイベントが開かれる。

歴史博物館の開館は9:30〜12:30・14:00〜17:00、土・日は9:30〜13:00・15:00〜19:00、入館無料。
観光案内所はコルドバのパハス・ブランカス空港とバスターミナルにもあるが、広場に面した建物がメインオフィスになっている。

各地からのバスが発着するバスターミナルは、サン・マルティン広場から南東約1㎞にある鉄道駅の近くの3階建てのターミナルで、1階にはATMや観光案内所、各バス会社窓口が並び、2階はバスの発着所、3階にはキオスコ(KIOSCO)や飲食店などがある。

バスターミナルからサン・マルティン広場までは約1㎞で、歩いても行けるが、鉄道駅前からコレクティーボ(市バス)も出ている。

コレクティーボを利用するにはRed Busというカードを購入する必要がある。
日本のSuicaのようなもので、このカードにお金をチャージして利用する。

カードの料金は$25で、カードの購入やチャージは空港やバスターミナル、町中にあるキオスコでできる。
キオスコは日本の駅などにある“キオスク”のようなお店。

コロニアルな町並みが残るコルドバ市内は、道の一部が石畳の歩行者天国になっていて、サン・マルティン広場の北にある7月9日通り〜5月25日通りは市内で最も賑やかな繁華街である。

徒歩でも十分に観光できるが、カテドラル前からは主な見どころを巡る2階建ての観光バスが出ている。
ガイドの解説を聞きながら約90分で市内を周遊する観光バスで、水曜休みで料金は$150。

観光バスの公式サイトはこちら。
City Tour Córdoba

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コルドバ市内の見どころ


国立コルドバ大学と国立モンセラート中等学校

1613年にイエズス会によって開校されたアルゼンチン最古の大学で、イエズス会が退去した1767年から1853年までフランシスコ会よって運営され、その1年後に国立大学になった。
大学敷地内の中庭などは自由に見学できるが、建物内部の見学はガイドツアーへの参加が必須。

建物内部の見どころは中庭の西側にある図書館と、中庭の東側にある学位の間(Salio de Grados)。
図書館には学校で使われていた2500冊以上の書物が収められ、イエズス会が運営していた時代を感じる壁に囲まれている。
学位の間は美しく装飾された部屋で、かつては論文に関する質疑応答が行われていたとされている。

ガイドツアーでは、大学に隣接するラ・コンパニーア・デ・ヘスス教会を最初に見学し、教会内部を通って大学構内へと移動する。

大学の西側には国立モンセラート中等学校が建ち、こちらもガイドツアーでのみ内部の見学ができる。
英語とスペイン語のガイドツアーがあり、料金はどちらも$10。

公式サイトはこちら。
国立コルドバ大学
国立モンセラート中等学校

ラ・コンパニーア・デ・ヘスス教会

国立コルドバ大学に隣接する教会で、1640年にイエズス会によって建設が始められた。
内部のバロック様式の祭壇には、イエズス会創始者のイグナティウス・ロヨラや、日本への布教を行ったフランシスコ・ザビエルなどの像が収められている。

国立コルドバ大学のガイドツアーに参加しなくても、教会内は自由に見学できる。
開館は7:00〜13:00、17:00〜20:00で入場無料。

ドクトル・ヘナロ・ペレス美術館

1910年建てられたコロニアル様式の建物で、アルゼンチンを代表する絵画や彫刻が展示されている。
1階には主に19世紀の作品が展示され、2階には現代アートが展示されている。

開館は10:00〜20:00、月曜休みで入館無料。

ソブレモンテの家歴史博物館

18世紀に建てられた屋敷を博物館とし公開しており、内部には植民地時代の宗教画などが展示され、当時の家具などの日用品も置かれている。
建物自体も素晴らしく、各部屋には展示品の解説が記されている。

開館は9:30〜14:30、土・日は11:30〜17:30、入館料は$15。

サント・ドミンゴ教会

19世紀に建てられたピンク色の外観の教会で、2つの大きな鐘塔が印象的。
内部の祭壇にはコルドバの守護聖人である聖母像が置かれている。

コルドバ近郊の町について


コルドバの西側には、南北約500㎞にわたって広がるコルドバ山脈があり、森や湖に囲まれた周辺の高原地帯の町は、夏の避暑地として人気の場所。

代表的な町として、イエズス会の教会やチェ・ゲバラが住んでいた家があるアルタ・グラシア(Alta Gracia)、湖に面したビジャ・カルロス・パス(Villa Carlos Paz)などがある。

10月に行われるOktoberfest(ビール祭り)で有名なビジャ・ヘネラル・ベルグラーノ(Villa General Belgrano)やラ・クンブレシータ(La Cumbracita)は、第二次世界大戦後に多くのドイツ人が暮らしていた場所で、現在もドイツ風の町並みが残っている。

1月にはコスキン(Cosquin)でフォルクローレ・フェスティバルが開催される。


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コルドバの天気・気候


南米大陸の大部分を占めるアルゼンチンは、日本の約7.5倍となる280万㎢もの広大な国土をもち、南北の全長は3800㎞に及ぶため、気候は地域によって大きく異なる。
南半球に位置するアルゼンチンでは南に行くほど寒く、北に行くほど暑く、季節は日本と逆になる。

季節は日本のように四季がある地域、乾季と雨季に分かれる地域など様々である。
アルゼンチン中央部はパンパ(大平原)が広がっていて、このパンパの北西部に位置する標高約400mのコルドバは、比較的雨が少なく過ごしやすい気候をしている。

夏(12〜2月)の平均最高気温は28〜29℃、平均最低気温は16〜17℃。
冬(6〜8月)の平均最高気温は17〜19℃、平均最低気温は4〜6℃。

年間降水量は850㎜前後で、雨が少ない5〜9月は1ヶ月に10〜30㎜、10〜4月は1ヶ月に50〜150㎜。
観光のベストシーズンは、比較的雨が少なく涼しい5〜9月となる。
ただし、冬は1日の寒暖の差が激しく、朝晩はかなり冷え込むので防寒着の用意が必要。

コルドバの天候グラフ

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コルドバの2017〜2018年の天候データ
出典:気象庁ウェブサイト


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アクセス:日本からの行き方


現在、日本からアルゼンチンへの直行便はなく、アメリカのダラス、ヒューストン、アトランタ、ニューヨークなどを経由してブエノス・アイレス郊外のエセイサ国際空港に向かうのが一般的で、大抵のフライトは日本を夕方に出発し、翌日の早朝にアルゼンチンに到着する。
経由地や航空会社によるが、所要時間は乗り継ぎ込みで26〜32時間ほど。

その他では、ヨーロッパや中近東の主要都市、シンガポール経由のフライトもある。

また、アメリカ経由でアルゼンチンへ向かうには、事前にESTAの取得が必要。
ESTAに関しての詳細はこちら。
アメリカへの入国とESTA申請・取得方法

空港からブエノス・アイレス市内への移動について


ブエノス・アイレスには国際線が発着するエセイサ国際空港と、国内線が発着するホルヘ・ニューベリー空港のふたつがある。

エセイサ国際空港はブエノス・アイレス市内の南約35㎞にあり、市内や市内近郊にあるホルヘ・ニューベリー空港へは、空港タクシー、レミース、空港バス、コレクティーボのどれかで向かう。

空港から市内へはコレクティーボは所要約2時間、その他は所要40〜60分前後。

空港タクシー

空港到着ロビーにある受付カウンターで行き先を告げ、事前に料金を支払うシステムになっていて、市内やホルヘ・ニューベリー空港まで$450前後。
支払いを済ませレシートを受け取り、待機しているタクシーまで係員が誘導してくれる。

市内や空港の外で待機している普通のタクシーは日本のようにメーター制で、こちらを利用して市内まで行くことも出来るが、高くつく場合もあるので空港タクシーがオススメ。
空港タクシーは白い車体で、普通のタクシーは黒い車体で屋根が黄色。
空港タクシー会社公式サイトはこちら。

Taxi Ezeiza

レミース

日本のハイヤーのようなもので、料金はタクシーより高いが車両が大きく快適で、前払い制なのでぼったくられることもない。
市内やホルヘ・ニューベリー空港まで$540前後で、空港の各社カウンターで行き先を告げて料金を支払う。
レミースは空港以外でも利用でき、レストランやホテルなどでも呼んでもらえる。

空港バス

Tienda Leon社が市内バスターミナル行きを運行しており、利用申し込みは空港Aターミナル到着ゲートにある窓口で行う。
市内までは$140、ホルヘ・ニューベリー空港までは$150。

市内バスターミナルの場所は、レティーロ駅(Estacion Retiro)南側の、大きな英国塔が建つアルゼンチン空軍広場のすぐそば。

バス会社公式サイトはこちら。
Tienda Leon

コレクティーボ(市バス)

空港Aターミナルを出て100mほど直進し、突き当りを左折した所に乗り場がある。
バスの正面に大きく数字で路線番号が書かれていて、市内行きはNo.8のバス。
乗車の際に運転手に行き先を告げ、運転席横の券売機にお金を入れて切符を取る。

料金は$10で、紙幣は使えないので硬貨を用意しておく必要がある。
降りる際は日本のバスのようにボタンを押して知らせる。

ブエノス・アイレス市内からコルドバへの移動について


長距離バスの場合

長距離バスターミナルは3階建てで、レティーロ駅(Estacion Retiro)北側にある。
2階の案内所で目的地への便を運行しているバス会社とカウンター番号を聞き、3階の各バス会社のカウンターでチケットを購入しよう。
コルドバへは料金は$500前後で、所要時間は経由地にもよるが8〜11時間ほど。

バス会社公式サイトはこちら。
Nueva Chevallier
General Urquiza

国内線のフライトの場合

ホルヘ・ニューベリー空港からアルゼンチン各地へフライトがあり、コルドバへは所要1時間ほど。
コルドバのパハス・ブランカス空港から市内中心部へは約15㎞あり、タクシーやレミース、またはコレクティーボで所要30分ほど。
パハス・ブランカス空港の正式名称は、インヘニエロ・アンブロシオ・タラベジャ国際空港という。

通貨と言語とビザについて

通貨はアルゼンンチン・ペソ(Argentina Peso)で記号は$、補助通貨はセンターボ(Centavo)で記号は¢。
公用語はスペイン語だが、観光地にある旅行者向けのホテルやレストランでは英語が通じる所もある。
また、日本人の観光目的でのアルゼンチンへの入国は、3ヶ月以内であればビザは不要。

基本情報はこちら
アルゼンチンの基本情報-時差、言語、人口、宗教、首都、飲料水など

気候に関してはこちら
アルゼンチンの気候と観光・旅行のベストシーズン

アルゼンチンのその他の世界遺産についてはこちら
ロス・グラシアレス国立公園
ケブラーダ・デ・ウマワーカ
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