離島やへき地、限界集落に移住してみたいけど、医療の面が不安。
そんな人も多いでしょう。
私も離島に移住する前に同じことを考えていました。
この記事では、離島やへき地の医療事情と、現在取り組まれている対策についてまとめました。
今は健康で心配なくても、歳を重ねるごとに病気は身近なものに。
医療の問題で都市部に引っ越す人もいます。
移住前にその地域の医療事情をチェックし、下記の対策が取られているか確認しましょう。
難しい言葉があるかもしれませんが、この機会に理解を深めましょう。
1. 離島・へき地医療の現状と3つの主な課題
離島やへき地の医療は、都市部とは大きく異なる環境にあります。
限られた医療資源、医師不足、長距離搬送の必要性など、様々な課題を抱えているのが実情です。
ここでは、離島・へき地医療の現状と主要な3つの課題について見ていきましょう。
1-1. 医療機関の不足と医師確保の難しさ
離島やへき地では、医療機関の数が限られており、専門医が常駐していないことも珍しくありません。
離島や山間部の小さな診療所が地域医療の拠点となることが多く、医師の確保が難しいのが現状です。
私が移住した離島に病院はなく、小さな診療所が1つだけでした。
病院と診療所の違いはベッド(病床)の数。
病床が20未満であれば診療所、20以上であれば病院です。
1-2. 救急医療体制の脆弱性と搬送の問題
離島やへき地では、重症患者の救命に欠かせない高度な医療設備が不足しています。
また、ドクターヘリや救急車での長距離搬送が必要となるケースが多く、初期治療の遅れや天候による搬送制限など、様々な問題があります。
1-3. 高齢化と慢性疾患への対応の難しさ
離島やへき地では、若年層の流出により高齢化が進行しています。
慢性疾患を抱える高齢者が増える一方で、専門医や介護施設が不足しているため、継続的な治療やケアの提供が難しくなっています。
2. 遠隔医療の導入と3つのメリット
離島やへき地の医療課題を解決する鍵の1つが、遠隔医療。
インターネットを介して医師と患者をつなぐ遠隔診療は、離島・へき地医療の強力な味方です。
ここでは、遠隔医療の3つのメリットを解説します。
2-1. 専門医の知見を離島・へき地に届ける
遠隔医療システムを使えば、離島やへき地の診療所から都市部の専門医に相談することができます。
症例に応じたアドバイスを受けられるため、的確な診断と治療方針の決定が可能になります。
2-2. 通院負担の軽減と移動リスクの回避
船や飛行機での移動を強いられる離島や、公共交通機関が乏しいへき地では、患者の通院負担が非常に大きくなります。
遠隔診療を活用すれば自宅から受診できるので、体力的・経済的負担が軽減され、感染リスクも避けられます。
私が移住した島と本土をつなぐ定期船は1日5便、片道所要30分、料金は600円。
病院に行くたびにこれらのお金と時間が必要なのは、大きな負担ですよね。
2-3. 継続的な健康管理と重症化予防
離島やへき地では、慢性疾患を抱えながらも定期受診が難しい方が少なくありません。
遠隔モニタリングシステムを使えば、血圧や血糖値などのデータを医師に送信でき、早期の異変察知と治療調整が可能となります。
3. 地域連携の強化と3つの取り組み
医療資源が限られる離島・へき地では、様々な立場の方々が手を取り合い、地域全体で医療を支える体制づくりが欠かせません。
行政、医療・介護従事者、住民が一丸となって取り組んでいる3つのポイントを見ていきましょう。
3-1. 行政主導の医療環境整備
離島やへき地の医療を守るには、自治体の積極的な関与が不可欠です。
遠隔医療の導入支援、専門医の派遣調整など、行政主導の医療環境整備が進められています。
3-2. 多職種連携による切れ目ないケア
離島やへき地では医療スタッフが少ないため、多職種が連携し合って業務にあたっています。
診療所、訪問看護ステーション、介護施設などが情報共有を密にし、切れ目のないケアを提供する体制を整えています。
3-3. 地域住民の健康意識向上と互助の促進
限られた医療資源を効果的に活用するには、住民ひとりひとりが健康に対する意識を高め、セルフケアに取り組むことが大切。
地域のつながりを生かし、見守りや送迎などの互助活動を促進することも重要な視点。
4. へき地医療拠点病院と3つの役割
各都道府県には、へき地医療を支援する「へき地医療拠点病院」が設置されています。
この拠点病院が担う3つの重要な役割について解説します。
4-1. へき地診療所への医師派遣
へき地医療拠点病院は、管轄区域内のへき地診療所に医師を派遣する役目を担っています。
定期的な診療支援や緊急時の応援体制を整え、へき地の医療を下支えしています。
4-2. へき地医療従事者の養成・研修
拠点病院では、へき地医療に従事する医師や看護師を養成するための研修プログラムを提供しています。
地域特有の医療ニーズに対応できる人材を育成し、へき地医療の質向上を図ります。
4-3. 遠隔医療システムの運営と技術支援
へき地医療拠点病院は、管内のへき地診療所をつなぐ遠隔医療システムの運営も担当しています。
設備の整備や通信環境の確保、技術的なサポートを行い、円滑な遠隔診療の実施を支えています。
5. 移動診療車の活用と3つのメリット
離島や山間部など交通アクセスが悪い地域では、「移動診療車」が活用されています。
病院から離れた場所へ車両で赴き、その場で診療を行うことで、地域住民の医療アクセスを改善。
移動診療車の3つのメリットを見ていきましょう。
5-1. 通院困難者への医療提供
高齢者や障がい者など、自力での通院が難しい方にとって、移動診療車は大きな助けとなります。
自宅近くまで来てくれる診療車があれば、安心して医療を受けられるようになります。
5-2. きめ細やかな健康チェックと相談対応
移動診療車での診察では、普段の生活環境を医師が直接確認できるため、より的確なアドバイスが可能です。
定期的な健康チェックに加え、住民の健康相談にも丁寧に対応することで、疾病の早期発見・早期治療にもつながります。
5-3. 地域のニーズに即した巡回スケジュール
移動診療車の運用は、地域のニーズを踏まえた巡回スケジュールが組まれている場合も。
曜日や時間帯を工夫し、住民が利用しやすい形で診療車を運行することで、効果を最大化しています。
6. 住民主体の健康づくりと3つのアプローチ
離島やへき地では、住民自身が主体となって健康づくりに取り組むことが何より大切。
医療資源が少ない環境でも、住民の力を結集することで、健やかなコミュニティを築いていくことができるのです。
ここでは、住民主体の健康づくりに向けた3つのアプローチを提案します。
6-1. 健康教育と情報発信の強化
離島やへき地の住民に向けて、分かりやすい健康情報を発信していくことが重要です。
広報誌やポスターなどのアナログメディアに加え、SNSなどデジタルツールも活用し、多様な世代に届く工夫をしましょう。
6-2. 地域の健康イベントの定期開催
地域で健康教室や運動会など、楽しく健康について学び実践できるイベントを定期的に開催するのもオススメ。
住民同士の交流を深めながら、健康意識を高め合える場をつくりましょう。
6-3. 健康リーダーの育成と活躍促進
各地域から健康づくりのリーダーを育成し、その活躍を後押しすることも効果的。
自主的な健康サークルの立ち上げや、イベントの企画・運営など、住民の手で健康的なコミュニティを築く取り組みを支援しましょう。
まとめ
離島やへき地では、医療資源の不足という大きな課題を抱えています。
それでも、遠隔医療の活用や多職種連携の強化、住民の主体的な健康づくりなど、様々な対策が取られています。
それらを組み合わせることで、地域に根ざしたきめ細やかな医療・ケア体制が築かれています。
行政、医療・介護従事者、そして住民が一丸となって知恵を出し合い、アクションを起こしていく。
離島・へき地医療の未来は、こうした地域の結束と創意工夫に支えられていると言えるでしょう。
地域住民の協力で健やかなコミュニティを目指し、ひとりひとりができることから始めてみましょう。
離島やへき地へ移住したら、あなたにも力になれることがあるかも。