高齢者でも地方移住してやっていけるかな?
定年後の田舎暮らしに憧れる高齢者は多いですが、実際に移住すると思わぬ困難に直面することも。
この記事では、離島移住経験者の視点から、高齢者が田舎暮らしを後悔する7つの理由と、その対策についてご紹介します。
事前の心構えと対策で、充実した第二の人生を送りましょう。
移住後に「こんなはずじゃなかった」と後悔しないよう、この機会に理解を深めましょう。
1. 医療機関へのアクセスが不便
田舎では最寄りの総合病院まで車で1時間以上かかることも珍しくありません。
高齢になるほど定期的な通院の必要性が高まるが、田舎暮らしではそれが困難になります。
1-1. 専門医が少なく選択肢が限られる
都会と比べると田舎の医療機関は専門性に乏しく、いくつかの診療科をもつ小規模なクリニックが中心。
専門的な治療が必要になった場合、遠方の大病院まで通院しなければならないかも。
1-2. 救急車の到着に時間がかかる
田舎では救急車の到着が遅れがちです。
住宅が点在しているため時間がかかり、最寄りの病院まで長距離を移動することも。
万一の際に迅速な対応が受けられないリスクは無視できません。
初期対応の遅れが最悪の事態を招くことも。
1-3. オンライン診療の選択肢も乏しい
最近ではオンライン診療を導入する医療機関が増えていますが、田舎ではまだ十分に普及していません。
通信環境の問題もあり、オンラインでの受診は現実的ではないことが多いのです。
2. 公共交通機関が不便
田舎では公共交通機関の本数が少なく、マイカーに頼らざるを得ません。
免許返納後の移動手段の確保が大きな課題となります。
2-1. バスや電車の本数が少ない
田舎のバスは1時間に1本程度、最寄り駅まで歩いて30分以上かかることも珍しくない。
通院や買い物のたびに長い待ち時間を強いられるのは、高齢者にとって大きな負担。
2-2. タクシーを利用するには費用がかかりすぎる
免許返納後は、タクシーが重要な移動手段となります。
しかし、田舎では駅や病院までの距離が長いため、都会の何倍も料金がかかる場合も。
年金暮らしの高齢者にとっては、毎回のタクシー代は家計を圧迫します。
2-3. 外出を控えるようになり、閉じこもりがちに
バスもタクシーも使いにくいとなると、高齢者は次第に外出を控えるようになります。
「面倒だから」と家に閉じこもる時間が長くなれば、心身の健康にも悪影響が出て、痴呆(ボケ)になってしまうなんてことも。
3. 日常の買い物が不便
田舎の商店は品揃えが少なく、スーパーも遠方にしかありません。
日用品の調達から食料品の買い出しまで苦労が絶えません。
3-1. 地元商店の品揃えは乏しい
田舎の個人商店は、日用品のごく基本的なものしか置いていないことが多い。
欲しい商品がない、サイズや色が合わないといったことが日常茶飯事。
わざわざ遠出して買い物に行く羽目になります。
3-2. 大型スーパーまでの距離が遠い
生鮮食品から日用雑貨までまとめて購入できる大型スーパーは、田舎では貴重な存在。
しかし、自宅からは車で30分以上かかるなんてことも。
免許返納後の高齢者は、頼れる人がいないと買い物も満足にできないかも。
3-3. ネットスーパーの利用にも制約が
都会ではネットスーパーが普及し、自宅まで商品を届けてくれる便利なサービスも。
しかし田舎ではネットスーパー自体が対応していなかったり、対応範囲から外れていたりすることがほとんど。
4. 人付き合いの煩わしさ
田舎暮らしは、地域コミュニティとの付き合いが避けられません。
プライバシーを大切にする高齢者にとっては、想像以上に煩わしく感じることも。
4-1. 噂話が広まりやすい
田舎は人口が少なく、ちょっとしたことがすぐ噂になります。
「あの人、最近病院通いが多いらしい」「一人で大丈夫かしら」など、全てを観察されているようで落ち着きません。
4-2. 行事や集まりへの参加を強要される
「町内会の集まりは全員参加が原則」「お祭りの準備は男手が必要」など、地域の行事への参加は半ば義務化しています。
体調や気分に関係なく、断れば村八分をなるなんてことも。
4-3.「よそ者」扱いされることも
閉鎖的な田舎のコミュニティでは、長年住んでいる人でさえ「よそ者」扱いされることがあります。
馴染みのない土地で暮らすのは想像以上にストレスがたまるもの。
都会から移住した高齢者なら、なおさらでしょう。
5. 娯楽や社交の機会が少ない
都会には美術館やコンサートホール、習い事の教室など、退職後の時間を充実させる場所がたくさんあります。
しかし田舎ではそうした娯楽や学びの機会が乏しく、選択肢が限られています。
5-1. 映画館や劇場がない
田舎町に映画館や劇場はほとんどありません。
都会まで出かけない限り、最新の映画を大スクリーンで楽しんだり、感動的な舞台を鑑賞したりすることはできないのです。
娯楽の選択肢が少ないことは、退屈な日々につながりかねません。
5-2. 仲間と集まる場所がない
都会にはカフェやレストラン、公園など、友人と会話を楽しめる場所があふれています。
田舎にはそうしたオシャレなスポットは皆無で、仲間との交流の機会に恵まれません。
誰かと会うには自宅に招くしかないかも。
5-3. 生涯学習の機会が限られる
田舎では、新しい趣味を見つけたり知識を深めたりする機会が限られています。
本格的な習い事教室や専門的な講座は都会まで行かないと受講できず、気軽に始められる趣味もわずか。
好奇心旺盛なアクティブシニアにとっては、あまりにも選択肢が少ないといえるでしょう。
6. 空き家問題と地域の活気のなさ
過疎化が進む田舎では、シャッター街化した商店街、荒れ果てた空き家など、活気を失った街並みを目にすることが多い。
こうした地域の寂れた雰囲気は、日々の生活にも影を落とします。
6-1. 商店街がシャッター街と化している
田舎町の商店街は、シャッターを下ろした店舗ばかりが目立ちます。
以前はにぎわっていた商店街も、後継者不足から次々と店じまいに。
わずかに残る店もいつ閉店してもおかしくない状況。
シャッター街を歩くたびに、地域の衰退を実感させられるでしょう。
「本当にここに住んでいて大丈夫だろうか?」
そんな考えが自然と頭をよぎります。
6-2. 空き家が増え、景観を損ねている
人口減少が続く田舎町では、空き家が年々増えています。
管理が行き届かず、雑草が伸び放題になった家屋も珍しくありません。
こうした無残な光景は、街の美観を損ねるだけでなく、防犯上の不安も生みます。
6-3. 地域行事への参加者が減少
商店街の衰退は、地域のお祭りにも影響を及ぼします。
露店を出す店舗が減り、見物客も減少の一途。
かつてはにぎやかだった夏祭りも、年々規模が小さくなっているのが現状。
地域の寂しさを感じさせる出来事と言えるでしょう。
7. 季節や自然の厳しさ
田舎での生活は、自然と密接に関わります。
四季折々の風景を楽しめる一方で、厳しい自然環境に翻弄されることも。
高齢者にとっては、想像以上の困難が伴うかもしれません。
7-1. 冬の寒さと豪雪
田舎の物件は古く断熱性能が低い。
窓や玄関の建て付けの悪さが隙間を生み、屋内と屋外の温度が変わらないなんてことも。
また、雪国では都会とは比べものにならない豪雪地帯もあり、雪かきなどの作業が重労働となります。
体力の衰えた高齢者には、冬を乗り切るだけでもひと苦労なのです。
7-2. 不便な除雪体制
積雪量が多い地域では、道路の除雪が生活に欠かせません。
しかし田舎の除雪体制は、都会と比べると脆弱なことが多いのが実情。
除雪車が通るのを待つ間、買い物にも行けず不自由を強いられることも。
7-3. 夏の暑さと害虫
避暑地のイメージがある田舎も、夏は灼熱の太陽が照りつけます。
また、熱中症は室内でも発生します。
田舎のエアコンのない古い家屋では、熱気がこもって危険なレベルに。
さらに田舎特有の蚊やアブ、ハチなどの脅威も無視できません。
まとめ
田舎暮らしには、医療や交通、買い物など様々な面で不便が伴います。
人間関係の煩わしさ、娯楽の少なさ、地域の衰退なども、高齢者を大きなストレスにさらします。
快適なセカンドライフを送るためには、こうしたデメリットを十分理解し、事前の対策を講じておくことが大切。
理想だけでなく現実を見据えて、老後の住まい選びをしましょう。