マインドフルネスが生んだ”第3世代の認知行動療法”と呼ばれるACT(アクセプタンス&コミットメント・セラピー)。
マインドフルネスとの違いは?
初心者にオススメのACTの始め方と注意点は?
この記事では、ACTについてわかりやすく簡単に解説。
「ACTの効果が感じられない」とならないよう、この機会に理解を深めましょう。
自分は何にストレスを感じているのか?
ACTを取り入れてどうなりたいのか?
イメージしながら読んでみてください。
1. マインドフルネスとACTの3つの違い
ACTはマインドフルネスから生まれましたが、いくつかの重要な違いがあります。
マインドフルネスとACTの5つの違いを見ていきましょう。
1-1. 目的の違い
マインドフルネスは今この瞬間に意識を向けることで、心を落ち着かせリラックスすることが主な目的。
一方、ACTは心理的柔軟性を高め、価値観に沿った人生を送ることを目指します。
1-2. 扱う対象の違い
マインドフルネスは主に意識や注意の向け方を扱いますが、ACTはそれに加えて思考や感情、価値観、行動パターンなど、より広範囲を対象とします。
人生全体を見渡し、包括的にアプローチするのがACTの特徴。
1-3. 理論的背景の違い
マインドフルネスは瞑想を中心とした実践が主体ですが、ACTは関係フレーム理論という言語理論を基盤に持ち、科学的根拠に基づいた手法を多く取り入れています。
認知により重点を置いているのがACTの特色と言えるでしょう。
2. ACT入門におすすめの実践法3選
ACTに興味を持ったら、まずは気軽に実践してみるのがオススメ。
ここでは、初心者でも取り組みやすいACTの3つの方法を紹介。
日常生活に取り入れて、ACTを体験してみましょう。
2-1. 脱フュージョンのエクササイズ
脱フュージョンとは、思考と現実を切り離すスキル。
例えば「私はダメな人間だ」という考えがあったら、それをただの考えとして客観視する練習をします。
考えをそのまま信じ込まず、距離を置いて見る習慣を身につけましょう。
2-2. 価値観の明確化
ACTでは、自分の価値観に沿った人生を大切にします。
自分にとって本当に重要なことは何か?
仕事、家族、趣味、健康など、自分が心から大事にしたいものを言語化してみましょう。
価値観を言葉にすることで、進むべき人生の方向性が見えてきます。
2-3. コミットメントの宣言
明確になった価値観を実現するには、具体的な行動が必要不可欠。
価値観に沿った目標を立て、それを宣言してみましょう。
例えば「私は家族を大切にします。毎日家族と会話の時間を持ちます」など。
宣言することで、行動へのコミットメントが強まります。
3. ACTを実践する上での3つの注意点
ACTは柔軟性の高い手法ですが、効果的に実践するためのいくつかのポイントがあります。
ACTを始める際の3つの注意点をチェックしておきましょう。
3-1. 完璧主義は禁物
ACTでは、不快な思考や感情をコントロールしようとせず、あるがままに受け入れることを大切にします。
最初から完璧にできなくて当然。
ACTを始めたら完璧主義は脇に置いて、まずは気楽に実践してみましょう。
3-2. 習慣化を心がける
一時的にACTのエクササイズをしただけでは、大きな効果は期待できません。
1日3分でも良いので、ACTを日常的な習慣として根付かせることが大切。
継続することで、ACT的な思考様式が自然と身についていきます。
3-3. セルフケアと併用する
ACTは心理的柔軟性を高める強力なツールですが、万能薬ではありません。
バランスの取れた食事、適度な運動、良質な睡眠など、ACTと併せて総合的なセルフケアを心がけましょう。日々の生活習慣を整えることが、ACTの効果を支えます。
4. ACTと他の心理療法の3つの違い
ACTにはいくつかの特徴があり、他の心理療法とはアプローチが異なります。
ここでは、ACTと他の代表的な心理療法の3つの違いを見ていきましょう。
4-1. 認知行動療法(CBT)との違い
CBTは非合理的な思考を修正することで症状の改善を目指しますが、ACTは思考の内容そのものは変えようとしません。
思考をコントロールするのではなく、思考との付き合い方を変えるのがACTの特徴。
4-2. 精神分析との違い
精神分析は過去の経験や無意識に焦点を当てますが、ACTは今現在の体験を重視します。
過去にとらわれるのではなく、今この瞬間にコミットすることを大切にするのがACTの考え方です。
4-3. ソリューション・フォーカスト・アプローチ(SFA)との違い
SFAは目標達成に向けて解決策を探ることに注力しますが、ACTは価値観に沿った行動を促進することを重視します。
目標よりもプロセスを大切にし、その過程で心理的柔軟性を高めるのがACTの特徴と言えるでしょう。
5. ACTの3つのコアプロセス
ACTの実践では、3つのコアプロセスと呼ばれる要素を扱います。
それぞれが独立したスキルでありながら、相互に関連し合っています。
ACTの3つのコアプロセスを理解することで、より体系的に実践できるでしょう。
5-1. アクセプタンス(受け入れ)
アクセプタンスとは、不快な思考や感情をコントロールしようとせず、あるがままに受け入れることを指します。
思考や感情は常に変化するもの。
それらに振り回されるのではなく、客観的に観察する姿勢を養いましょう。
5-2. ディフュージョン(脱フュージョン)
ディフュージョンは、思考と現実を切り離すスキル。
「こんなことを考えている自分はダメだ」という思考があったら、それを現実と混同せず、ただの考えとして観察する練習をします。
思考に巻き込まれない心の持ち方が身につきます。
5-3. コンタクト(触れ合い)
コンタクトとは、今この瞬間の体験に意識を向けること。
過去や未来ではなく、現在の感覚や感情に焦点を当てましょう。
「いまここ」にとどまる練習を重ねることで、自分の内面により深く触れ合えるようになります。
6. ACTに関する3つのよくある質問
最後に、ACTについてよく聞かれる3つの質問に答えていきます。
ACTを学ぶ際に感じた疑問を解消して、理解を深めましょう。
6-1. ACTは誰に向いている?
ACTは、ストレスを抱えている人、人生の意味や方向性を見出したい人、心理的柔軟性を高めたい人など、幅広い人に活用できます。
特に、思考や感情に振り回されやすい人にオススメのアプローチと言えるでしょう。
6-2. ACTにはどんな効果がある?
ACTを実践すると、思考や感情へとらわれ過ぎない心の持ち方が身につきます。
その結果、ストレス耐性や心理的柔軟性が向上し、価値観に沿った人生を歩みやすくなります。
メンタルヘルスの改善や人生の質の向上が期待できるでしょう。
6-3. ACTを習得するにはどのくらい時間がかかる?
ACTのスキル習得に要する時間は個人差が大きいですが、日常的に実践を重ねることが大切。
1日3分の簡単なエクササイズから始めて、徐々に実践の幅を広げていきましょう。
習慣化して3ヶ月ほど続けると、変化を実感できることが多いですよ。
まとめ
ACTはマインドフルネスの考え方を発展させた、新しい心理療法のアプローチです。
受け入れ、脱フュージョン、価値の明確化など、3つのコアプロセスを扱うことで心理的柔軟性を高め、よりよい人生を送ることを目指します。
シンプルかつ実践的なACTのエクササイズを、ぜひ日常に取り入れてみてください。
ACTを通して、自分らしい価値観に沿った人生を歩んでいきましょう。