東京や都会に住んでいると、車の音やサイレン、工事の音など様々な騒音に悩まされることがありますよね。
では、都会と田舎で騒音に違いはあるのでしょうか?
都会と田舎の騒音の違いを知り、騒音対策を実践すれば、快適な生活が送れます。
また、「うるさいのは自分の周りだけじゃないんだ」とわかるだけでも安心感がありますよね。
この記事では、地方移住経験者の視点から、東京と田舎の騒音事情の違いを解説し、効果的な騒音対策をご紹介。
田舎や都会でどんな生活を送りたいのか?
イメージしながら読んでみてください。
この記事は環境省が公開した「お互いの思いやりで騒音のない社会を」と、総務省が公開した「騒音に関わる苦情とその解決方法」をもとに作成しました。
1. 東京や都会がうるさい3つの理由
東京や都会は人口が密集しているため、騒音レベルが非常に高くなっています。
特に、都心部は昼夜問わず騒がしい状態が続きます。
なぜ東京や都会はうるさいのか、その理由を3つ挙げてみましょう。
1-1. 交通量が多い
東京や都会は車の交通量が非常に多いのが特徴です。
特に、環状線や幹線道路は慢性的な渋滞になっています。
その結果、クラクションや空ぶかしなどの不要な騒音が発生しているのです。
また、首都高速道路が市街地の真上を走っているため、高架下の騒音はかなりのものです。
多くの車が行き交う東京や都会の交通事情が、騒音増大の一因となっているのは間違いありません。
1-2. 人口が密集している
東京23区の人口密度は約1万5千人/km²で、全国平均の約20倍にもなります。
つまり、非常に狭いエリアに多くの人が集中しているということ。
人が多ければ、それだけ話し声やイヤホンの音漏れなど、人に起因する騒音も増えます。
特に、歓楽街や繁華街では人の声が騒音の主な原因と言えるでしょう。
都内のあちこちにこうしたスポットがあるのも、東京や都会の騒音がひどい理由の1つです。
1-3. 工事現場が多い
東京や都会では、ビルの建設工事をはじめ、地下鉄や道路の工事など、常に何かしらの工事が行われています。
重機の稼働音やくい打ち音は、かなりの騒音レベルです。
防音対策が施されていてもうるさく感じるはず。
休日や夜間の工事であれば、なおさら騒音被害は大きくなります。
工事現場の多さは、東京や都会の騒音と切っても切り離せない関係にあると言えます。
2. 東京と田舎の騒音レベルを比較!意外な事実が
東京や都会の喧騒がひどいのはお分かりいただけたと思います。
では、東京と田舎では実際にどれくらい騒音レベルに差があるのでしょうか。
環境省の調査結果を見ると、意外な事実が分かります。
東京23区の平均騒音レベルは、なんと64デシベル。
一方、山間部の農村地域は45デシベル程度と、約20デシベルの差があったのです。
2-1. 東京の平均騒音は日本一
東京23区の平均騒音レベル64デシベルは、全国で最も高い数値。
因みに、政令指定都市の平均は59デシベルなので、東京の騒音レベルの高さが際立っています。
20デシベルの差は、音の大きさ的には4倍にもなるそう。
64デシベルというのは、電車の車内くらいの音の大きさ。
それが東京の平均騒音レベルというのは、考えさせられます。
2-2. 田舎は東京の1/4の騒音レベル
調査で最も静かだったのが、山間部の農村の45デシベル。
これは図書館内くらいの音の大きさです。
東京と比べると、その差は歴然。
人通りの少ない住宅街でも50デシベル程度なので、田舎の静けさは際立っています。
東京にや都会に疲れたら、ぜひ一度田舎の静寂を味わってみてください。
2-3. 東京でも意外に静かな場所が
とはいえ、東京にも比較的静かなエリアはあります。
例えば、多摩地域の住宅街などは昼間で50デシベル程度。
また、都心でも皇居周辺や大学のキャンパスは比較的静かだったりします。
東京のイメージと違い、緑の多い閑静な場所も点在しているのです。
東京に住まざるを得ない人は、自宅の周囲の環境も見直してみると良いかもしれません。
3. 騒音問題が深刻化?健康被害も
騒音レベルが高いと、単に気分が悪くなるだけでなく、健康被害のリスクも高まります。
特に、心血管系への影響が問題視されています。
東京のような大都市では、騒音問題が年々深刻化していると言えるでしょう。
騒音による健康被害について、もう少し詳しく見ていきましょう。
行政の対策とともに、個人でも騒音を避ける工夫が必要です。
3-1. 長期的な騒音暴露で心臓病リスクが増加
ドイツの研究で、航空機や道路騒音に長期間さらされると、心臓病や不整脈のリスクが高くなることが分かりました。
特に、夜間の騒音レベルが55デシベルを超えるような環境だと、そのリスクは2.3倍にもなるそうです。
また、同様の研究結果は日本でも確認されています。
新幹線沿線の騒音レベルの高い地域の住民は、そうでない人に比べて高血圧のリスクが高かったのです。
慢性的な騒音ストレスは、知らず知らずのうちに心臓に悪影響を及ぼしているのかもしれません。
3-2. 子供の聴力や言語発達にも悪影響が
騒音は子供の健やかな成長にも影を落とします。
ある研究では、飛行機の騒音下で暮らす子供は、聴力が低下したり、言葉の発達が遅れたりする傾向があることが判明。
長期的な視点で見ると、学力面での影響も懸念されています。
集中力が欠如したり、ストレスから情緒不安定になったりと、心身への悪影響は無視できません。
子育て中の親御さんは、居住地の選択にも気を配る必要がありそうです。
3-3. 東京都の騒音対策の取り組み
東京都では、騒音問題の深刻さを受けて、さまざまな対策に乗り出しています。
例えば、自動車騒音の低減のため、低騒音舗装の導入を進めたり、高速道路の遮音壁を設置したりしています。
また、建設工事については、騒音の少ない工法への転換や、騒音計の設置を事業者に要請。
飛行機や鉄道についても、それぞれ関係機関と連携しながら、騒音対策に力を入れているところです。
少しずつではありますが、行政の努力で東京や都会の騒音問題は改善に向かっていくはずです。
4. うるさい騒音から逃れる方法5選
東京や都会の騒音問題は深刻ですが、個人でも騒音から逃れる方法はいくつかあります。
生活スタイルに合わせながら、できることから実践していきましょう。
ここでは、比較的費用のかからない5つをご紹介。
さっそく見ていきましょう。
4-1. 高性能の耳栓で眠る
睡眠中の騒音は、心身の健康に悪影響を及ぼします。
そんな時は、耳栓を活用するのが一番手っ取り早い対策。
最近は遮音性能の高い耳栓も開発されているので、ぐっすり眠れるはずです。
シリコン製やウレタン製など素材もいろいろ。
自分に合ったものを選んで、安眠を手に入れましょう。
4-2. 二重窓で遮音効果アップ
窓は外の騒音が侵入しやすい場所。
遮音性の高い二重窓にすれば、騒音を大幅にシャットアウトできます。
内窓として、アクリル板やペアガラスを既存の窓に取り付けるだけ。
DIYで設置できるタイプも販売されているので、費用を抑えたい人におすすめです。
賃貸物件なら、つっぱり棒で固定するタイプもありますよ。
4-3. 厚手のカーテンで防音
窓からの騒音は、厚手のカーテンでも低減できます。
一般的なカーテンでも多少の効果はありますが、遮音カーテンなら防音効果は抜群。
ちりめんのような凹凸のある素材や、ウールのような高密度な素材がおすすめです。
カーテンを二重にするのもいいアイデア。
外の騒音が気になる時は、しっかりとカーテンを閉めておきましょう。
4-4. ホワイトノイズで騒音をかき消す
ホワイトノイズとは、自然の音や一定の周波数の音のこと。
この音を部屋に流すことで、外からの騒音を感じにくくできるのです。
ホワイトノイズを流す専用のスピーカーもありますが、無料アプリもあるのでお手軽。
波の音や鳥のさえずりなど、自分が心地いいと感じる音を選びましょう。
在宅ワークの集中力アップにも効果が期待できますよ。
4-5. 引っ越しで静かな環境を手に入れる
あまりにも騒音がひどいなら、引っ越しも視野に入れましょう。
住む場所を選ぶ際は、事前に現地を訪れて騒音レベルをチェック。
「騒音レベルマップ」などを参考にするのも良いでしょう。
マンションの上層階や、駅から離れた住宅街などを狙うのがおすすめです。
都心にこだわらず、郊外に目を向けるのも選択肢のひとつ。
5. マンション選びで重要な防音対策とは?
東京や都会で新居を探すなら、マンションがおすすめ。
ただし、騒音問題に悩まされないためには、しっかりとした防音対策が施された物件選びが重要。
物件選びの際は、次のようなポイントをチェックしてみましょう。
快適な住まいを手に入れるための参考になれば幸いです。
5-1. 二重床や二重天井の構造
最近のマンションでは、コンクリートスラブの上に置床を施した二重床や、天井裏に空間のある二重天井の構造が主流。
これにより、上下階からの騒音を遮断する効果が期待できるのです。
床材にも注目。
フローリングの場合はLL45等級以上がおすすめ。
厚みのある高品質な床材は、遮音性に優れています。
5-2. 高性能な防音サッシ
外からの騒音を遮断するためには、窓の性能も重要。
複層ガラスや防音サッシを採用している物件なら、高い遮音効果が見込めます。
開き戸タイプよりも、引き戸やFIX窓のほうが隙間が少ないのでおすすめ。
サッシと壁の間に発泡ウレタンなどが充填されているかどうかもチェックしましょう。
カタログ等でサッシの性能表示を確認するのを忘れずに。
5-3. 管理規約で楽器などの使用を制限
マンションによっては、管理規約で楽器の使用や生活音などについてルールを設けているところも。
ピアノの防音マットの設置や、深夜の楽器演奏禁止など、具体的な制限を設けて騒音トラブルを未然に防ぐのです。
内覧時には管理規約をしっかりチェック。
購入後に思わぬ制約に直面するのを避けるためにも、事前の確認が肝心です。
入居後のコミュニティ形成にも良い影響を与えるでしょう。
6. 田舎暮らしで騒音知らずの生活を
東京や都会の喧騒を離れ、自然豊かな田舎で暮らすのはいかがでしょうか。
移住先として人気なのは、長野県や静岡県など。
澄んだ空気と美しい緑に囲まれた環境で、心身ともにリフレッシュできます。
都会では考えられないほどの静寂に、心が洗われる思いがするはず。
田舎ならではの魅力をご紹介しましょう。
6-1. 鳥のさえずりで目覚める朝
田舎では、車の音やサイレンで目が覚めることはありません。
代わりに、小鳥のさえずりで一日が始まるのです。
まるで大自然からの朝の挨拶。
こんな贅沢な目覚めを、東京や都会では味わえません。
この瞬間だけでも田舎に移住する価値はあると思います。
6-2. せせらぎのBGMで癒しのひととき
田舎にはせせらぎが流れる場所が数多くあります。
透き通った水の音は格別で、時間を忘れて聞き入ってしまいます。
ピクニックやお散歩、読書などにも最適な環境。
大自然のBGMに身を任せているだけで、心の疲れが癒されていきます。
時にはせせらぎを巡る旅に出るのもおすすめです。
6-3. 虫の声が奏でる夜の静寂
田舎の夜は、虫の声がオーケストラのよう。
コオロギ、マツムシ、カエルなどが織りなすハーモニーに、心が洗われます。
窓を開ければ、いつでもその音色を楽しむことができるのです。
澄み切った星空を眺めながら虫の声に耳を傾ける。
至福のひとときを過ごせること間違いなしです。
7. 東京や都会でも自然音を楽しむ工夫を
いきなり田舎に移住するのはハードルが高いという人もいるでしょう。
東京や都会にいながら、自然の音を楽しめたらいいですよね。
そんな人におすすめなのが、都内の大きな公園や庭園です。
新宿御苑や代々木公園など、都心にも緑豊かなスポットが点在。
そこでは、かすかに聞こえる鳥のさえずりや風の音に耳を澄ませてみて。
7-1. 森林浴で鳥の声を聞く
東京にもまとまった森林がある大きな公園が存在。
散策路を歩きながら森林浴を楽しむのはいかが。
林の中では、さまざまな鳥のさえずりが聞こえてきます。
シジュウカラ、メジロ、ホオジロ。
その声を聞き分けるだけでも一興です。
7-2. せせらぎを求めて水辺散歩
井の頭恩賜公園や等々力渓谷など、都内にはせせらぎのある公園も。
水の流れに沿って散歩するのは格別の気分。
せせらぎの音を聞いているだけで、気持ちが落ち着きます。
川沿いのベンチでゆっくり過ごすのもおすすめ。
せせらぎのBGMで読書などを楽しめば、日常の喧騒を忘れられるでしょう。
7-3. 夜は虫の声を楽しむ
東京でも、公園や緑地で夜の虫の声を楽しめます。
スズムシやマツムシが鳴く季節は特におすすめ。
虫の声を聞きながら、夜空を見上げるひととき。
都会の喧騒から離れた別世界を味わえるはず。
虫の声を楽しめる場所を見つけておくと、いつでも静寂に包まれることができますよ。
まとめ
東京や都会の喧騒は、人々の心身を蝕みます。
田舎の自然の中で過ごす時間は、あなたの疲れた心を癒してくれるはず。
都会の利便性と引き換えに、私たちは静寂を失ってしまったのかもしれません。
しかし、時には耳を澄まし、自然の音に耳を傾けることが大切。
心の安らぎは、そこにあるのですから。
あなたも東京の喧騒を離れ、静寂を取り戻しに行きましょう。