巨大地震のリスクが高まる東京や周辺都市。
都会の人口密集地に潜む危険すぎるリスクとは?
帰宅困難者対策や復興シナリオの盲点に迫る。
今こそ知りたい、東京・都会の災害リスクの実態。
あなたの命と暮らしを守る知恵が、ここにある。
この記事は、国土交通省の「総合的な都市防災対策の推進について」と東京都防災の「知っておきたい災害知識」をもとに作成。
1. 首都直下地震が引き起こす、東京と都会の深刻な被害
南海トラフ地震に匹敵する大地震が東京と周辺都市を直撃。
都心部で最大震度7、死者は最大約2万3千人に及ぶと予測される。
木造住宅の倒壊や大規模火災の発生が懸念材料だ。
加えて、鉄道の運転停止により最大約800万人もの帰宅困難者が出現。
東京や都会の社会機能が一瞬にして麻痺するおそれがある。
1-1. 切迫性が高まる首都直下地震のリスク
政府の地震調査委員会によれば、今後30年以内にマグニチュード7クラスの首都直下地震が起こる確率は70%。
切迫性の高まりを示す数字だ。
しかし、平常時にはその脅威を実感しづらい。
だからこそ、ハード・ソフト両面から災害への備えを怠らないことが肝要。
あなたの周りにも、地震のリスクは潜んでいるのだ。
1-2. 都市の脆弱性が生み出す複合災害
東京や都会は人口や建物が密集する脆弱な都市構造。
地震の揺れによる建物倒壊や火災だけでなく、ライフラインの寸断、交通網の麻痺など複合的な被害が予想される。
木造住宅密集地域での延焼リスクも見過ごせない。
災害時要援護者の避難支援も大きな課題だ。
複合災害のリスクを考慮した被害想定と対策が不可欠である。
1-3. 深刻化する帰宅困難者問題
首都直下地震発生時、東京都内だけで最大約517万人の帰宅困難者が発生すると試算。
都心部のターミナル駅や主要駅には多数の人が滞留する。
一時滞在施設の収容能力を大幅に上回るおそれあり。
帰宅困難者対策は行政だけでなく企業の取り組みも重要。
「むやみに移動を開始しない」という基本原則の徹底が求められる。
2. 水害と土砂災害、東京を襲う自然の脅威
豪雨の激甚化により、水害リスクが年々高まっている。
東京や都会でも、中小河川の氾濫や内水氾濫による浸水被害が頻発。
局地的な集中豪雨は下水道の処理能力を上回り、都市型水害を引き起こす。
一方、急峻な地形を抱える山間部では土石流などの土砂災害も無視できない。
水と土砂、二つの脅威が東京や都会を脅かしているのだ。
2-1. ゲリラ豪雨がもたらす都市型水害
東京や都会では、わずか1時間に100mmを超える雨が記録される例も。
下水道の排水能力を超えるゲリラ豪雨により、道路冠水や地下空間への浸水が発生しやすい。
アスファルトやコンクリートに覆われた都市は保水・浸透能力が低く、一気に雨水が流れ込む。
河川の氾濫だけでなく内水氾濫にも警戒が必要だ。
ハザードマップを確認し、日頃から浸水リスクを把握しておこう。
2-2. 土砂災害警戒区域の拡大と課題
東京都内にも、土石流や地滑りなどの土砂災害警戒区域が約1万5000か所存在。
近年の豪雨により、その範囲はさらに拡大傾向にある。
しかし、警戒区域内にある住宅の移転や補強は進んでいない。
行政による危険周知と避難体制の整備に加え、住民の防災意識向上が急務だ。
身の回りの土砂災害リスクを今一度確かめてみよう。
2-3. 風水害に強いまちづくりに向けて
公園や校庭の貯留機能を高めるなど、雨水を一時的に溜める対策が有効。
個人でも、雨水タンクの設置や透水性舗装の導入で貢献できる。
森林の保全や斜面の防護により、土砂災害の発生を抑制。
危険区域の指定と警戒避難体制の強化も重要だ。
行政と住民が一体となり、東京と都会の風水害対策を進めていこう。
3. 高層ビル群を襲う長周期地震動の脅威
東京や都会の象徴ともいえる高層ビル群。
しかしそこには、通常の地震動とは異なる危険が潜んでいる。
「長周期地震動」という特殊な揺れだ。
遠方の大規模地震によって発生し、固有周期の近い高層ビルに共振して大きな揺れを生じさせる。
室内被害だけでなく、エレベーターの閉じ込めなどの二次災害リスクも高い。
3-1. 南海トラフ巨大地震がもたらす長周期地震動
内閣府の被害想定では、南海トラフ巨大地震の発生で、東京でも長周期地震動による被害が予測される。
高層ビルの固有周期と地震動の周期が一致すると、共振現象で揺れが増幅。
高層階ほど揺れが大きくなる傾向があり、最上階では中間階の2倍以上の揺れになるケースも。
家具の転倒や窓ガラスの破損など、室内損など、室内の被害が懸念される。
大きな揺れが長時間続くため、パニックや体調不良を訴える人も出るだろう。
3-2. 高層ビルの防災・減災対策の課題
既存の高層ビルの多くは、長周期地震動を考慮した設計になっていない。
室内の家具固定や窓ガラスの飛散防止フィルム貼りなど、できる対策から進めるべき。
エレベーターの長時間停止に備え、閉じ込め対策や水食料の備蓄も重要だ。
また、オフィスビルでは、什器の転倒防止や避難訓練の実施が必須。
入居者・滞在者の安全確保に向け、ビル管理者の役割は大きい。
3-3. 長周期地震動にも強靭な都市づくり
新築の高層ビルには、長周期地震動を見据えた構造設計を。
アクティブ制振装置など最新の技術で揺れを低減できる。
超高層ビルが林立する都心部では、長周期地震動の被害想定に基づく防災計画の策定を。
行政と民間が連携し、長周期地震動対策の強化を図ろう。
あなたが働くオフィスは大丈夫?
備えの見直しから始めよう。
4. 東京23区直下で最大震度6強の可能性
「首都直下地震」というと、相模トラフや南関東沖など都心から離れた場所を震源とするイメージが強い。
しかし、東京23区の真下でマグニチュード7クラスの直下型地震が起こる可能性もある。
東京湾北部地震や東京湾北部直下の地震は、都心での最大震度6強が予測される。
木造住宅密集地域を中心に、大きな被害が出るおそれがある。
23区の足下に潜む脅威を直視し、備える必要がある。
4-1. 東京湾北部地震の脅威
約4400年前と約2300年前に大規模地震が発生した東京湾沿いの断層。
過去の地震間隔から、次の地震発生確率は30年以内に70%程度。
都心部は震度6強の揺れに見舞われ、低地を中心に液状化も発生する。
死者数は最大約9700人、避難者数は最大約364万人に上ると試算。
あなたの住む地域の震度や被害を把握し、具体的な対策を進めよう。
4-2. 震度7にも脆い木造密集地
木造住宅が密集し、道路が狭い地域は地震に脆弱。
建物倒壊だけでなく、同時多発火災で大規模な延焼のおそれ。
震度7の揺れでは、ほとんどの木造家屋が大破・倒壊。
荒川区、台東区、墨田区など、都心にも木造密集地は点在する。
老朽家屋の耐震化・不燃化と、狭あい道路の拡幅整備を。
4-3. 直下型地震に強い街づくりへ
地域危険度測定調査で、住宅の倒壊や火災の危険性を把握。
住宅の耐震診断・改修や、感震ブレーカー設置を支援。
自治体と地域が協力し、狭あい道路の拡幅と沿道建物の不燃化を推進。
延焼遮断帯となる都市計画道路・公園の整備を加速化。
災害時の避難路を複数確保し、安全な避難場所の確保を。
5. 島しょ部の切迫する火山噴火リスク
伊豆諸島や小笠原諸島には、数多くの活火山が存在する。
三宅島や八丈島など、近年も噴火活動が活発な火山は少なくない。
大規模噴火時には、多量の火山灰や溶岩流、火砕流などの噴出物による被害が想定される。
全島避難を余儀なくされたケースもあり、備えが欠かせない。
火山ガスによる健康被害や農作物への影響なども見過ごせない脅威だ。
5-1. 伊豆大島と三宅島、大規模噴火の切迫性
伊豆大島は約100年の周期で山頂噴火を繰り返してきた。
前回1986年の噴火から30年以上が経過し、次の噴火が警戒される。
三宅島も、2000年噴火で全島民避難が長期化。
大量の火山ガス放出が続き、今も高濃度の地域が点在。
どちらの火山も、噴火の前兆をとらえ、早期の避難判断が重要だ。
5-2. 八丈島と青ヶ島、溶岩ドームの崩壊リスク
八丈島では、山頂付近に溶岩ドームが形成されている。
地震や噴火活動に伴うドームの崩壊で、山腹斜面への岩屑なだれが懸念される。
青ヶ島も、山頂の溶岩ドームの崩壊リスクあり。
ドーム崩壊と津波の複合災害の可能性も指摘されている。
両島とも、監視体制の強化と警戒避難体制の整備が急がれる。
5-3. 島しょ防災力の強化に向けて
火山活動の変化を早期に把握する常時観測・監視体制の拡充を。
ハザードマップの整備と島民への周知徹底が大切。
全島避難も想定した広域避難計画の策定と訓練を。
火山ガスや降灰への対策も個人や事業者レベルで進めよう。
火山との共生が島の営みを守る。
防災の視点を暮らしに根付かせたい。
6. 感染症や都市型テロ…新たな脅威にも目を光らせる
東京や都会を揺るがすリスクは自然災害だけではない。
人口密集地ゆえに拡大しやすい感染症や、国際都市ならではのテロの危険も無視できない。
ますます多様化する脅威に目を光らせ、備えを怠らないことが肝要だ。
行政の取り組みを待つだけでなく、一人一人が意識を高め、できることから始めよう。
新たな危機に臆することなく、しなやかに対応できる社会を東京や都会から創っていこう。
6-1. 都市機能を揺るがすパンデミックリスク
人・物の移動が活発なグローバル都市・東京は感染症が広がりやすい。
新型インフルエンザ等の発生時、医療体制の逼迫や物流の停滞が懸念される。
企業のBCP(事業継続計画)でも感染症対策の重要性が増している。
クラスター(感染者集団)の早期発見と拡大防止が都市機能維持の鍵を握る。
疑わしい症状が出たら自宅待機。
「うつさない」意識が何より大切。
6-2. ソフトターゲットを狙うテロの脅威
国際イベントの開催地としても注目される東京は、テロのターゲットになりやすい。
特に、不特定多数が集まる「ソフトターゲット」と呼ばれる施設が狙われる傾向。
ショッピングモールやイベント会場、交通機関などが該当する。
テロは予兆を捉えづらく、発生すれば大きな被害につながる。
普段から、不審者や不審物に目を光らせ、異変を感じたら速やかに通報を。
6-3. 危機管理の視点を暮らしに取り入れる
感染症への備えは、手洗いやマスク着用、体調管理の習慣化から。
在宅勤務・オンライン授業にも対応できる環境整備を進めよう。
テロ対策は、避難経路の確認や、緊急時の家族との連絡方法を決めておくことが大切。
危機管理の視点を日常生活に取り入れ、「備える」意識を育もう。
行政や企業、個人が協力して取り組む。
そんな東京や都会の姿を目指したい。
7. 復興シナリオを見据えた事前準備の必要性
発災時の応急対応力を高めるだけでなく、その先の復興過程をイメージしておくことが欠かせない。
特に、甚大な被害が予想される首都直下地震では、スムーズな復興なくして東京の再生はない。
しかし、復興の青写真を描くのは容易ではない。
生活再建と都市再生のバランス、そして平時の暮らしとの連続性。
復興まちづくりの多様な課題に向き合い、道筋をつけておく必要がある。
7-1. 生活再建と都市再生のジレンマ
被災者は一刻も早い生活再建を望む一方、都市の防災性向上のためには抜本的な再整備も求められる。
「地域の安全」と「個人の権利」をどう調整するか。
復興まちづくりの難題だ。
土地区画整理事業など従前の権利調整を図る手法の活用が考えられる。
将来像の共有と合意形成のプロセスが何より重要。
行政の縦割りを越えた復興体制の構築も欠かせない。
7-2. 平時の暮らしとの連続性を意識する
被災前からのコミュニティや地域の絆を、復興まちづくりにどうつなげるか。
平時から醸成された地域ビジョンを復興の羅針盤に。
住民参加型の復興プランニングを通じ、地域の個性を復興に反映させる。
仮設住宅での暮らしも視野に入れ、コミュニティの持続を後押しするサポートを。
オンラインツールも活用し、円滑な合意形成と多様な住民参加を促そう。
7-3. 復興シナリオ構築力を磨く
行政職員の復興シナリオ策定力を高める研修・訓練を充実させる。
都市計画とリンクした実効性の高い復興準備を平時から。
民間の都市開発とも連携し、災害復興での協働をあらかじめ想定しておく。
東日本大震災など過去の経験を復興ノウハウとして継承する。
専門家との協力体制、総合調整を担う人材の育成も大切。
まとめ:東京の災害リスクを直視し、備えを怠るな
切迫する首都直下地震から都市型水害、火山噴火まで。
東京や都会には数多くの災害リスクが潜んでいる。
巨大都市がゆえの脆弱性を克服し、いざという時に立ち上がる強靭さを備えるには、ハード・ソフト両面からの地道な取り組みの積み重ねが大切。
災害の教訓を生かし、復興の青写真を描く。
その先に見えてくるのは、災害に屈しない持続可能な都市の姿だ。