「都会は田舎よりも肥満率が低い」は本当か?【生活習慣】

「都会は田舎よりも肥満率が低い」は本当か?【生活習慣】

あなたは都会と田舎で肥満率に違いがあるのをご存知ですか?

実は、都会よりも田舎の方が肥満率が高い傾向にあるのです。

その理由について、国民健康・栄養調査のデータを基に詳しく解説していきます。

この記事を読めば、地域による肥満率の違いが生まれる原因が分かります。

また、あなた自身の生活習慣を見直すきっかけにもなるでしょう。

肥満を予防するための具体的なアドバイスも提示しますので、最後までお付き合いください。

この記事は、厚生労働省が公開した都道府県別の肥満及び主な生活習慣の状況をもとに作成しました。

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1. 都道府県別の肥満率を比較!田舎の方が高い?

国民健康・栄養調査の平成18〜22年のデータを見ると、肥満者の割合は都道府県によって大きく異なります。

肥満率が高い県の上位は、沖縄県、宮崎県、栃木県、福島県、徳島県など比較的田舎と言われる地域が目立ちます。

一方、東京都、神奈川県、京都府、静岡県など都市部の肥満率は下位に位置しています。

肥満率の全国平均は31.1%ですが、最も高い沖縄県は45.2%、最も低い山口県は22.1%と、その差は23.1ポイントにも及びます。

つまり、田舎の方が肥満率が高く、都会は低い傾向があると言えるでしょう。

1-1. 男性の肥満率は沖縄県がダントツ!

特に顕著なのが男性の肥満率で、沖縄県は45.2%と全国平均を14.1ポイントも上回っています。

沖縄県に次いで高いのが宮崎県の44.7%、栃木県の40.5%と続きます。

これらの県は、大都市圏から離れた地方に位置するという共通点があります。

一方、男性の肥満率が低いのは山口県の22.1%、福井県の22.5%、滋賀県の23.0%などです。

肥満率の地域差は、生活習慣の違いが大きく影響していると考えられます。

1-2. 女性は肥満率が低い?データ不足で分析困難

一方、女性のデータを見ると、該当者の割合が少なく変動係数が大きいため、都道府県別の解析は行われていません。

全国平均で見ても、男性の肥満率が31.1%なのに対し、女性は12.2%と低い水準にとどまっています。

これは、女性の方が体型や見た目を気にする傾向が強く、肥満を避ける意識が高いことが要因と言えるでしょう。

また、女性は妊娠・出産を経験することで、体重管理に関心を持つ機会が多いことも影響していると考えられます。

男女で大きな肥満率の開きがある現状は、健康への意識の差が表れていると言えそうです。

1-3. 10%以上の地域差が!生活習慣の違いが影響か

肥満率の上位県と下位県を比べると、その差は10%以上に達します。

この地域差は、単なる偶然ではなく、生活習慣の違いが大きく影響していると考えられます。

田舎では車社会が発達し、徒歩や自転車での移動が少ない傾向にあります。

一方、都会では公共交通機関が発達しているため、歩く機会が多くなります。

また、食生活や飲酒・喫煙習慣なども地域によって異なるでしょう。

この章の要点
  • 都道府県別の肥満率を比較すると、田舎の方が高く、都会は低い傾向がある
  • 特に男性の肥満率は地域差が大きく、沖縄県が45.2%でダントツ
  • 肥満率の地域差は10%以上に及び、生活習慣の違いが影響していると考えられる

2. 地域で異なる野菜摂取量と食塩摂取量

肥満率の地域差を生む原因として、食生活の違いが挙げられます。

国民健康・栄養調査では、野菜と食塩の摂取量も都道府県別に集計しています。

肥満率が高い県と低い県で、野菜と食塩の摂取量にも違いが見られるのでしょうか。

データを詳しく見ていきましょう。

野菜と食塩の適正な摂取量を意識することが、肥満予防の第一歩になります。

2-1. 野菜摂取量が少ないのは肥満率上位県の特徴

野菜摂取量の全国平均は、男性が301g、女性が285gです。

最も多いのは長野県で、男性379g、女性353gと群を抜いています。

一方、最も少ないのは男性が徳島県の245g、女性が香川県の229gでした。

肥満率が高い沖縄県、宮崎県、徳島県は、野菜摂取量が下位に入っています。

野菜不足が肥満のリスクを高めている可能性が考えられます。

2-2. 食塩摂取量は長野県が最多!減塩の意識は低い?

一方、食塩摂取量が最も多いのは、野菜摂取量でトップだった長野県です。

男性は12.5g、女性は10.7gと、全国平均を大きく上回っています。

これは、同県の郷土料理に味噌を多用する食文化が影響しているのかもしれません。

また、長野県は野菜摂取量が多いため、減塩の意識が低い可能性も考えられます。

食塩の取りすぎには注意が必要です。

2-3. 野菜を多く、食塩控えめが肥満予防のカギ

肥満率が低い都道府県の共通点は、野菜摂取量が比較的多いことが分かります。

野菜は低カロリーながら食物繊維が豊富なので、満腹感が得られ、食べ過ぎを防止する効果があります。

また、カリウムなどのミネラルが豊富なので、余分な塩分を排出してくれます。

一方、食塩の取りすぎは高血圧や動脈硬化など、生活習慣病のリスクも高めてしまいます。

この章の要点
  • 野菜の摂取量が少ないのは、肥満率が高い県の特徴
  • 食塩摂取量が最も多いのは長野県で、減塩への意識は低めかも
  • 野菜を多く、食塩を控えめにすることが肥満予防のカギ

3. 田舎は歩数が少ない?肥満の原因を探る

食生活以外に、運動習慣の差も肥満率の地域差に影響していると考えられます。

国民健康・栄養調査では、都道府県別の1日の平均歩数も集計しています。

歩数が多いほど、肥満リスクは低くなるはずです。

果たして、肥満率の高い県と低い県で、歩数に違いは見られるのでしょうか

肥満率上位県と下位県の歩数を比較してみましょう。

3-1. 歩数が少ないのは田舎の特徴?肥満率との関連性

1日の平均歩数が最も多いのは、男女ともに兵庫県でした。

男性は7,964歩、女性は7,063歩と、全国平均を大きく上回っています。

一方、最も少ないのは男性が鳥取県の5,634歩、女性が山梨県の5,152歩です。

肥満率が高い沖縄県、徳島県、宮崎県などは、軒並み歩数が少ない傾向にあります。

田舎は車社会のため、歩く機会が少ないことが要因と考えられます。

3-2. 1日1,000歩以上の差が!都会と田舎の二極化

都道府県別の歩数を見ると、上位県と下位県の差は1,000歩以上に及びます。

特に男性は、兵庫県と鳥取県で2,330歩もの大きな開きがあります。

歩数が多い上位県は、兵庫県、東京都、神奈川県など大都市圏が目立ちます。

都会では、通勤や移動で歩く機会が多いためだと考えられます。

一方、地方では車への依存度が高く、歩数が少なくなってしまうのでしょう。

3-3. 意識的に歩数を増やす工夫を!

1日の歩数は、その人の生活習慣を端的に表す指標と言えます。

都道府県別の平均歩数を見ると、男性は7,225歩、女性は6,287歩です。

厚生労働省は、1日の歩数の目標値を男性9,000歩、女性8,500歩としています。

この目標値に到達している県は、男女ともに一つもありませんでした。

特に地方に住む人は、意識的に歩数を増やす工夫が必要不可欠と言えるでしょう。

この章の要点
  • 歩数が少ないのは田舎の特徴で、肥満率の高さと関連がある
  • 都会と田舎では1日の平均歩数に1,000歩以上の差がある
  • 厚労省の目標値に届く県は一つもなく、意識的に歩数を増やす工夫が必要

4. 喫煙率が高いのは田舎の男性!肥満リスク上昇も

肥満の原因として、喫煙も無視できない要因です。

喫煙は、脂肪の分解を抑制し、内臓脂肪を蓄積させる作用があるためです。

都道府県別に見ると、喫煙率にも大きな地域差が見られました。

肥満率と同様に、上位県と下位県の特徴を見ていきましょう。

喫煙は肥満だけでなく、がんなど様々な病気のリスクを高めるので要注意です。

4-1. 田舎の男性は喫煙率が軒並み高い

喫煙率のデータは女性が少なく、変動が大きいため、男性のみを比較の対象とします。

喫煙率が最も高いのは青森県で44.8%、次いで和歌山県の44.7%、鳥取県の43.7%と続きます。

これらはいずれも地方の県で、大都市圏から離れているという共通点があります。

一方、最も低いのは福井県の31.5%、群馬県の32.3%、熊本県の32.7%でした。

喫煙率は、肥満率と同様に、田舎の男性ほど高い傾向が見られます。

4-2. 男性の喫煙率は30%台、女性は10%未満

全国の喫煙率は、男性が37.2%、女性が11.3%です。

男女で大きな開きがあり、男性は3人に1人以上が習慣的に喫煙しています。

喫煙率を都道府県別に見ると、男性は最も低い県でも30%を超えています。

一方、女性の喫煙率は、10%未満の県が大半を占めています。

男性の喫煙率の高さは、健康面だけでなく受動喫煙の観点からも問題と言えます。

4-3. 肥満に喫煙の二重リスク!早めの禁煙を

肥満と喫煙は、生活習慣病のリスクを高める点で共通しています。

喫煙には、血管を収縮させて血流を悪化させる作用もあります。

その結果、高血圧や動脈硬化、虚血性心疾患などを引き起こすリスクが高まります。

肥満と喫煙の二重のリスクを抱えることは、健康面から見ても由々しき問題です。

喫煙率が高い地域は、肥満対策とともに、早めの禁煙を呼びかけることが重要でしょう。

この章の要点
  • 喫煙率が高いのは田舎の男性で、肥満率と同じ傾向がある
  • 男性の喫煙率は3人に1人以上と高く、女性と大きな差がある
  • 肥満と喫煙の二重リスクは健康上の問題で、早めの禁煙が必要

5. お酒は太る!?地域別の飲酒習慣と肥満の関係

喫煙と並んで、飲酒も肥満のリスク要因として知られています。

アルコールは肝臓で分解されるため、過剰摂取は内臓脂肪の蓄積につながります。

飲酒習慣者の割合を都道府県別に見ると、喫煙率と同様の地域差が見られました。

適量の飲酒は健康面で良い影響もありますが、飲み過ぎには要注意です。

肥満予防の観点から、地域の飲酒習慣について考えてみましょう。

5-1. 東北と島根県が飲酒習慣者の多さでトップ

飲酒習慣者の割合も、男性のデータのみを見ていきます。

トップは青森県の51.6%で、2位は鳥取県の48.5%、3位は島根県の48.3%でした。

いずれも全国平均の35.9%を大きく上回っています。

青森県は喫煙率も全国1位で、飲酒と喫煙の両リスクが高い特徴があります。

一方、最も低いのは三重県の28.6%、次いで静岡県の29.5%、香川県の30.1%です。

5-2. 地域の飲酒文化が習慣の背景に?

青森県や島根県は、地酒の生産が盛んな土地柄です。

日本酒や地ビールなど、酒造メーカーも数多く存在します。

飲酒が地域の文化や交流の一部となっていることが、高い飲酒率の背景にあると考えられます。

一方、飲酒率の低い静岡県や香川県は、お茶の産地としても有名です。

日常的にお茶を飲む習慣が根付いていることが、飲酒率の低さにつながっているのかもしれません。

5-3. 適量の目安は?アルコールとうまく付き合うために

厚生労働省は、生活習慣病のリスクを高めない飲酒量の目安を示しています。

それによると、1日当たりの適量は、純アルコールで20g程度とされています。

日本酒なら1合、ビールなら中瓶1本、ワインならグラス2杯が目安量です。

また、週に2日は休肝日を設けて、肝臓を休めることも大切です。

飲酒習慣が根付いている地域では、適量を知り、休肝日を設ける習慣を促進することが肝要でしょう。

この章の要点
  • 青森県は飲酒率も喫煙率も全国1位で、生活習慣病リスクが高い
  • 飲酒率の高い地域は酒造メーカーが多く、飲酒文化が根付いているのが特徴
  • 純アルコール20g程度を目安に適量を心がけ、週2日の休肝日を設けるのが◎

6. 仕事や家事で自然に動ける環境づくりを

田舎は肥満率が高い一方、都会は低い傾向にあることが分かりました。

その背景には、生活習慣の地域差が大きく影響しています。

特に、歩数の多さが肥満率の低さと関連が深いようです。

そこで、日常生活の中で自然と歩数が稼げる工夫を提案します。

ライフスタイルに合わせて取り入れやすいものを選んでみてください。

6-1. 「歩く」を通勤・通学スタイルに!

都会では、公共交通機関を使った通勤・通学スタイルが主流です。

自宅と最寄り駅の間の移動だけでも、毎日の歩数増加に貢献します。

可能なら、1駅分歩いてみるのもおすすめです。

時間に余裕がある時は、目的地から2〜3駅手前で降りてみましょう。

また、昼休みにランチに出かけるのも、歩数アップのチャンスです。

6-2. 「ながら歩き」で家事も楽しく効率UP

家の中では、家事の合間に意識的に歩くことを心がけましょう。

電話をしながら、テレビを見ながら歩いてみるのもおすすめです。

掃除機をかける時も、テキパキと動けば立派な運動になります。

音楽を聴きながら、リズムに乗って体を動かすのも良いでしょう。

「ながら歩き」を家事に取り入れれば、肥満予防と効率アップが同時に叶います。

6-3. 休日のお出かけはウォーキングがてら

休日のレジャーは、ウォーキングと組み合わせるのが一石二鳥です。

ショッピングモールや大型スーパーは、歩きながら買い物を楽しめる絶好の場所。

行楽地に出かける時は、駐車場から少し離れた場所に停めてみましょう。

公園や観光スポットを巡るのも、歩数稼ぎに持ってこいです。

散歩がてら立ち寄れるカフェを見つけるのも、楽しいウォーキングになりそうです。

この章の要点
  • 通勤・通学を歩くスタイルにすると自然と歩数が稼げる
  • 家事の合間にながら歩きを取り入れて、楽しみながら動こう
  • 休日のお出かけ先でウォーキングを兼ねると一石二鳥

7. 個人の努力×社会環境の改善で健康格差を是正

最後に、肥満率の地域差を解消するための提言をまとめます。

個人の努力だけでなく、社会全体で取り組むことが重要だと考えます。

健康は個人の問題であると同時に、社会の問題でもあるのです。

生活習慣の改善と環境整備の両面から、肥満対策を進めることを提案します。

この章では、行政に求められる施策についても言及していきます。

7-1. 健康情報を発信!メディアの活用が鍵

健康的な生活習慣を浸透させるには、正しい知識の普及が欠かせません。

行政は、テレビやインターネットなどのメディアを活用した情報発信を積極的に行うべきです。

健康番組の放送や、分かりやすいWebサイトの開設などが考えられます。

著名人を起用した啓発キャンペーンも効果的かもしれません。

メディアの力で健康情報を届けることで、生活習慣の見直しを促すことができるでしょう。

7-2. 健康的な食環境を整備!外食産業にもお願い

個人の食生活を改善するには、外食産業の協力も不可欠です。

外食やコンビニ食に頼る人が多い現代社会では、健康的なメニューの充実が急務と言えます。

また、給食を提供する学校や職場の食堂にも、健康的なメニュー作りを求めることが重要。

食を取り巻く社会全体で健康志向を高めることで、肥満予防につなげたいものです。

7-3. 歩きたくなる街づくりを!ウォーカブルな都市設計

運動不足解消のカギは、歩数を増やせる生活環境の整備にあります。

そのためには、歩行者に優しい都市設計、いわゆる「ウォーカブル」なまちづくりが求められます。

歩道の整備やバリアフリー化、ベンチの設置など、歩きやすさを追求することが大切です。

また、公園や緑道の充実で、散歩したくなる街並みを形成することも効果的でしょう。

行政主導で進める健康的なまちづくりが、住民の歩数アップに一役買うはずです。

この章の要点
  • メディアを活用した健康情報の発信で生活習慣の改善を促す
  • 外食産業にも健康的なメニュー作りを要請し、食環境を整備
  • ウォーカブルな都市設計で歩きたくなる街づくりを推進

まとめ

国民健康・栄養調査の結果から、肥満率は都会より田舎の方が高いことがわかりました。

その背景には、歩数の少なさ、野菜不足、喫煙や飲酒習慣の多さなど、生活習慣の違いが関係しています。

田舎に住む人は、まずは自身の生活習慣を見直すことが大切。

意識して野菜を食べ、ながら歩きを取り入れ、禁煙・節酒を心がける。

そうした一人一人の努力の積み重ねが、肥満率の改善につながるはずです。

肥満は万病の元。

健康格差の是正は、社会全体で取り組むべき喫緊の課題です。

今こそ、一人一人が意識を変え、行動を起こすとき。

地域に根付いた健康習慣を育み、誰もが心身ともに健やかに暮らせる社会の実現を目指しましょう。