マインドフルネスを初めて学ぶ人にとって「7つの態度」は大切な教えですが、一体その意味するところは何でしょうか。
この記事では、マインドフルネス瞑想の7つの態度について、その意義と実践方法をわかりやすく簡単に解説。
7つの態度を身につけることで、瞑想の効果を最大化し、日常生活にもマインドフルネスを活かすことができます。
仏教の教えとの関連性や、無意識のうちに7つの態度を体現している人の特徴などもあわせてご紹介。
「マインドフルネス瞑想の効果が感じられない」とならないよう、この機会に理解を深めましょう。
自分は何にストレスを感じているのか?
マインドフルネスを取り入れてどうなりたいのか?
イメージしながら読んでみてください。
1. マインドフルネス瞑想の7つの態度とは何か
マインドフルネス瞑想を実践する上で欠かせないのが「7つの態度」と呼ばれる心構え。
これは、瞑想の父と称されるジョン・カバットジンが提唱したもので、瞑想中だけでなく日常生活でも意識すべき態度とされています。
7つの態度とは下記の通り。
- 非判断
- 忍耐
- 初心者の心
- 信頼
- 非努力
- 受容
- 手放し
これらは、雲をぼんやり眺めるように、思考や感情を静かに観察する際の心構えと言えるでしょう。
1-1. 非判断の態度で思考や感情をあるがままに観察する
非判断とは、思考や感情を「良い・悪い」「正しい・間違い」などのレッテルを貼らずに、客観的に観察することを意味します。
瞑想中は雑念が次々と浮かんできますが、それを批判したり抑え込んだりせず、そっと見守るようにします。
例えるなら、頭の中をスクリーンに見立てて、浮かんでは消える思考を傍観者の立場から眺めるイメージ。
非判断の態度を保つことで、とらわれの少ない澄んだ心を育んでいきます。
1-2. 忍耐強く今ここに意識を向ける
マインドフルネス瞑想では、今この瞬間の体験に意識を向け続けることが求められます。
息が出入りする感覚や、体の一部に生じる感覚を丹念に観察していきます。
ただし最初のうちは、こうした地味な作業に飽きてしまい、つい別のことを考えてしまうでしょう。
そんな時は、焦らずに忍耐強く呼吸に意識を戻していくことが大切。
1-3. 初心を忘れずに親しみを持って臨む
「初心者の心」とは、慣れによる驕りや先入観を捨て、新鮮な気持ちで対象に臨むことを意味します。
例えば呼吸にフォーカスする際「呼吸なんて当たり前のこと」などと高をくくらず、まるで初めての体験であるかのように、好奇心を持って観察します。
同様に何度も繰り返されるマインドフルネスの実践に、新鮮な気持ちで臨むことが大切。
空を100回見ても、101回目は初めて見る空のように、親しみを持って眺められる心を持ちましょう。
2. 7つの態度によってもたらされる効果
非判断、忍耐、初心者の心など7つの態度を瞑想の中で育んでいくと、様々な効果が期待できます。
科学的な研究でも、マインドフルネス瞑想には心身の健康増進やストレス低減、集中力向上などのメリットがあると分かっています。
7つの態度は、そうした効果を引き出すために欠かせない要素と言えるでしょう。
ここでは、7つの態度がもたらしてくれる主要な効果を見ていきましょう。
2-1. とらわれから解放され、心が軽やかに
人は日常生活の中で、様々な思考や感情に振り回されがち。
仕事の悩みや人間関係のトラブルなど、頭の中はネガティブな思考で占められていることも少なくない。
しかし7つの態度を実践することで、そうしたとらわれから次第に解放されていきます。
思考や感情をあるがままに受け入れ、それに巻き込まれずに眺められるようになるのです。
2-2. 今この瞬間を味わい尽くせるように
7つの態度に支えられたマインドフルネスは、私たちを「今ここ」へといざなってくれます。
過去の後悔やトラウマ、将来への不安といったものから意識を解き放ち、目の前の瞬間に没頭できるようになります。
例えば食事をする際、食材の色合いや香り、口の中での食感を丁寧に味わえるようになるでしょう。
他にも音楽を聴いたり、人と会話したりする時の充実感が増すはず。
2-3. 自分自身や他者への理解が深まる
マインドフルネス瞑想を続けていくと、自分の内面世界を客観視できるようになります。
自分はどんな思考パターンを持っているのか、感情にどう左右されやすいのかといったことへの気づきを得られるのです。
また、己を見つめる目を養うことで、他者への共感力も自然と高まります。
相手の心情を想像しながら耳を傾けられるようになり、対人関係の質が向上するでしょう。
3. 仏教との関連性 – 7つの態度は仏教の教えに通じる
マインドフルネス瞑想の7つの態度は、仏教の教えと深く関わっています。
そもそもマインドフルネスは、仏教の瞑想法であるヴィパッサナーを起源とするもの。
ヴィパッサナーは、非日常的な体験を求めるのではなく、ありのままの現実を見つめ続ける地道な営み。
7つの態度は、こうした仏教瞑想の精神性を現代的に再解釈したものと言えるでしょう。
3-1. とらわれない心は、悟りへの道を開く
仏教では、さまざまな執着や欲望が苦しみの原因だと説かれています。
お金や名誉を追い求めたり、物事のあるべき姿に固執したりすることで、私たちは迷いの世界に閉じ込められてしまうのです。
しかし、非判断の態度を通して、価値判断に縛られない自由な心を手にすることができます。
とらわれのない心こそが、仏教で理想とされる悟りへとつながる道だと言えるでしょう。
3-2. ありのままの自分を受け入れることの大切さ
7つの態度には「受容」も含まれており、自分自身をありのまま認めることの大切さを説いています。
瞑想中に不安や怒りの感情が湧き上がった時も、それを良しとしないのではなく、そのまま受け入れるのです。
これは仏教で説かれる自己への慈しみの心とも通じます。
自分をあるがままに肯定し、慈愛の心を向けることが、心の平安につながるのだと仏陀は教えているのです。
3-3. 雑念を手放すことで、心が自然体に
7つの態度の1つである「手放し」は、雑念に過剰に反応せず、そっと手放すことを意味します。
脳内で想念が次々と生まれては消えていく様子を傍観し、執着を持たずにいられる状態を目指すのです。
これは、仏教で言うところの「無心」や「無我」の境地に近いものがあります。
固定された自己にとらわれず、自然体でいられる心の在り方は、仏教の理想でもあるのです。
4. 7つの態度の実践方法
それでは、7つの態度をマインドフルネス瞑想の中でどのように実践していけばよいのでしょうか。
基本的には、瞑想中に浮かんでくる思考や感情を手掛かりにして、7つの態度を1つずつ当てはめていくことが大切。
最初は意識的に心がけなければいけませんが、次第に自然と7つの態度が身についていくはず。
ここでは、シンプルな実践方法をいくつかご紹介しましょう。
4-1. 雑念を批判せず、そのまま見守る
瞑想中は、さまざまな雑念が次々と湧いてくるもの。
「こんなことを考えるべきじゃない」などと自分を責めるのではなく、浮かんできた思考をオープンマインドで観察しましょう。
空を流れる雲を眺めるように、思考が通り過ぎる様子を傍観するのです。
そうすることで、思考に巻き込まれずにいられる心の余裕が生まれてきます。
4-2. 今ここでの感覚に意識を向け続ける
息が出入りする際の鼻の感覚や、身体の一部に生じる感覚に意識を向けてみましょう。
そこに意識が向かないようなら、呼吸に合わせて数を数えるのもオススメ。
吸う息を1、吐く息を2と数え、10まで数えたら1に戻ります。
こうした「アンカー」を設定することで、容易に今この瞬間に意識を留めておくことができます。
雑念に気を取られた時は、焦らずにアンカーに意識を戻していきましょう。
4-3.「頑張らない」ことを心がける
人は何事も一生懸命取り組もうとしてしまいがち。
しかし7つの態度の1つ「非努力」は、そんな力みを手放すことを説いています。
瞑想中は力を抜いて「何かしなければ」といった意識を離れるのです。
そうすることで、自然に瞑想が深まっていく感覚を味わえるでしょう。
5. 7つの態度を取り入れるべき人の特徴
非判断、忍耐、信頼など7つの態度は誰にでも役立つ心構えですが、とりわけ以下のような特徴を持つ人にこそ取り入れてほしい考え方。
心当たりのある方は、ぜひマインドフルネス瞑想に7つの態度を活用してみてください。
きっと自分自身や世界の見方が広がり、人生を豊かにするヒントが見つかるはず。
では、具体的にはどんな人が7つの態度を身につけるべきなのでしょうか?
あなたに当てはまるものはありますか?
5-1. 完璧主義の傾向が強い
完璧でないことを許せず、些細なミスも自分を責めてしまう。
そんな完璧主義の人こそ、7つの態度を取り入れることで心の負担を減らせるでしょう。
非判断の心を培い、思考や感情をありのまま受け止める練習をしてみましょう。
自分に厳しくし過ぎる習慣から解放され、心にゆとりが生まれるはず。
5-2. ストレスを感じやすい
ちょっとしたことでイライラしたり、不安に駆られたりしてしまう人も、7つの態度を意識するとよいでしょう。
例えば忍耐の態度は、目の前の出来事をじっくりと受け止める心を育ててくれます。
焦りや苛立ちに飲み込まれそうになった時は、今この瞬間に意識を向けてみるのです。
自分の感情を見つめる余裕が生まれ、ストレス耐性が高まっていくことでしょう。
5-3. 他者への共感が苦手
相手の気持ちを想像したり、立場に立って考えたりすることが難しいと感じる人にも、7つの態度は役立ちます。
内面を見つめる目を養うことで、自然と他者への想像力が養われるのです。
また「初心者の心」を大切にすることで、偏見にとらわれない柔軟な見方ができるようになるでしょう。
相手をありのままに受け止め、共感的に接する力が高まるはず。
6. 無意識に7つの態度を身につけている人も
これまで見てきたように、7つの態度を意識的に練習することは大切。
しかし、世の中を見渡してみると、特にマインドフルネス瞑想をしたことがないのに、自然と7つの態度を体現している人がいることに気づかされます。
日常生活の中で無意識のうちに、非判断、忍耐、初心者の心といった態度が身についている人がいるのです。
そんな人たちに共通しているのは、どんな特徴なのでしょうか。
6-1. 今この瞬間を全力で生きている
「今を生きる」ということを意識せずとも、目の前の瞬間を全力で味わっている人がいます。
どんなに些細な日常の出来事も、新鮮な驚きをもって受け止められるのです。
食事や会話、仕事など、どんな営みも手抜きせずに真剣に取り組む姿は、まさに7つの態度の体現と言えるでしょう。
そこには「今ここ」を大切にする心があり、人生のあらゆる瞬間が輝いて見えます。
6-2. 人の痛みに寄り添える
他者の苦しみや悲しみに心を寄せ、共感的に接することができる人もいます。
相手の立場に立って想像力を働かせ、じっくりと話に耳を傾けられるのです。
そこには批判や非難といった態度は見られず、ただただ相手をありのまま受け止める包容力があります。
これこそ、7つの態度でいうところの「受容」の心そのものだと言えるでしょう。
6-3. 謙虚に学ぶ姿勢を持ち続けている
年齢を重ねても、初心を忘れずに学び続けようとする人がいます。
自分には分からないことだらけだという謙虚な姿勢を持ち、他者から学ぼうとする柔軟性を失わないのです。
そこには、「私は何でも知っている」といった尊大さは微塵もありません。
むしろ、初心者の心を大切にする姿は、7つの態度の真髄を捉えていると言えるでしょう。
まとめ
いかがでしたか?
マインドフルネス瞑想の中核をなす「7つの態度」について詳しく見てきました。
非判断、忍耐、初心者の心、信頼、非努力、受容、手放し。
これらの態度を瞑想の中で育んでいくことで、思考や感情にとらわれない自由な心を手に入れられるんですね。
7つの態度は、仏教の教えとも深く関わっており、悟りへと通じる道筋も見えてきました。
ただし、こうした態度は特別な練習をしなくても身につけられるものです。
今この瞬間を全力で生きる心、人の痛みに寄り添う心、謙虚に学ぶ心。
日々の生活の中で、こうした7つの態度を大切にする習慣を意識的に取り入れましょう。
そうすることで、あなたの人生はより豊かで実り多きものになるはず。