田舎暮らしって実際どうなの?
田舎暮らしに憧れるは多いですが、移住してみると予想外の現実に直面することも。
この記事では、離島移住経験者の視点から、田舎暮らしの光と闇について解説。
移住後に「こんなはずじゃなかった」と後悔しないよう、この機会に理解を深めましょう。
「自分はどんな田舎暮らしをしたいか?」
イメージしながら読んでみてください。
1. 自然の豊かさを満喫できる反面、不便さにも直面
田舎は自然の恵みに囲まれ、ゆったりとした時間が流れています。
澄んだ空気を吸い、美しい景色を眺め、四季折々の自然を体感できるのが大きな魅力。
一方で、都会の利便性とは程遠い面も。
必要なものを揃えるのに遠出が必要になったり、行政サービスが手薄だったりと、生活するうえでのハードルの高さを感じることがあるでしょう。
1-1. 都会にはない自然の恩恵を享受
田舎では雄大な山々、美しい田園風景、澄み渡る星空など、都会では味わえない自然の姿を日常的に目にすることができます。
体全体で四季の移ろいを感じられ、心が洗われるような開放感を味わえるでしょう。
土や草花の香り、小川のせせらぎ、野鳥のさえずりといった自然の声に耳を澄ませてみてください。
五感が研ぎ澄まされていくのを実感できるはず。
1-2. 不便さを受け入れる覚悟が必要
買い物、通院、子育てなど、生活に必要なインフラは、都会に比べると整っていないのが田舎の現状。
車がないとかなりの不便を強いられることになるでしょう。
高齢者は運転できなくなったときのことを想定しておく必要があります。
除雪や災害時の対応といった、地域特有の課題にも向き合わなくてはなりません。
1-3. 自然を生かしたスローライフを
都会の喧騒から離れ、自然のリズムにあわせてゆったりと生活を送る。
それが田舎ならではの過ごし方であり、醍醐味でもあります。
家庭菜園に精を出したり、山や川で遊んだり、星空を眺めて瞑想したり。
自然を身近に感じながら、自分なりのスローライフを見つけてみましょう。
都会の利便性や刺激は手放しつつ、豊かな自然との一体感を得ることができるのです。
2. コミュニティの強さがメリットにもデメリットにも
田舎では昔ながらの地域コミュニティが色濃く残っています。
助け合いの精神に溢れ、困ったときに支えあえる心強さがある一方、閉鎖的な面も。
馴染むまでに時間がかかったり、窮屈さを感じたりすることも少なくない。
プライバシーの確保が難しく、ストレスが溜まってしまうなんてことも。
2-1. 地域に溶け込み、人のつながりを築く
田舎ではみんなが顔見知りで、助け合いの精神が根付いています。
地域活動に積極的に参加し、コミュニケーションを図ることが、円滑な関係を築くコツ。
近所付き合いの輪に入れてもらえれば、ちょっとしたことでも気軽に頼り合える、心強い関係が得られるでしょう。
お祭りや行事などを通じて、地域に溶け込んでいきましょう。
2-2. 閉鎖性が高く、馴染むのに時間がかかる
多くの田舎社会は、血縁・地縁で結ばれた昔ながらのコミュニティ。
新参者が入り込むのはハードルが高く、完全に馴染むまでには相当の時間を要します。
排他的でガードが堅く、知らない者への警戒心が強いのも事実。
過度にプライバシーに踏みこませないスタンスも大切。
お互いの境界線を尊重し合える関係性を築きましょう。
2-3. プライバシーの確保が難しい
住民同士の結びつきが強い分、互いの生活ぶりが筒抜けになりがち。
「誰それが何したの知ってる?」といった井戸端会議も日常茶飯事。
噂話のネタにされたり、日常の些細な行動を詮索されたりするのはストレスになります。
プライベートを大切にしたい人には窮屈に感じられるでしょう。
3. 田舎ならではの人間関係の面白さ
田舎の人間関係は濃厚です。
世代を超えてお互いに顔が見える分、助け合いの精神も根付いています。
好奇心旺盛で世間話好きな人が多く、立ち話だけで1時間なんてことも。
希薄な人付き合いに慣れている都会の人からすると、そのあまりの濃さに圧倒されるかも。
3-1. 昔ながらのしがらみがまだ色濃く
狭いコミュニティゆえに、他人の目が気になる人は行動を制限しがち。
「体裁」や「しきたり」を重んじ、周囲との調和を乱すような行動は煙たがられます。
家柄や家同士のしがらみ、長年の人間関係など、表面化しない人間模様が複雑に絡み合っているのが田舎社会。
それが窮屈さや息苦しさを感じさせることも。
3-2. 世代を超えた助け合いのコミュニティ
都会の希薄な人間関係とは対照的に、田舎は互いに顔の見える関係性が保たれています。
地域全体で子育てをしたり、高齢者の見守りをしたりと、世代を超えて助け合うことが当たり前。
「おすそわけ文化」など、ちょっとした気遣いを通じて絆を深めています。
そうした温かい関係性を地域で育めるのが田舎暮らしの醍醐味でしょう。
3-3. 立ち話だけで時間が過ぎる
のんびりとした時間が流れる田舎では、ゆっくりと会話を楽しむのが日課。
道端で知人とすれ違えば、その場で立ち話が始まります。
最初は世間話から入り、いつの間にか個人的な話題へ。
1時間や2時間はあっという間。
好奇心旺盛で、他人の生活ぶりを知りたがるのも田舎の人の特徴。
時間にルーズな点は、都会とは大きく異なります。
4. 医療・教育などのインフラ面での不安
都会に比べると、田舎の医療・教育・交通インフラは総じて脆弱。
病院や学校の選択肢が限られ、専門性の高い施設を利用するには遠出が必要になるかもしれません。
通院や通学にも不便が伴うでしょう。
子育てや老後の生活を考えたとき、こうしたインフラ面の不安は無視できません。
都会なら当たり前にあるものが、田舎では簡単には手に入らない。
その現実とも向き合わなくてはなりません。
4-1. 医療機関へのアクセスの悪さ
田舎に住むということは、医療面での不便は覚悟しなければなりません。
大きな総合病院や専門クリニックは少なく、頼れるのは町医者くらい。
ちょっとした診察でも、隣町まで足を運ばなくてはならないことも。
救急搬送や重篤な疾患への対応など、スピーディーな医療を望むのは難しい。
私が移住した島には病院はなく、小さな診療所が1つだけでした。
4-2. 教育環境の選択肢の少なさ
学校の選択肢も都会に比べると少ないのが現状。
地元の公立校に通うか、遠方の私立校に通学するか。
多様な教育ニーズに合わせた学校選びは、田舎では難しい面があります。
習い事や学習塾なども限られ、子どもの可能性を広げるチャンスは少ない。
教育熱心な親からすれば、不安になるポイントと言えるでしょう。
私が移住した離島には小中学校(小学と中学が1つの同じ建物)が1校、高校はありません。
その島の令和5年度の生徒数は、小学生が6人、中学生が2人です。
4-3. 公共交通機関の脆弱さ
都会では電車やバスが発達し、車がなくてもある程度の移動は可能。
しかし田舎では、マイカー頼みにならざるを得ないのが実情。
電車の本数は少なく、バスの運行本数も1日数本程度。
免許返納後の高齢者の足の確保は、各地で深刻な問題となっています。
いざという時の移動手段を考え、日頃からコミュニティバスなどを活用しましょう。
5. 仕事や収入面での制約と心配
田舎は、働く場所が限られているのが悩みの種。
地場産業や農林業以外に選択肢は少なく、雇用も不安定。
やりたい仕事が見つからず、収入面で不安を抱えるケースは珍しくありません。
起業や副業に挑戦するにしても、都会のようなビジネスチャンスは期待薄。
仕事をどうするかは、移住前によく考えておく必要があります。
5-1. 働き口が少なく、選択肢に乏しい
地域経済の規模が小さい分、企業数も少ないのが田舎の実情で、就職先は限定的。
農業や林業、建設業、零細な工場、小売店などが中心で、ホワイトカラーの仕事はほとんどありません。
地域ブランドを生かした特産品づくりや観光振興など、地元企業で働く選択肢はありますが、やはり職種は限られています。
5-2. 安定的な収入を得るのが難しい
経済基盤が弱い田舎では、安定した収入を望むのは難しい面があります。
給与水準が全国平均を下回るのはもちろん、そもそも職に就けない可能性だってゼロではありません。
小規模な会社が多いため、いつリストラの憂き目に遭うか分かりません。
かといって都会に通勤するには、長時間の移動を強いられる。
悩ましい選択を迫られるのが現実と言えます。
5-3. 副業や起業にもハードルが高い
本業だけでは心もとないからと、副業に活路を見出そうにも、それすら容易ではありません。
商圏が狭く、マーケットも小さいため、ビジネスとして成り立たせるのは至難の業。
インターネットを活用した業態なら、立地に関係なく稼げる可能性はありますが、参入者が多く、競争も激しい。
起業家マインドを発揮するにはなかなかチャレンジングな環境と言えます。
6. 田舎暮らしをエンジョイするための心構え
田舎暮らしを満喫するには、都会とは違った価値観や生活スタイルを受け入れる柔軟さが求められます。
自然の中にどっぷりと浸かり、地域に溶け込み、のんびりとした時間の流れを楽しむ。
そんな田舎ならではの暮らし方に心から魅力を感じられるかどうか。
自分の理想のライフスタイルとよく照らし合わせてみることが大切。
6-1. 都会の価値観を捨て去る勇気
利便性や効率性を重視する都会の価値観を、田舎に持ち込んでも上手くいきません。
自然の中で豊かに暮らすことの意義を見出し、のどかな時間の使い方を身につけること。
そこから新しい人生観や価値観が生まれるはず。
都会の価値観を一旦リセットし、田舎の空気感を素直に吸収する。
それが田舎を楽しむコツと言えるでしょう。
6-2. 地域の一員としての当事者意識
田舎では、良くも悪くも地域コミュニティとの関わりが濃くなります。
自治会活動やお祭りなど、地域のイベントに積極的に参加し、一員としての当事者意識を持つことが大切。
地域と密接に関わり、喜怒哀楽を分かち合う。
そんな強い覚悟を持って、飛び込んでいく姿勢が問われます。
6-3. 自然と一体になれる感受性
田舎の最大の魅力は、なんと言っても豊かな自然との一体感。
里山の風景、川のせせらぎ、季節の移ろいなど、日常に溶け込む自然の姿を味わい尽くせるのが田舎暮らしの醍醐味。
自然の中に身を置き、五感を研ぎ澄ませる。
自然と楽しむ感受性を育めるかが、田舎暮らしを楽しめるかどうかの分かれ目になるでしょう。
まとめ
田舎暮らしには、自然の豊かさ、人との繋がりの深さなど、都会にはない魅力がたくさんあります。
しかし、不便さやしがらみ、雇用の不安定さなど、想像以上の苦労が伴うのも事実。
メリットとデメリットをよく理解し、覚悟を決めて飛び込むことが大切です。
都会の常識や価値観に縛られず、田舎の空気感を肌で感じながら、スローライフを楽しむ。
そんな心の余裕を大切に、田舎暮らしをエンジョイしてください。
あなたの人生の新しい扉が開きましょう。