マインドフルネスとウェルビーイングは心身の健康を保つために重要な概念。
しかし、実は似ているようで異なる点があります。
この記事ではマインドフルネスとウェルビーイングの違いを理解し、それぞれの効果とメリット、注意点をわかりやすく解説。
自分は何にストレスを感じているのか?
マインドフルネスやウェルビーイングを取り入れてどうなりたいのか?
イメージしながら読んでみてください。
自分に合った方法を見つけて、心身のバランスを保てるようになりましょう。
1. マインドフルネスとは?「今に意識を向ける」瞑想的トレーニング
マインドフルネスとは、意識を「今、この瞬間」に向けることで心を落ち着かせるトレーニングの一種。
座禅のように目を閉じて行う場合もあれば、呼吸に意識を向けたり、体の感覚に注意を払ったりするなど日常生活の中でも実践できます。
1-1. マインドフルネスのメリット:ストレス対処や集中力アップに
マインドフルネスは心をリラックスさせ、ストレスへの対処力を高めるのに効果的。
また、意識を一点に集中させる練習にもなるので、仕事や勉強の効率アップにもつながるでしょう。
感情のコントロールが苦手な人にもオススメの方法です。
1-2. 科学的にも実証された効果
マインドフルネスは単なるブームではなく、その効果は科学的にも実証されつつあります。
マインドフルネス瞑想を続けた人の脳では、ストレス反応を司る扁桃体の活動が低下し、前頭前野の活動が活発になる傾向が見られました。
肉体的にも精神的にもポジティブな変化が期待できそうです。
1-3. マインドフルネス実践の注意点
マインドフルネスはメンタルヘルスケアとして有効ですが、初心者が自己流で始めるのは避けましょう。
呼吸法など基本的なことを学んでから実践しましょう。
無理せず、自分のペースでゆっくり取り組むのが大切。
2. ウェルビーイングとは?人生の幸福感を高める概念
ウェルビーイングとは身体的、精神的、社会的に良好な状態を指す概念で、いわば「人生の幸福度」を表します。
ポジティブな感情、人生の目的、良好な人間関係、健康的なライフスタイルなど、人生の質に関わる多様な要素が含まれます。
2-1. ウェルビーイングを高める方法
ウェルビーイングを高めるには、まず自分の人生の目的や価値観を見つめ直すことから始めましょう。
自分らしさを大切にし、前向きな思考を心がけることも重要。
健康的な生活習慣を身につけ、支え合える人間関係を築くことも幸福度アップにつながります。
2-2. ウェルビーイングの評価指標「PERMA理論」とは
ウェルビーイングの代表的な評価指標に、マーティン・セリグマン博士が提唱した「PERMA理論」があります。
下記の頭文字を取ったもので、この5つのバランスが取れているほど幸福度が高いとされています。
- Positive Emotion(ポジティブな感情)
- Engagement(没頭)
- Relationship(良好な関係性)
- Meaning(人生の意義)
- Accomplishment(達成感)
2-3. ウェルビーイング追求のバランスが大切
ただし、ウェルビーイングの追求に偏りすぎるのは禁物。
楽しいことばかり求めて現実逃避したり、目標達成にこだわって心身を壊したりしないよう注意が必要。
PERMAの要素をバランス良く満たしながら、自分なりのペースで充実した人生を目指しましょう。
3. 違いを理解して、自分に合う方法を見つけよう
ここまでマインドフルネスとウェルビーイングについて解説してきましたが、2つの概念の最も大きな違いは「意識の向け方」にあります。
マインドフルネスが「今」という一点に意識を集中するのに対し、ウェルビーイングは人生全体を見渡しつつ、幸福度を高めるためのバランスを重視する考え方だといえるでしょう。
3-1. マインドフルネスの実践でメンタルヘルスケア
日々のストレスが溜まっている人や、集中力を高めたい人には、まずはマインドフルネスの実践がオススメ。
瞑想アプリを活用したり、ヨガ教室に通ったりするなど、自分に合った方法を見つけましょう。
毎日の習慣にすることで、心身のバランスを取り戻すことができるはず。
3-2. ウェルビーイングの視点で人生を見つめ直す
これまでの人生を振り返って新たな目標を立てたいという人は、ウェルビーイングの視点を取り入れるのがオススメ。
PERMA理論を参考に、自分の人生のどの部分が不足しているかを見極め、改善策を考えてみましょう。
マインドフルネスで培った集中力を活かせば、目標達成も近づくはず。
3-3. 心の健康を保つための習慣を作ろう
マインドフルネスとウェルビーイングはどちらも心の健康には欠かせない概念。
できることから始めて、徐々に自分なりの習慣を作っていくのがオススメ。
瞑想を続けたり、感謝の気持ちを日記に書いたり、小さな達成感を味わったり。
そうした前向きな習慣の積み重ねが、人生をより豊かにしてくれるでしょう。
4. 組織や社会全体の幸福度を高めるアプローチ
近年、企業などの組織でもマインドフルネスやウェルビーイングへの関心が高まっています。
個人の生産性を上げるだけでなく、組織全体の士気を高め、創造性を引き出すことにもつながるからです。
また、社会全体の幸福度を高める取り組みも各国で進められています。
4-1. 企業でのマインドフルネス導入事例
グーグルやインテルなど、世界的な企業の中には、マインドフルネスのプログラムを導入しているところもあります。
社員のストレス軽減や感情コントロールの向上を目的に、瞑想の時間を設けたり、専門家を招いて講習を行ったりしています。
日本でも企業での導入事例が増えつつあり、今後さらに広がりを見せるかもしれません。
4-2. 国家戦略としてのウェルビーイング
ウェルビーイングのの概念を国家戦略に取り入れている国もあります。
代表例がブータン王国で、国民総幸福量(GNH)という独自の指標を1970年代から導入。
経済的豊かさだけでなく、心の豊かさや環境保全なども重視した政策を進めています。
また、英国では2010年に首相直属の行動洞察チーム(Behavioural Insights Team)を設置し、国民のウェルビーイング向上にも注力しています。
4-3. 誰もが幸せに暮らせる社会を目指して
個人レベルでマインドフルネスやウェルビーイングに取り組むことは大切ですが、社会全体で支え合う仕組みも必要不可欠。
最近では、「ソーシャル・ウェルビーイング」という概念も提唱されています。
社会的に孤立している人をなくし、お互いを思いやる共生社会の実現を目指す考え方。
一人一人が幸せを感じられる社会づくりは、私たち全員の課題といえるでしょう。
5. コラム:脳科学から見たマインドフルネスの効果
ここで、マインドフルネスによる脳の変化についての研究を少し紹介しましょう。
マサチューセッツ総合病院では、8週間のマインドフルネス瞑想プログラムを受けたグループと受けていないグループのMRI画像を比較したところ、いくつかの興味深い違いが見られたそうです。
5-1. 感情をコントロールする脳の領域が活性化
マインドフルネス瞑想を実践したグループでは、感情をコントロールする前頭前野の一部が厚くなり、活動が活発になっていました。
感情に流されにくくなる効果が期待できそうです。
また、共感性に関わる脳の領域の神経接続も増えていたそうです。
5-2. ストレス反応に関わる扁桃体の活動が減少
一方、ストレスを感じると活発になる扁桃体という部位の活動は減少していました。
つまり、ストレスへの過剰な反応が抑えられ、冷静さを保ちやすくなるのです。
心拍数や血圧の上昇も和らぐため、身体的にもリラックス効果があるのかもしれません。
5-3. 継続的な脳のトレーニングがポイント
ただし、これらの変化は8週間の継続的なマインドフルネス瞑想によって得られたもの。
1日5分の瞑想を数日続けただけでは、脳に大きな影響は出ないかもしれません。
脳に良い変化を定着させるには、毎日コツコツと積み重ねることが何より大切だといえるでしょう。
マサチューセッツ総合病院の研究論文はこちら。
Stress reduction correlates with structural changes in the amygdala
Mindfulness practice leads to increases in regional brain gray matter density
まとめ
マインドフルネスとウェルビーイングは、どちらも心の健康を支える大切な考え。
意識を「今」に向けるマインドフルネスと、人生全体の幸福を追求するウェルビーイング。
2つのアプローチの違いを理解し、バランスよく取り入れることが理想的。
ストレス対策としてマインドフルネス瞑想を始めたり、PERMA理論を参考に自分の人生を見つめ直してみたり。
他にも「今日感謝したいことを3つ日記に書く」「毎日の通勤時間を瞑想タイムにする」など、ライフスタイルに合った方法を探してみませんか。
小さな習慣の積み重ねが、きっとあなたの人生をより豊かにしてくれるはず。
まずは今日からメンタルヘルスを意識する時間を少しずつ作ってみましょう。
そして、自分に合ったマインドフルネスやウェルビーイングの実践法を見つけていきましょう。
心の健康が保たれれば、仕事もプライベートももっと充実したものになるはず。
あなたの一歩ずつ、幸せへの階段を登っていきましょう。