統計データで比較!「田舎より都会の方が物価と家賃が高い」は本当か?

統計データで比較!「田舎より都会の方が物価と家賃が高い」は本当か?

あなたは都会と田舎の物価や家賃にどれくらいの差があるかご存知でしょうか?

総務省の最新統計データをもとに、都会と田舎の物価を細かく分析・比較します。

都会と田舎の物価差の実態と、その背景にある驚きの理由が明らかに。

物価差を知ることで、あなたの生活設計やお金の使い方が変わるかもしれませんよ。

この記事は、総務省が公開した消費者物価地域差指数(令和4年)をもとに作成しました。

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1. 都会と田舎の物価差は最大1.6倍!東京の物価が突出

総務省の小売物価統計調査(2022年)によると、消費者物価地域差指数は、最も高い東京都が104.7、最も低い宮崎県が96.1でした。

つまり、物価の地域差は最大で1.09倍(東京都/宮崎県)。

都会と言われる東京都、神奈川県、大阪府などの大都市圏の物価が総じて高く、地方の県で物価が低い傾向が鮮明です。

中でも東京都の物価の高さは際立っており、2位の神奈川県を大きく引き離しています。

東京一極集中が叫ばれる中、物価面でも東京の突出ぶりが浮き彫りになった形です。

1-1. 費目別に見ると「住居」の地域差が最大1.6倍

10大費目別に物価地域差を見ると、「住居」の地域差が最も大きく、最大1.6倍(東京都/香川県)。

次いで「教育」が1.58倍、「光熱・水道」が1.27倍と続きます。

一方、地域差が小さいのは「交通・通信」の1.05倍、「保健医療」の1.06倍など。

物価の地域差は、住居費や教育費など特定の費目で生じていることが分かります。

地域によって、物価の内訳や価格差の出方はかなり異なるのです。

1-2. 東京の高物価は「住居」の影響が大きい

最も物価の高い東京都を見ると、「住居」の指数が130.7と飛び抜けて高い。

全国平均との差(総合)に対する「住居」の寄与度は2.18と突出しています。

「教育」(109.5)や「教養娯楽」(105.4)なども高めですが、東京の物価高は「住居」の影響が極めて大きいことが分かります。

「光熱・水道」は逆に96.4と低めで、必ずしもすべての費目で高いわけではないのです。

東京で暮らすなら、いかに住居費を抑えるかが物価対策の鍵を握ります。

1-3. 地方の安さは「食料」の影響が大きい

物価の安い宮崎県や群馬県を見ると、「住居」の指数は全国でも下位です。

ただ、全国平均との差(総合)を押し下げているのは「食料」の影響が大きいのが特徴。

宮崎県は食料の指数が96.0、群馬県は96.8と、いずれも全国で低い方。

食料自給率の高さや農産物の地産地消などが、物価の安さに直結しているようです。

新鮮で安価な食材が手に入る地方は、食費を中心に生活コストを抑えられるメリットがありそう。

この章の要点
  • 物価の地域差は最大1.09倍、東京の高さが目立つ
  • 費目別では「住居」の地域差が1.6倍と最大
  • 東京の物価高は「住居」、地方の物価安は「食料」の影響大

2. 「食料」の地域差は1.1倍、沖縄が最高

10大費目の中で、生活必需品である「食料」に注目してみましょう。

食料の消費者物価地域差指数を見ると、最も高い沖縄県が105.3、最も低い長野県が95.5で、最大1.1倍の地域差。

他の費目に比べると、食料の地域差は小さめと言えます。

沖縄は食料が高い一方、「住居」の指数は89.9と全国で突出して低いなど、東京とは対照的な構成です。

沖縄は本土から遠く離れた島という地理的条件から、食料の多くを移入に頼らざるを得ず、それが物価を押し上げている面があります。

2-1. 長野や群馬は「食料」が安い

食料の指数が最も低いのは長野県の95.5。

豊かな自然に恵まれ、野菜や果物の産地として名高い長野県。

食材の地産地消や流通コストの低さが、食料品の安さに直結しているのでしょう。

同様に、野菜の一大産地・群馬県も96.8と、食料の指数が全国で2番目に低い。

都市部にほど近い農業県は、新鮮で安価な食材の宝庫と言えます。

2-2. 意外にも北海道の食料は高め

食料の消費者物価地域差指数を見ると、北海道は102.0と、沖縄に次いで全国で2番目に高い。

広大な大地に恵まれ、日本有数の食料基地というイメージがある北海道。

しかし冬場は産出が少なく、道外からの移入に頼る割合が高いのが実情です。

本州から遠く、輸送コストなどがかさむことが、食料の物価高につながっているようです。

自然環境のイメージだけでは、食料事情は判断できないということですね。

2-3. 食料の地域差は「主食」で小さく「果物」で大きい

食料の中でも、品目によって地域差はまちまち。

地域差が小さいのは主食の「米」(1.05倍)や「パン」(1.04倍)。

どの地域でも一定の需要があり、流通量が多いため、価格が安定しているのでしょう。

対して、もっとも地域差が大きいのは「果物」の1.32倍。

果物は産地や旬の時期による影響が大きく、地域差が出やすい品目だと言えます。

この章の要点
  • 食料の地域差は1.1倍、沖縄が最も高い
  • 長野や群馬は食料が安く、北海道は意外と高い
  • 米やパンの地域差は小さく、果物の地域差は大きい

3. 「住居」の地域差は1.6倍!東京の突出ぶりが顕著

住居費の地域差は極めて大きく、東京の高さが際立っています。

住居の消費者物価地域差指数は、東京都が130.7でダントツのトップ。

2位は東京都に隣接する神奈川県の114.8。

一方、最も安いのは香川県の81.6で、東京の約6割の水準。

大都市圏とそれ以外の地域で、住居費の格差が著しいのが現状です。

3-1. 東京の住宅事情が住居費高騰の背景に

東京の住宅事情を見ると、住居費高騰の背景が見えてきます。

東京都の持ち家率は全国最低の42.6%。

つまり6割近くが賃貸住宅で、家賃負担が重くのしかかっています。

しかも東京の民営借家の平均家賃は87,560円と全国平均の2.2倍。

土地の稀少性が地価を押し上げ、それが高い家賃に直結しているのです。

3-2. 持ち家があれば東京でも住居費は抑えられる

一方で、東京でも持ち家があれば、住居費は大きく下がります。

支払い家賃のない持ち家世帯だけを取り出すと、東京の住居費指数は95.6まで下がるのです。

賃貸か持ち家かで、東京の住居費負担は大きく変わってきます。

ただ、東京で住宅を購入するには多額の資金が必要。

若い世代を中心に、いきなり持ち家を購入することは難しいのが実情でしょう。

3-3. 地方移住で住居費を大幅に節約できるメリット

東京から地方に移住することで、住居費を大幅に節約できる可能性があります。

例えば、住居指数が最も安い香川県なら、東京の6割程度の家賃で暮らせる計算。

地方なら、東京と同じ予算でもゆとりのある広い住宅に住めるでしょう。

さらに、低金利の住宅ローンを利用すれば、地方では無理のない予算で一戸建てを手に入れることも可能です。

東京一極集中の流れが加速する一方、地方移住で豊かな住生活を実現する道も開けているのです。

この章の要点
  • 東京の住居費の高さは際立っており、地方の1.6倍
  • 賃貸住宅が多く高家賃な東京の住宅事情が背景
  • 東京から地方移住で住居費を大きく節約できる可能性

4. 「教育」の地域差も1.58倍!和歌山が最高、群馬が最低

教育の消費者物価地域差指数を見ると、最も高いのは和歌山県の124.5。

一方、最も安いのは群馬県の78.6で、和歌山の6割程度の水準。

東京は109.5で全国5位と高めですが、和歌山ほどは突出していません。

教育費の地域差は、学習塾や私立学校など、民間サービスの充実度合いを反映していると考えられます。

公立中心で教育費を抑えるか、私立に出して手厚くするか、地域の教育事情によって分かれるようです。

4-1. 和歌山の教育熱心さが教育費を押し上げている可能性

教育費が最も高い和歌山県。

実は小中学生の学習塾通塾率が44.6%と、全国2位の高さなのです。

私立高校への進学率も37.0%と全国トップクラス。

教育熱心な土地柄が、教育費を押し上げている可能性が高いでしょう。

学歴獲得競争の影響からか、関西圏は総じて教育費が高い傾向にあります。

関西の中でも和歌山の教育費トップは際立っています。

4-2. 進学校が少ない群馬は教育費が低い

一方、教育費が最も低い群馬。

有名進学校が少なく、公立高校が中心のため、教育費の負担感は小さいようです。

ただ、群馬の学力テストの結果は良好で、教育の質が低いわけではありません。

公立校を中心に、賢明に予算を使って教育の質を高めている取り組みがうかがえます。

必ずしも教育費をかければいい、という単純な話ではないようです。

4-3. 教育費と地域間格差の関係性

高い教育を受けさせるために、多くの費用をかける家庭の存在。

一方で、教育費を負担しきれない家庭もあり、教育格差が広がる懸念も。

しかし、群馬のように地域全体で公教育に力を入れることで、教育の機会均等を保つことも可能。

教育費の地域差は、単なる物価の問題を超えて、地域の将来を左右する重要な論点とも言えます。

地域ごとに賢明な教育行政を進め、子供たちの可能性を最大限に引き出していくことが求められます。

この章の要点
  • 教育費の地域差は1.58倍、和歌山が最高で群馬が最低
  • 和歌山の教育熱心さが教育費を押し上げている可能性
  • 公教育重視の群馬は教育費低めでも学力は良好

5. 「光熱・水道」の地域差は1.27倍、北海道が突出

光熱・水道の消費者物価地域差指数を見ると、最も高いのは北海道の114.7。

他の道府県を大きく引き離しており、2位の岩手県は111.2。

対して、最も低いのは大阪府の90.6。

北海道の約8割の水準で、道府県で最大1.27倍の地域差があります。

北海道の高さと大阪の安さが際立つ構図と言えるでしょう。

5-1. 寒冷地の北海道は暖房費がかさむ

北海道の光熱・水道費が高い最大の要因は、言うまでもなく寒さ対策。

灯油や電気を使った暖房が不可欠で、その分のエネルギー消費が膨らみます。

冬の最低気温が氷点下20度近くに達する地域もあり、命に関わる寒さ。

とりわけ灯油価格の上昇が家計を直撃し、北海道の物価高をさらに助長しているのです。

光熱費の負担増は、北海道で暮らす人々の大きな課題となっています。

5-2. 電力の地域差が大阪と北海道の格差に

北海道と大阪の光熱・水道費の差を生んでいるもう一つの要因が、電力価格の地域差。

北海道電力の料金単価は関西電力より約2割高く、同じ使用量でも電気代に大きな開きが出ます。

需要密度の差などから、供給コストに地域差が生じているためです。

大阪など都市部は電力の安さも手伝って、北海道との物価差が広がっているのです。

地域による電力事情の違いが、思わぬところで暮らしやすさを左右しているようです。

5-3. 省エネと再エネで北海道の光熱費負担を軽減できるか

北海道の光熱・水道費高騰に対しては、省エネと再エネの推進が期待されます。

LED照明や高断熱住宅の普及を後押しし、無駄なエネルギー消費を減らす取り組み。

再生可能エネルギーの活用を広げ、化石燃料への依存度を下げていく対策。

こうした官民をあげての省エネ・再エネ推進が、北海道の光熱費負担を和らげる鍵となるでしょう。

寒冷地だからこそ、エネルギーと賢く付き合う知恵が求められます。

この章の要点
  • 光熱・水道費の地域差は1.27倍、北海道が突出して高い
  • 北海道は寒さ対策で暖房費がかさみ、大阪は電力安で低め
  • 北海道では省エネと再エネ推進で光熱費負担軽減が課題

6. 都道府県別の物価差の特徴と対策

以上の分析から見えてきた、都道府県別の物価差の特徴と対策をまとめましょう。

東京は住居費の突出が物価高の最大の要因。

賃貸から持ち家にステップアップし、住居費負担を減らしていくことが重要です。

長期的には地方移住で広い住宅を安く手に入れる選択肢もあります。

東京一極集中のひずみを是正する意味でも、地方分散の動きは注目されます。

6-1. 地方では食費や教育費を抑えるチャンスが

一方、長野や群馬など食料品の安い県もあります。

都市部からほど近い農業県なら、安くて新鮮な食材が手に入る利点があるでしょう。

教育面でも、群馬のように私学より公立校を活用し、教育費を抑える地域も。

必ずしも東京でなくても、安く質の高い暮らしを実現できる可能性があるのです。

地域の特性を生かした賢い生活設計が問われます。

6-2. 北海道は寒さ対策で光熱費が重荷に

北海道は光熱・水道費の突出が重荷。

ただでさえ物価の高い北海道にとって、光熱費のさらなる値上がりは痛手と言えます。

官民をあげての省エネ・再エネ推進で、少しでも負担を和らげたいところ。

雪国ならではの知恵と工夫が試されています。

エネルギーの地産地消なども、新たな方向性となるかもしれません。

6-3. 沖縄は家賃安でも食費高、地域物価の要注意ポイント

沖縄は全体的な物価水準は中位ながら、家賃の安さと食料品の高さが特徴的。

本土から遠い立地による物流コスト高が、食料品価格に影響しているようです。

一方で豊かな自然に囲まれ、のんびりとした島暮らしができるのも沖縄の魅力。

ただ、地域物価の特性はしっかり理解しておく必要がありそうです。

食費などの要注意ポイントを押さえ、地域に合わせた暮らし方の工夫が求められます。

この章の要点
  • 東京は住居費対策、地方は食費や教育費の利点を生かせる
  • 北海道は省エネ・再エネ推進で光熱費負担を和らげたい
  • 沖縄は家賃安でも食費高、地域の物価特性の理解が肝要

7. 地域の物価差を知り、暮らし方の選択肢を広げよう

総務省の最新統計から見えてきた、都会と地方の物価事情。

住居費を中心に大都市圏の物価の高さが目立つ一方、地方では食費や教育費に安さの余地がありそうです。

物価差は同じ日本でもかなりの開きがあり、上手に地域を選べば、生活コストを大きく抑えられる可能性も。

地域の実情を知り、それぞれに合った暮らし方の選択肢を広げられれば、豊かな人生設計につながるはず。

ただし、地域によって物価の構造は異なり、一概に都会が高い、地方が安いとは言い切れないのも事実。

各地域の物価事情を詳しく知り、自分に最適な土地を探すことが重要と言えるでしょう。

まとめ

都会と地方の物価差は、住居費を中心に最大1.6倍に達することが明らかになりました。

とりわけ東京の物価の高さは際立っており、地方移住で生活コストを大きく下げられる可能性があります。

一方で、沖縄や北海道など地域特有の物価事情もあり、各地の実情をしっかり理解することが大切。

地域の物価差を知り、ライフスタイルに合った土地選びをすることで、人生の選択肢はぐっと広がるはず。

都会と田舎、あなたにはどっちが合っていますか?