マインドフルネスとマインドワンダリングの違いを理解して日常にメリハリを

マインドフルネスとマインドワンダリングの違いを理解して日常にメリハリを

マインドフルネスとマインドワンダリング。

よく似ている2つの言葉ですが、いまいち違いがわからないという人も多いのではないでしょうか。

実はこの2つの心の状態は、私たちの日常生活に大きな影響を与えています。

この記事では、マインドフルネスとマインドワンダリングの違いを明確にし、マインドワンダリングが脳に与える意外な効果をわかりやすく簡単に解説。

また、マインドフルネスとマインドワンダリングのバランスの取り方についてもお伝えしますので、日常生活の質を高めたい方は是非参考にしてくださいね。

1. マインドフルネスとは?集中と気づきの心の状態

マインドフルネスとは、「今この瞬間の体験に意図的に意識を向け、評価をせずにありのままに観察する」という心の状態のことを指します。

座禅や瞑想などの特別な修行をしなくても、日常の何気ない動作に意識を向けることで、誰でもマインドフルネスを体験することができます。

例えば、歯磨きをする時に五感を研ぎ澄まして、歯ブラシの感触や歯磨き粉の味、泡立つ音などに意識を集中するのもマインドフルネスの一種。

このように今現在の体験に意識を向けることで、私たちは自分の感情や思考パターンに気づけるようになります。

そして、それらをコントロールする力も徐々に養われていくのです。

つまりマインドフルネスとは、集中力と気づきの力を同時に高める心の状態だといえるでしょう。

1-1. マインドフルネスのメリット

マインドフルネスには、ストレス低減や感情のコントロール、集中力の向上など様々なメリットがあることが研究で明らかになっています。

慢性的なストレスを抱えている人の多くは、過去の出来事を反芻したり、将来への不安に思いを巡らせたりと、現在から意識が逸れがち。

しかし、マインドフルネスを実践することで、意識を「今ここ」に向けられるようになり、そういった無駄なストレスから解放されていきます。

また、感情のコントロールが苦手だという人も、マインドフルネスを通して自分の感情に客観的に気づけるようになることで、怒りや不安をうまくマネジメントできるようになるのです。

集中力の向上は言うまでもありません。

マインドフルネスの本質は、意識を一点に集中させることにあるからです。

1-2. マインドフルネスの実践方法

マインドフルネスを実践するためには、特別な道具は必要ありません。

座禅のように姿勢を正して目を閉じるのが一般的ですが、日常の何気ない動作の中でも実践することができます。

例えば、食事をする時は味や食感、温度などに意識を向けてみましょう。

散歩をする時は、足裏の感覚や風の心地よさ、鳥のさえずりなどに耳を澄ませてみてください。

呼吸に意識を向けるのも良い方法です。

吸う息と吐く息を丁寧に観察し、呼吸に合わせて身体の感覚を感じていきます。

1-3. 集中のコツ

マインドフルネスを実践していると、雑念が次から次へと湧いてきて集中が途切れてしまうことがあります。

そんな時は、雑念を無理に押さえ込もうとせず、ただ観察するだけでOK。

評価や判断をせずに、雑念をまるで通り過ぎる雲のように眺めていると、自然と意識の集中が保たれるようになります。

また、数息観という呼吸法を取り入れるのもオススメ。

これは、吸う息を「1」、吐く息を「2」と数えながら呼吸を観察するというシンプルな方法。

呼吸に意識を向けることで、雑念が自然と静まっていきます。

この章の要点
  • マインドフルネスとは、「今」の体験に意識を集中し、評価せずにありのままに観察する心の状態
  • ストレス低減、感情コントロール、集中力アップなど様々なメリットがある
  • 日常の何気ない動作に意識を向けるだけで誰でも実践できる

2. マインドワンダリングとは?自由に彷徨う心の状態

マインドワンダリングとは、意識が自由に彷徨っている心の状態を指します。

マインドフルネスが「今ここ」への集中だとすれば、マインドワンダリングは過去や未来、空想の世界へと意識が向かう状態だといえるでしょう。

例えば、仕事中にぼーっとして、週末の予定について考えてしまう。

昔の恋愛について思いを馳せる。

SF小説のワンシーンを思い浮かべる。

こういった体験は誰しもが日常的にしているはず。

あなたもしていますよね?

2-1. マインドワンダリングの役割

一見、マインドワンダリングは時間の無駄に思えるかもしれません。

しかし、脳科学の研究から、マインドワンダリングにはいくつかの重要な役割があることが分かってきました。

1つは、過去の経験の整理と未来のシミュレーション。

マインドワンダリングの状態では、脳は過去の記憶を思い出しては未来の可能性を想像するということを繰り返しています。

これによって、過去の経験から教訓を得たり、未来に備えたりすることができるのです。

また、マインドワンダリングは創造性の源泉でもあります。

2-2. デフォルトモードネットワークとの関係

脳には、デフォルトモードネットワーク(DMN)と呼ばれる神経ネットワークがあります。

DMNは、外界からの刺激がない時に活性化する脳内ネットワークで、自伝的記憶、将来のシミュレーション、他者の心の推測などに関わっていると考えられています。

つまり、マインドワンダリングの状態こそが、DMNが活発に機能している状態だといえるのです。

実際、瞑想中の僧侶の脳を調べると、マインドフルネスの状態ではDMNの活動が抑制され、マインドワンダリングの状態では活発になることが確認されています。

このことから、マインドワンダリングとDMNは密接に関係していることがわかります。

私たちが無意識のうちにマインドワンダリングしてしまうのは、DMNが自動的に働いているからなのです。

2-3. マインドワンダリングを味方につける

マインドワンダリングは、時と場合によっては集中の妨げになるかもしれません。

大事な仕事や勉強の際に度々マインドワンダリングしてしまうのは好ましくありませんよね。

しかし、「無駄な妄想」と決めつけてマインドワンダリングを完全に排除しようとするのは賢明ではありません。

むしろ、意図的にマインドワンダリングの時間を設けて、創造的な思考を促すのがオススメ。

例えば、散歩やジョギングの最中は、あえて何も考えないようにするのではなく、自由に想像力を働かせてみましょう。

すると、日常では思いつかないようなアイデアが湧いてくるかもしれません。

この章の要点
  • マインドワンダリングは、過去の整理と未来のシミュレーション、創造性の源泉となる
  • マインドワンダリングは、脳のデフォルトモードネットワーク(DMN)が活発になっている状態
  • マインドワンダリングを「無駄」と決めつけず、上手に活用することが大切

3. マインドフルネスとマインドワンダリングのバランス

ここまで見てきたように、マインドフルネスとマインドワンダリングはどちらも私たちの心の健康にとって大切な役割を果たしています。

マインドフルネスは集中力と気づきを高め、ストレスや感情のコントロールに役立ちます。

一方、マインドワンダリングは思考の整理と創造性の源泉となります。

大切なのは、この2つのバランスを取ること。

仕事や勉強など集中が必要な場面では、意識的にマインドフルネスの状態を作り出すことが重要です。

そして、リラックスタイムや移動中など、思考を巡らせても問題ない時間はマインドワンダリングを存分に楽しむ。

3-1. 生活の中の小さなマインドフルネス

日常生活の中でマインドフルネスを実践するには、どうすれば良いでしょうか。

オススメは「スイッチ」を決めておくこと。

例えば、仕事の合間の3分間は必ずマインドフルネスタイムにするとか、赤信号で立ち止まった時は呼吸に意識を向けるなど、習慣にするとやりやすいです。

また、食事や歯磨き、掃除など、日常の何気ない行動をマインドフルネスの練習の機会にするのも効果的。

最初のうちは1日1回から始めて、徐々に回数を増やしていくと良いでしょう。

こうした小さな習慣の積み重ねが、自然とマインドフルな状態を作り出してくれるはず。

3-2. クリエイティブなマインドワンダリングタイム

マインドワンダリングを存分に楽しむには、「インプット」と「アウトプット」のサイクルを回すことが大切。

本や映画、音楽、アートなど、良質な刺激をたくさん取り入れることで、想像力が豊かになります。

そして、湧き上がったアイデアやイメージを、手帳やノートにとにかく書き留める。

編集や推敲は後回しにして、思いついたことを自由に表現するのがポイント。

他にも、友人との対話やブレインストーミングなど、他者と一緒にアイデアを膨らませるのも面白い方法ですね。

あなたなりのクリエイティブなマインドワンダリングタイムを見つけてみてください。

3-3. 脳のリフレッシュ効果

マインドフルネスとマインドワンダリングを上手に切り替えることは、脳の健康にも良い影響を与えます。

マインドフルネスの状態が、DMNを休ませることで脳をリセットする。

マインドワンダリングの状態が、DMNを活性化させて脳を刺激する。

この2つのバランスが取れている時、私たちの脳は最もパフォーマンスを発揮できるのです。

デスクワークが長時間続いて脳がお疲れモードの時は、意識的にマインドフルネスの時間を設けてみましょう。

逆に、アイデアが枯渇しているなと感じたら、マインドワンダリングで想像力を呼び覚ますのが良いでしょう。

この章の要点
  • マインドフルネスとマインドワンダリング、両方のバランスが大切
  • 日常の小さな習慣でマインドフルネスを実践
  • インプットとアウトプットのサイクルでマインドワンダリングを豊かに

4. 1日3分から始める気づきの習慣

では具体的にマインドフルネスをどう日常に取り入れていけば良いのでしょうか。

オススメは、1日3分から始めること。

長く続けるコツは、「続けやすい」ことを最優先にすること。

最初は3分でも十分な効果が得られます。

それが習慣になってきたら、徐々に時間を増やしていけば良いのです。

では、3分間でできるマインドフルネス実践法を3つ紹介しましょう。

4-1. ワンポイント呼吸法

1つ目は、呼吸に意識を集中させる方法。

これは場所を選ばず、いつでもどこでも実践できます。

デスクワークの合間、通勤電車の中、お風呂に入っている時など、ちょっとした隙間時間を使いましょう。

やり方は簡単。

ゆっくりと深く息を吸い、ゆっくりと長く息を吐く。

これを5回繰り返すだけで十分ですよ。

4-2. ボディスキャン

2つ目は、ボディスキャンと呼ばれる方法。

これは、意識を体の各部位に向けて、感覚を観察していく方法。

足の指先から始めて、足首、ふくらはぎ、太もも、お腹、背中、胸、肩、腕、手、首、顔と、下から上に意識を向けていきます。

それぞれの部位で、温かさ、冷たさ、圧迫感、痛み、痺れなど、感じられる感覚をただただ観察するのです。

特に力を入れる必要はありません。

ボディスキャンは、リラックス効果が高いので、寝る前にやるのがオススメ。

4-3. 五感を研ぎ澄ませる

3つ目は、五感を意識的に使う方法。

まず視覚から。

部屋の中を見渡して、色や形、明暗などを観察します。

次に聴覚。

音に耳を澄まして、時計の針の音、風の音、鳥の声など、普段は意識しない小さな音を拾ってみましょう。

続いて嗅覚と味覚。

コーヒーを飲む時は香りと味わいに意識を集中する。

最後に触覚。

肌に触れる空気の感触、衣服の素材感、床の感触など、身の回りの触感を味わいます。

このように五感の扉を開くことで、日常の中の小さな発見や感動が得られるでしょう。

この章の要点
  • 1日3分から始めるのがコツ
  • 呼吸に意識を集中させる「ワンポイント呼吸法」
  • 体の感覚を観察する「ボディスキャン」
  • 五感を意識的に使って気づきを得る

5. 雑念との付き合い方のコツ

マインドフルネスの実践を進めていくと、必ず直面する問題があります。

それは「雑念」です。

呼吸や感覚に意識を向けようとしても、あれこれ考えが浮かんできて集中が途切れてしまう。

これは誰にでもよくあることで、決して自分だけの問題ではありません。

大切なのは、雑念を「邪魔者」と捉えないこと。

雑念は自然な心の動きなのです。

では、雑念とどう付き合っていけばいいのでしょうか。

ここでは3つのコツを紹介します。

5-1. 「気づき」のスタンス

1つ目のコツは、雑念に気づいた時の態度を変えること。

雑念が湧いてきたら、まずは「雑念が湧いている自分」に気づくことが大切。

そして、その雑念を批判したり押さえ込もうとしたりせず、ただ静かに観察する。

まるで空を流れる雲を眺めるように、雑念を眺めるのです。

批判も共感もせず、ただ「ある」ことを認めるだけ。

このように雑念に反応しないことで、雑念は自然と消えていきます。

5-2. アンカーを決める

2つ目のコツは、「アンカー」を決めておくこと。

アンカーとは、意識を向ける対象のこと。

呼吸でも、身体感覚でも、音でも何でも構いません。

雑念に気づいたら、ゆっくりとアンカーに意識を戻すのです。

最初のうちは何度も意識が雑念に持っていかれるかもしれません。

しかし、根気強くアンカーに戻す練習を繰り返すことが大切。

5-3. 雑念を逆手に取る

3つ目のコツは、雑念を観察の対象にすること。

つまり、雑念そのものをマインドフルネスの練習に使うのです。

雑念が湧いてきたら、その内容ではなく「雑念が湧いている」という事実に意識を向けます。

どんな雑念なのか、それはポジティブなものかネガティブなものか。

雑念が生じた時の身体の感覚はどうか。

このように、雑念を客観的に観察することで、かえって気づきが深まるのです。

この章の要点
  • 雑念は自然なもの。批判せず、ただ眺める
  • 意識を戻す「アンカー」を決めておく
  • 雑念そのものを観察の対象にする

6. 日常にマインドフルネスを取り入れるアイデア

最後に、日常生活にマインドフルネスを取り入れるアイデアをいくつか紹介しましょう。

マインドフルネスは座禅のようにまとまった時間を作らなくても、生活の様々な場面で実践できます。

要は「意識を向ける」ということ。

それができれば、どんな時でもマインドフルネスになれるのです。

あなたの生活の中で、どんな場面にマインドフルネスを取り入れられそうですか。

以下のアイデアを参考に、自分なりのマインドフルネス実践法を見つけてみてください。

6-1. 歯磨きのとき

歯磨きは、マインドフルネス練習にぴったりの日課。

歯ブラシの感触、歯磨き粉の味、口の中の変化など、細かな感覚に意識を向けてみましょう。

いつもは何気なくやっている歯磨きも、マインドフルネスと取り入れれば新鮮な体験になりますよ。

「あっ、ここあまり磨けてないかも」という気づきがあったりしますよ。

6-2. 食事のとき

食事も、マインドフルネスの良い機会。

食べ物の色や形、匂い、味、食感など、五感をフル活用して味わいます。

一口一口、ゆっくりと噛みしめることで、いつもの食事がより豊かな体験になるでしょう。

咀嚼の回数を増やすと、今まで気づかなかった味に気づけますよ。

6-3. 通勤・通学のとき

電車や車での移動時間も、マインドフルネスのチャンス。

車内のアナウンスや振動、風景の移り変わりなど、普段は意識しない様々な刺激に耳を傾けてみましょう。

いつもの通勤・通学が、ちょっとした冒険に変わるかも。

6-4. 家事のとき

掃除や洗濯など、家事の一つ一つもマインドフルネスの練習台。

掃除機の音、洗剤の匂い、温かい洗濯物の感触など、家事に関わる様々な感覚に意識を向けます。

単調に感じられがちな家事も、新たな気づきの連続になるでしょう。

この章の要点
  • 歯磨きの細かな感覚に意識を向ける
  • 食事は五感でゆっくり味わう
  • 通勤・通学時の様々な刺激に耳を傾ける
  • 家事の一つ一つをマインドフルネスの練習台に

まとめ

マインドフルネスとマインドワンダリング。

一見相反するこの2つの心の状態は、実は互いに補い合う関係にあります。

マインドフルネスで養った集中力と気づきの力は、マインドワンダリングの質を高めてくれるでしょう。

逆に、マインドワンダリングで得たアイデアや洞察は、マインドフルネスの実践を豊かにしてくれます。

大切なのは、この2つのバランスを取ること。

状況に応じて意識的に切り替えながら、両方の心の状態を味方につけていきたいですね。

あなたはこの2つを取り入れて、どんな人生を送りたいですか?