チュニジアの世界遺産・カルタゴ遺跡

チュニジアの世界遺産:カルタゴ遺跡 観光・旅行情報まとめ

世界遺産の歴史と登録の概要


チュニジアの首都チュニスの郊外約12㎞ほどにある、地中海に面した町カルタゴ。
紀元前6〜2世紀頃、フェニキア(現在のレバノン)の人達によって建設されたカルタゴは、貿易の町として栄え、地中海最大の商業の中心地となった。

その後、地中海にまで覇権を伸ばすローマとの3度にわたる“ポニエ戦争”に敗れ、カルタゴの町は徹底的に破壊されてしまう。

廃墟と化したカルタゴから一度は人々がいなくなったが、ローマによる都市開発が進み、次々と巨大な建造物が造られ、ローマの町として再び栄える。

このローマ時代の遺跡と、僅かに残されたフェニキア人によるカルタゴ時代の遺跡が「カルタゴ遺跡」として1979年に世界遺産に登録された。


チュニジアの世界遺産:カルタゴ遺跡

カルタゴ遺跡への入場について


カルタゴ遺跡への入場は共通券になっており、10ヶ所の遺跡へ入場できる。
共通券はD10.000で、遺跡の写真を撮る場合は撮影料がD1.000かかり、有効期限は1日。
共通券は各遺跡の入口で購入できる。

カルタゴ遺跡は約3㎞四方の範囲に点在しているので、1日で全ての遺跡を歩いて回るのは難しい。
全ての遺跡を1日で回るにはタクシーやTGM(電車)を利用して、歩いて回るなら数日かけてになる。

遺跡がある地域のほぼ中央にあるのがTGMのカルタゴ・ハンニバル駅。
この駅を中心にし各遺跡付近にもそれぞれ駅がある。

カルタゴ近郊の町について


カルタゴ近郊には、チュニジアで最も美しい町といわれる“シディ・ブ・サイド”がある。
空と地中海からなる、チュニジアン・ブルーといわれる青い景色が広がり、町には真っ白な壁に青い窓と扉の家が建ち並び、リゾート気分が味わえる。

カルタゴからの行き方は、TGMのカルタゴ・ハンニバル駅から3駅先のシディ・ブ・サイド駅で下車。
駅を出て通りを右に進み“1月14日広場”に突き当たったら左へ。

石畳の道を進んでいくとシディ・ブ・サイドのメインストリートに出る。
駅からここまで徒歩10分ほど。


チュニジアの世界遺産:カルタゴ遺跡

共通券で入場できる10ヶ所の遺跡はこちら


  • ビュルサの丘/カルタゴ博物館
    ローマによって滅ぼされたフェニキア人の町の中心地だった丘で、当時のフェニキア人の住居跡が残されている。
    町を見下ろせる小高い丘で、頂上にはカルタゴ博物館とサン・ルイ教会が建っている。

    博物館は19世紀に建設されたアフリカ宣教会の学校を改築したもので、カルタゴ周辺で発見されたモザイク画や神像が展示され、ローマ時代の町並みを再現した模型などもある。
    博物館の開館は4/1〜9/15が8:00〜19:00、9/16〜3/31が8:30〜17:30。

    教会は19世紀にフランスによって建てられたもので、現在は教会内で演奏会や展示会などのイベンドが行われている。
    また、この教会はアクロポリウムとも呼ばれている。

    教会の開館は4/1〜9/15が8:00〜19:00、9/16〜3/31が8:30〜17:00で、この教会は共通券に含まれていないので、入場料がD5.000かかる。

  • アントニヌスの共同浴場
    2世紀にローマの五賢帝のひとりであるアントニヌス・ピウスのよって造られた、海に面した巨大な建造物。

    現在の遺跡はユネスコの協力を得て修復、復元されたものだが、建設当時は2階建てで、100を超える部屋があり、壁や柱にはフレスコ画や彫刻が施され、床にはモザイク画が敷き詰められていたという。
    開館は4/1〜9/15が8:00〜19:00、9/16〜3/31が8:30〜17:00。

  • トフェ
    タニト神とバール・ハモン神というふたつの神が祀れていた、聖域だったとされる場所で、カルタゴ時代の面影を残す数少ない遺跡。

    ローマ時代の文献によると、当時カルタゴでは幼児を生け贄として神に捧げる習慣があり、遺跡内に無造作に並ぶ無数の小さな墓からは、幼児の骨が入った骨壺が発見されている。
    開館は4/1〜9/15が8:00〜19:00、9/16〜3/31が8:30〜18:00。

  • カルティエ・マゴン
    近年発見された、海に面した住居跡。
    カルタゴ時代の住居跡地に、ローマ人が新たな住居を建てたとされる跡地で、敷地内には小さな展示室がある。
    開館は4/1〜9/15が8:00〜19:00、9/16〜3/31が8:30〜17:00。
  • ローマ人の住居
    小高い丘のような広大な敷地内に、いくつもの住居跡が点在しており、修復作業によってほぼ原形を取り戻した遺跡もある。

    有名な「ヴォリエールの別荘」という屋敷跡からは、回廊や中庭、出土した彫刻や競馬をモチーフにしたモザイク画のパネルなどが残っている。

    この敷地内の高台には3世紀頃に建てられたオデオン(音楽堂)がある。
    開館は4/1〜9/15が8:00〜19:00、9/16〜3/31が8:30〜17:00。

  • ローマ劇場
    最盛期には1万人を収容したとされるローマ劇場は、修復されて現在も使用されている。
    毎年7〜8月に開催されるカルタゴ国際フェスティバルは、チュニジアで最も大きな祭典で、期間中は会場となるローマ劇場で伝統音楽やダンス、演劇や映画など様々な催し物で賑わう。
    開館は4/1〜9/15が8:00〜19:00、9/16〜3/31が8:30〜17:00。
  • 円形闘技場
    ローマ時代に建設されたこの闘技場は3万6000人もの観衆を収容したとされ、その規模の大きさはイタリアのヴェローナの闘技場に匹敵するほど。

    しかし、闘技場の石材が数世紀にわたって持ち出された結果、今では当時の面影はあまり感じられない。
    開館は4/1〜9/15が8:00〜19:00、9/16〜3/31が8:30〜17:30。

  • ラ・マルガの貯水池
    市街地やアントニヌスの共同浴場に水を供給した貯水池。
    132㎞も離れたザクーアンから水を引いていた。
    開館は4/1〜9/15が8:00〜19:00、9/16〜3/31が8:30〜17:00。
  • 古代カルタゴの軍港
    現在はただの池のようにしか見えないが、かつてはカルタゴ時代の繁栄を支えた2つの港で、南側が商業湾、北側が軍港だった。

    この港には海洋博物館があり、当時の港を再現して模型、海洋生物の剥製や標本などが展示されている。
    海洋博物館の開館は10:00〜18:00,月曜休みで、この博物館は共通券に含まれていないので、入場料がD3.000かかる。

  • パレオ・カルタゴ博物館
    キリスト教会跡地にある小さな博物館。
    主にモザイク画などが展示されている。
    2013年には“ガニメデの彫像”が盗まれる事件が起こった。

チュニジアの世界遺産:カルタゴ遺跡

カルタゴの天気・気候


チュニジアの気候は地域によって異なるが、地中海沿岸北部のカルタゴは比較的温暖で、夏は最高気温が40℃を超える事もあるが、冬は東京の冬より暖かく過ごしやすい。

最も寒い12〜2月でも平均気温は12℃前後で、最も暑いのは7・8月。
年間を通じて雨も少なく、特に夏の6〜8月はほとんど降らない。
比較的雨の降る10〜4月でも、一ヶ月の降水量は多くても60〜70㎜ほど。

通年観光できるが、ベストシーズンは日本の春と秋にあたる3〜5月と10・11月。
しかし、日中は暑くても朝晩は冷え込むことがあるので、夏でも薄手の上着があると便利。

カルタゴの天候グラフ

チュニジアの気候と観光・旅行ベストシーズン

カルタゴの2017〜2018年の天候データ
出典:気象庁ウェブサイト


チュニジアの世界遺産:カルタゴ遺跡

アクセス:日本からの行き方


日本からチュニジアへの直行便はなく、アジアや中近東、ヨーロッパ経由で向かう。
便が多い経由地はフランスのパリ、トルコのイスタンブール、カタールのドーハ、U.A.Eのドバイなどで、日本からこれらの経由地まで10〜12時間。
経由地からチュニジアのチュニス・カルタゴ国際空港まで2〜6時間。

空港からカルタゴへの移動について

空港からの移動は、タクシーで直接カルタゴへは向かうか、チュニス中心部からTGMでカルタゴに向かうかになる。

空港からチュニス中心部は約8㎞あり、空港の前に停まっている黄色い車体がタクシーで15分ほど。
バスの場合は、空港から35番か635番のバスで、チュニス新市街の東のチュニス・マリン駅付近のバスターミナルに行くことができる。

このターミナルそばの、TGMのチュニス・マリン駅からカルタゴ・ハンニバル駅までは30分ほど。

通貨と言語とビザについて

日本からチュニジアへの入国は、パスポートの残存有効期間が3ヶ月+滞在日数以上必要で、3ヶ月以内の滞在であればビザは不要。

通貨はチュニジアディナール(表記はD)で、公用語はアラビア語だがフランス語が通じる所も多く、英語は観光地では通じる所もある。

基本情報はこちら
チュニジアの基本情報-時差、言語、人口、宗教、首都、飲料水など

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