コロンビアの世界遺産・カルタヘナの港と要塞群

コロンビアの世界遺産:カルタヘナの港,要塞群と建造物群 観光・旅行情報まとめ

世界遺産の歴史と登録の概要


コロンビア北部、カリブ海に面した港町であるカルタヘナの歴史は、1533年に上陸したスペイン人がこの地に町を造ったことから始まる。

16世紀前半、インカ帝国を滅ぼしたスペインは、本国に物資を送る港としてカルタヘナに関心を示す。
そして町が建設されると、南米各地から物資を運ぶ絶好の港町として急速に発展し、その後はアメリカ大陸の一大貿易拠点として栄華を極める。

しかし16〜17世紀にかけて、カリブ海にはその富を狙うイギリスやフランスの船舶、そして海賊が横行し、カルタヘナの町はそれらの襲撃や略奪にさらされてしまう。

そうして造られたのが、町全体を囲む巨大な城壁と要塞で、難攻不落の要塞都市となったカルタヘナは
その後も繁栄していき、現在も城壁と要塞の中にその姿を保っている。

ヨーロッパ大航海時代の戦いの歴史を物語り、スペイン植民地時代の面影を色濃く残す、城壁に囲まれた旧市街の町が“カルタヘナの港,要塞群と建造物群”として1985年に世界遺産に登録された。


コロンビアの世界遺産:カルタヘナの港と要塞

カルタヘナの町について


カルタヘナの町は城壁で囲まれた旧市街と、リゾート地として開発された新市街ボカ・グランデの2つのエリアに分けられるが、最大の見どころは城壁に囲まれた旧市街そのものである。

1552年の大火事以来、木造建築が禁止されたため、石とレンガ造りの美しい街並みをしている。
約4㎞にわたる城壁は高さ12m、厚さ7mもあり、城壁の上は歩くこともできる。
強固な城壁の上に砲台が並ぶ様子が、かつてこの町がいかに重要な拠点であったかを物語っている。

城壁にはいくつかゲートがあり、その正門にあたる時計門をくぐると馬車広場があり、ここから城壁に沿って左に行くと税関広場とカテドラルが見えてくる。

この辺りが旧市街の中心で、ボリーバル公園、宗教裁判所跡、サン・ペドロ・クラベール寺院などの主要な見どころ、ホテルやレストラン、観光案内所などもこの辺りに集中している。
城壁の外、旧市街の周辺には“サン・フェリペ要塞”や“ポパの丘”などの見どころがある。

旧市街の南側に広がる新市街ボカ・グランデは、リゾートホテルやレストランが建ち並び、旅行者や地元民がカリブ海で海水浴を楽しんでいる。
旧市街と新市街はバスが行き来しており、所要10分ほど。

旧市街の見どころ


サン・ペドロ・クラベール寺院

ドーム状の屋根と2つの尖塔が印象的な石造りの教会で、修道院も併設されている。
石造りのこの教会は、大部分が17世紀にイエズス会によって建設され、1888年に改築、1921年にドームが加えられて現在の姿となった。

厳格な雰囲気の内部はステンドグラスやパイプオルガンが美しく、祭壇には奴隷解放に尽力したスペイン人宣教師ペドロ・クラベールの遺骨が納められている。
夜には教会全体がライトアップされ、暗い夜の町に美しく浮かび上がる。

開館は8:00〜17:30、土・日は16:30までで入場料は$1万。

宗教裁判所跡

大きなバルコニーとバロック様式の玄関をもつ、カルタヘナのコロニアル建築を代表する建物。
ここでは異教徒などの摘発や処罰を行う異端裁判が、1610〜1811年まで約200年間も続いた。

1階にはかつて拷問に使用された器具やギロチン、魔女狩りの様子を描いた絵画などが展示され、3階には先住民達が残した石器や土器が展示されている。

開館は9:00〜18:00、日曜は10:00〜16:00、月曜休みで入場料は$1万7000。


コロンビアの世界遺産:カルタヘナの港と要塞

旧市街近郊の見どころ


サン・フェリペ要塞

旧市街から東へ1㎞ほどの、標高40mの丘に建てられた要塞。
18世紀に完成したこの要塞には砲台も設置され、南米で最も堅牢で強固な要塞といわれている。

内部は複雑な造りになっており、当時の趣向を凝らした通路はまるで迷路のようである。
要塞としても素晴らしいが、現在はカルタヘナの町とカリブ海を眺める展望台としても人気が高い。

開館は9:00〜17:30で入場料は$1万7000。

ポパの丘

旧市街から東へ3㎞ほどの、標高187mの丘。
カルタヘナの最高地点であるポパの丘からは、カルタヘナの町とカリブ海を一望できる。

ポパの丘の頂上には、1606年に建てられたカルタヘナで最初の修道院があり、綺麗な花で彩られた中庭や祭壇を見学できる。

開館は8:45〜17:30で入場料は$1万。

カルタヘナ近郊の見どころ


トトゥモ火山

カルタヘナの北東約50㎞にある、地中から湧き出る泥が積もってできた高さ20mほどの小さな山。
木の階段を登ると、山頂には泥がたまった火口がある。

泥の温度は約27℃、火口の深さは2800mもあるというが、入ると全く沈まずにプカプカと浮かんでしまう不思議な泥の温泉。

泥にまみれた後は、山の下の湖でキレイに洗い流せる。
トトゥモ火山まで行く公共のバスはないため、カルタヘナからツアーに参加するのが一般的。

ロサリオ島とバル島

人口と旅行者の多さから、カルタヘナの海や砂浜は“これぞカリブ海”というほどキレイではない。
青いカリブ海と白い砂浜を満喫するなら、カルタヘナから船で1時間ほどのロサリオ島と、ここからさらに1時間ほどのバル島がオススメ。

ロサリオ島は海が青く、ビーチはあまりないが水族館があり、イルカと一緒に泳ぐことができる。
バル島は青い海にプラヤ・ブランカ(白いビーチ)がどこまでも続き、20〜30mのヤシの木が潮風に吹かれて揺れている。
カルタヘナから各種ツアーが出ており、観光案内所やホテル、旅行会社などで手配できる。


コロンビアの世界遺産:カルタヘナの港と要塞

カルタヘナの天気・気候


コロンビア北部、カルタヘナの町があるカリブ海沿岸は、年間を通じて温暖な気候で、気温の変化はあまりなく、年間平均気温は27℃ほど。

しかし、季節は12〜4月の乾季と5〜11月の雨季にはっきりと分かれる。
乾季はほとんど雨が降らないが、雨季には1ヶ月に100〜200㎜ほどの雨が降る。

カルタヘナの年間の平均最高気温は31〜32℃、最低気温は23〜25℃で、一年中東京の真夏のような気温で、夜になってもあまり気温が下がらないので寝苦しさを感じる日もあるでしょう。
この地域の観光のベストシーズンは乾季の12〜4月で、特に1〜3月は晴天に恵まれる。

カルタヘナの天候グラフ

気象庁にデータが無い月は、グラフの線が切れている。

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カルタヘナの2018年の天候データ
出典:気象庁ウェブサイト


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アクセス:日本からの行き方


現在、日本からコロンビアへの直行便は無いため、アメリカの都市を経由してボゴタのエル・ドラード国際空港に向かうのが一般的で、所要時間は19〜24時間ほど。

他にもカナダやメキシコ、ヨーロッパの各国を経由する便もあるが、ヨーロッパ経由の場合は所要時間は30時間以上かかる。

また、アメリカを経由する場合は事前にESTAを取得する必要がある。
ESTAに関しての詳細はこちら。
アメリカへの入国とESTA申請・取得方法

ボゴタからカルタヘナへの移動について

ボゴタからカルタヘナへの移動は飛行機か長距離バスになる。
飛行機の場合は、エル・ドラード国際空港から国内線で、カルタヘナのラファエル・ヌニェス国際空港まで所要1時間30分ほどで、アビアンカ航空やコパ航空などから毎日フライトがある。

長距離バスの場合は、ボゴタからカルタヘナまで所要約20時間かかる。

空港からカルタヘナ市内への移動について

空港からカルタヘナ市内へは約3㎞あり、タクシーで旧市街まで約$1万、ボカ・グランデまで約$1万7000、所要時間は10〜20分ほど。

バスの場合は、空港を出て1ブロック西に行った通りから“Boca Grande”と表示されたバスで所要約30分、料金は$1800で、このバスは旧市街の城壁沿いを抜けてボカ・グランデに向かうので、目的地が旧市街の場合は途中で降りることもできる。

通貨と言語とビザについて

コロンビアの通貨はコロンビア・ペソ(Colombia Peso)で、紙幣と硬貨が流通している。
公用語はスペイン語だが、観光地などでは英語が通じる所もある。

コロンビアへの入国は90日以内の滞在ならビザ不要で、パスポートの残存有効期間は3ヶ月以上必要。
入国審査時に滞在可能日数が決められるので、何も言わないと短期間の日数にされることがある。
長期滞在する場合は希望の滞在日数を職員に伝えた方が良い。

基本情報はこちら
コロンビアの基本情報-時差、言語、人口、宗教、首都、飲料水など

気候に関してはこちら
コロンビアの気候と観光・旅行のベストシーズン

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