ポルトガルの世界遺産・リスボンのジェロニモス修道院とベレンの塔

ポルトガルの世界遺産:リスボンのジェロニモス修道院とベレンの塔 観光・旅行情報まとめ

世界遺産の歴史と登録の概要


ポルトガルの首都リスボン中心部から、テージョ川沿いに約6㎞西に位置するベレン地区は、ヨーロッパ大航海時代に新大陸に向けて多くの船が出航した歴史ある場所。

15世紀に北アフリカのセウタを攻略し、ポルトガルで初めて海外進出を果たしたエンリケ航海王子、インド航路を発見して世界の貿易網に食い込み、ポルトガルに巨万の富をもたらしたヴァスコ・ダ・ガマなどの活躍によって、ポルトガルは急速に勢力を拡大していく。

16世紀、ポルトガルに黄金期をもたらした彼らの功績をたたえ、当時の王マヌエル1世によってベレンに建設された修道院と塔は、大航海時代のポルトガルの栄華を象徴する記念碑といえる。

かつてのポルトガルの栄光を今に伝える2つの建造物は“リスボンのジェロニモス修道院とベレンの塔”として1983年に世界遺産に登録された。


ポルトガルの世界遺産:リスボンのジェロニモス修道院とベレンの塔

リスボン・ベレン地区の町について


ベレン地区はテージョ川沿いに位置し、多くの見どころは川沿いとその周辺に集中している。

列車でやってきてベレン駅を出ると、すぐそばに国立馬車博物館があり、ここから左手の大きな広場の前を通り過ぎ、川に背を向けるように右に曲がると“ジェロニモス修道院”が、川に向かって曲がると“発見のモニュメント”があり、ここからさらに川沿いを西に1㎞ほど行くと“ベレンの塔”が見えて来る。

ジェロニモス修道院の西棟には国立考古学博物館があり、西棟の端には海洋博物館がある。
これらの見どころへの入場は、個別にチケットを買うよりも“共通券”か“リスボンカード”がお得。

共通券について


個別に入場チケットを買うと、ジェロニモス修道院が€10、ベレンの塔が€6、国立考古学博物館が€6。
しかし、共通券は€16でこの3ヶ所に入場することができる。

また、ジェロニモス修道院とベレンの塔、もしくはジェロニモス修道院と国立考古学博物館の2ヶ所に入場できる€12の共通券もある。

繁忙期はジェロニモス修道院とベレンの塔のチケット売り場は行列ができることもあるが、共通券は3ヶ所のどこでも購入できるので、空いている国立考古学博物館で共通券を買えば並ばずに済む。

リスボンカードについて


ベレン地区に限らず、リスボンの見どころを短期間で見て回りたいという人に便利なリスボンカード。

リスボンやその周辺の遺跡、モニュメント、26の美術館や博物館の入場無料や割引、バス、トラム、地下鉄、エレベーター、ケーブルカーなどの公共交通機関乗り放題、空港バスや観光バスの割引など、観光に必要な様々なものがこのリスボンカード1枚に込められている。

料金は有効期間により異なり、24時間が€18.50、48時間が€31.50、72時間が€39。
空港や市内の観光案内所で購入でき、下記のウェブサイトからも申し込みができる。

リスボンカード公式サイトはこちら。
Discover Lisbon with the Lisbon Card


ポルトガルの世界遺産:リスボンのジェロニモス修道院とベレンの塔

ベレン地区の見どころ


ジェロニモス修道院 Mosteiro dos Jeronimos

エンリケ航海王子とヴァスコ・ダ・ガマの功績をたたえ、そして新たな航海の安全を祈願し、マヌエル1世によって16世紀に建設され、その後は何度かの改築や増築を経て19世紀に現在の姿となった。
巨額の富をつぎ込んだマヌエル様式を代表する壮大な建造物で、かつての栄光を今に伝えている。

精巧な彫刻が施された西門や南門から入ると、アーチが見事な55m四方の回廊が中庭を囲み、かつて修道士の共同室として使われた食堂は、アズレージョで囲まれた壁に聖ジェロニモスの絵が飾られる。

聖歌隊席には磔刑に処されるキリスト像が掲げられ、内陣にはマヌエル1世と王妃マリア、息子のジョアン3世と王妃カタリナの棺が安置されている。

荘厳な雰囲気のサンタ・マリア教会はステンドグラスが美しく、教会の左側にはヴァスコ・ダ・ガマとカモンイスの石棺が安置されている。

時間に余裕があれば、これらの豪華な造りの内部をゆっくりと見て回りたい。
開館時間は5〜9月は10:00〜18:30、10〜4月は10:00〜17:30、入場は閉館の30分前まで。
月曜休みで、毎月第一日曜は入場無料になるが、通常より混雑する。

公式サイトはこちら。
Mosteiro dos Jeronimos

ベレンの塔 Torre de Belem

ジェロニモス修道院同様マヌエル1世によって16世紀に建設された塔で、テージョ川を行き交う船を監視してベレンを守る要塞として造られ、その後は船の通関手続きを行う税関や灯台としても使われた。

塔は1階が司令官の間、2階が国王の間、3階が謁見の間、4階が礼拝堂になっており、塔の隣には聖母マリア像が置かれた砲台(テラス)が据えられている。

開館時間は5〜9月は10:00〜18:30、10〜4月は10:00〜17:30、入場は閉館の30分前まで。
月曜休みで、毎月第一日曜は入場無料になるが、通常より混雑する。

公式サイトはこちら。
Torre de Belem

国立考古学博物館 Museu Nacional de Arqueologia

ジェロニモス修道院の西棟にあり、アレンテージョ地方で発掘された古代ローマ時代の彫刻、青銅器時代の像などが展示されている。

開館は10:00〜18:00、入館は閉館の15分前まで。
月曜休みで、毎月第一日曜は入場無料になるが、通常より混雑する。

公式サイトはこちら。
Museu Nacional de Arqueologia

発見のモニュメント Padrao dos Descobrimentos

1960年にエンリケ航海王子の500回忌を記念して造られたもので、帆船をモチーフにしたこのモニュメントには、列を成すポルトガルの歴史上の偉人の先頭にエンリケ航海王子の姿が見える。
エレベーターで高さ52mの屋上に上がれば、対岸のクリスト・レイや4月25日橋を望める。

モニュメント前の広場には、床一面に大理石のモザイクで世界地図と各地を発見した年号が記される。
日本が“発見”された年は、ポルトガル船が豊後に漂流した年である1541年になっている。
開館は3〜9月は10:00〜19:00、10〜2月は10:00〜18:00、料金は€4で入場は閉館の30分前まで。

公式サイトはこちら。
Padrao dos Descobrimentos

国立馬車博物館 Museu Nacional dos Coches

馬車だけを展示する珍しい博物館で、1816年に造られたネオ・クラシック様式の元乗馬学校に、約60の馬車が整然と並んでいる。
最古のものは1619年製で、王族貴族や大使専用の馬車なども展示されている。

開館は10:00〜18:00、料金は€6で入館は閉館の30分前まで。
月曜休みで、毎月第一日曜は入場無料になるが、通常より混雑する。

公式サイトはこちら。
Museu Nacional dos Coches

アジュダ宮殿 Palácio Nacional da Ajuda

1761年に完成したブラガンサ王朝の居城のひとつで、1794年に火災で焼失したが19世紀初頭にイギリスのバッキンガム宮殿を模して建設された。

現在は迎賓館として使われており、内部には王妃の部屋、青の間、ザクセンの間などの部屋があり、各部屋には豪華な家具や調度品の数々が置かれている。
開館は10:00〜18:00、水曜は休み、料金は€5で入場は閉館の30分前まで。

公式サイトはこちら。
Palácio Nacional da Ajuda

クリスト・レイ Cristo Rei

テージョ川の対岸にある高さ110mのキリスト像で、1959年にブラジルのリオデジャネイロのキリスト像を模して造られた。
エレベーターでキリスト像の台座部分に上がれば、リスボンの町を一望できる。
営業は9:30〜18:15、料金は€5で入場は閉館の15分前まで。

公式サイトはこちら。
Cristo Rei

4月25日橋 Ponte 25 de Abril

1966年に開通した全長2277mのつり橋で、2014年にはヨーロッパで1番美しい橋の称号を得た。
橋の上段は車が、下段は鉄道が走っている。


ポルトガルの世界遺産:リスボンのジェロニモス修道院とベレンの塔

リスボンの天気・気候


年間を通じて温暖な気候のポルトガルは、日本の4分の1ほどの小さな国で、地域による大きな気候の違いはないが、南北に長い国のため地域によって若干気温差がある。

日本のように四季があり、夏は晴天に恵まれる乾季、秋から春にかけては雨が多く、不安定な天気が続く雨季となるが、日本の梅雨のように1日中雨が降り続くことはあまりない。

春(3〜5月)

気温は東京の春とさほど変わらず、3〜5月にかけて日増しに暖かくなっていき、5月に入ると日中は20℃を超える日が多くなり、季節は夏へと移り変わっていく。

日中は暖かくても朝晩は10℃前後まで気温が下がるので、薄手の上着があるといいでしょう。
3・4月は比較的雨が多く、1ヶ月に70㎜前後の雨が降るが、日本の梅雨のようにジメジメとはしない。

夏(6〜8月)

夏の平均最高気温は27℃前後で東京の夏より低く、朝晩は16℃前後まで気温が下がるので、暑くて寝苦しさを感じるようなことはあまりないでしょう。
乾季でカラッとした晴天に恵まれ、湿度が低いので日陰に入れば昼間でも涼しく感じるほど。

特に7・8月は全くと言っていいほど雨が降らず快適で、多くの旅行者で混雑するとはいえ、この時期がポルトガル観光のベストシーズンといえる。

秋(9〜11月)

気温は東京の秋とさほど変わらず、9月はまだ夏の暖かさを感じられるが、11月に入ると日中でも20℃を超える日はなく、朝晩は10℃前後まで冷え込み、季節は冬へと移り変わっていく。

また、乾季から雨季への変わり目でもあり、10・11月は1ヶ月に100㎜前後の雨が降る。
晴れている時は過ごしやすいが、1日の中で急に雨が降ったりすぐに止んだりするので注意が必要。

冬(12〜2月)

東京の冬よりはるかに暖かく、平均最高気温は15℃前後、最低気温は8℃前後で、雪が降ることはほとんどない。
しかし、雨季の真っ只中なので雨は多く、毎月100㎜を超える雨が降るので傘などの雨具があると便利。

リスボンの天候グラフ

ポルトガルの世界遺産:リスボンのジェロニモス修道院とベレンの塔 観光・旅行

リスボンの2017〜2018年の天候データ
出典:気象庁ウェブサイト


ポルトガルの世界遺産:リスボンのジェロニモス修道院とベレンの塔

アクセス:日本からの行き方


現在、日本からポルトガルへの直行便はなく、ヨーロッパの主要都市で乗り継いでポルトガルのリスボン空港に向かうのが一般的。
所要は乗り継ぎ込みで17〜20時間ほどで、日本を昼頃に出れば現地時間で同日の夜に着く。

空港からリスボン市内への移動について

空港からリスボン市内まで約7㎞あり、移動手段は空港バス、地下鉄、タクシーなどがあるが、旅行者が最も利用しやすいのはYellow Bus社が運行する空港バス。

空港バスはAerobusと呼ばれ、空港ターミナル1の到着ロビーの正面が乗り場になっている。
料金は€3.50で、チケットは乗車時に運転手から買うか、到着ロビーの観光案内所で買う。
バス会社公式サイトはこちら。
Yellow Bus

市内へのルートは2つあり、Linha1(City Center)はエントレカンボス、ポンバル公爵広場、ロシオ、コメルシオ広場などを経由しカイス・ド・ソドレ駅へ、Linha2(Financial Center)はエントレカンボス、セッテ・リオス、エスパーニャ広場などを経由しジョゼ・マリア通りへ行く。

Linha1終点のカイス・ド・ソドレ駅から、ベレン地区への市電、バス、列車が出ている。
ベレン地区まで市電やバスは所要30分ほど、列車はカスカイス(Cascais)行きで所要10分ほど。

通貨と言語とビザについて

通貨はユーロ(Euro)で表記は€、補助通貨はセント(Centimo)で表記は¢。
公用語はポルトガル語だが、観光地にある旅行者向けのホテルやレストランでは英語が通じる所も多い。

シェンゲン協定加盟国であるポルトガルへの入国は、90日以内の滞在であればビザは不要。
パスポートは残存有効期間がポルトガル出国予定日から3ヶ月以上と査証欄の余白が2ページ以上必要。

シェンゲン協定に関しての詳細はこちら
シェンゲン協定加盟国への入国方法

基本情報はこちら
ポルトガルの基本情報-時差、言語、人口、宗教、首都、飲料水など

気候に関してはこちら
ポルトガルの気候と観光・旅行のベストシーズン

ポルトガルのその他の世界遺産についてはこちら
シントラの文化的景観
マデイラ島の照葉樹林
エヴォラ歴史地区
ポルト歴史地区
ギマランイス歴史地区
バターリャの修道院
コインブラ大学−アルタとソフィア

合わせて読みたい記事はこちら