ペーチにある初期キリスト教墓地遺跡 観光情報まとめ

世界遺産の概要


ハンガリー南部に位置する都市ペーチの歴史は2世紀、古代ローマ帝国の都市として建造されたのが始まりで、当時ソピアネ(Sopianae)と呼ばれたこの地は交易の重要な拠点として栄えた。
4世紀に入ると礼拝堂や霊廟などが造られ、その後はキリスト教信仰の中心地として繁栄していく。

14世紀にはハンガリー初の大学が創立され、学問や商業の都市としてさらに発展していった。
しかし、その後は1543年から約150年にわたってオスマン帝国に占領されてしまい、現在もペーチにはこの時代のイスラム文化の面影が色濃く残っている。

永らく日の目を見ることの無かった4世紀のキリスト教の遺跡が、ペーチで発見されたのは18世紀に入ってからのことで、現在までに18ヶ所の遺跡が発見されている。
独特の建築様式のこれらの遺跡の多くは、地上に礼拝堂と墓が、地下に埋葬室が造られており、埋葬室内には旧約聖書に関する芸術性の高い壁画が描かれ、石棺には当時の人々が想いを込めて彫ったレリーフが残されている。

現在、この時代のキリスト教の遺跡は、ペーチ以外ではローマでしか発見されておらず、考古学的観点から見てもとても貴重な遺跡であることがわかる。
発見された遺跡の中で、4世紀に建造されたとされる16ヵ所の遺跡が、“ペーチにある初期キリスト教墓地遺跡”として2000年に世界遺産に登録された。

yellow-tulip-bed-725814_1280ペーチの町について


ハンガリー第5の都市として栄えるペーチの見どころは、いくつかのエリアに分けることができる。
鉄道でペーチにやってくると町の南にある駅に着くが、ここから町の中心のセーチェニ広場(Szechenyi-ter)までは、駅の正面から延びる自由通り(Szabadsagu)を進んで徒歩10~20分、距離にして500mほど。

この広場を中心にして、南側にバスターミナル、市場、ショッピングセンター、シナゴーグが、北側には博物館、美術館、絵画館などが、そして西側には大聖堂や礼拝堂跡などの遺跡がある。
また、セーチェニ広場のそばには観光案内所があるので、町についたらまず立ち寄りたい。
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ペーチの見どころ


旧ガーズィ・カスィム・パシャ・モスク Gázi Kászim pasa dzsámija

セーチェニ広場に建つペーチ随一の建造物であるこのモスクは、16世紀に建てられたハンガリー最大のオスマン建築で、現在はカトリック教会として利用されている。
建物の北側は20世紀中頃に増築されたものだが、南側にはモスクとして利用されていた時代のイスラム文化の特徴が残っている。

開場時間は9:00~17:00、日曜は13:00~17:00、入場料は900Ft。
また、このモスクの裏には考古学博物館(Regeszeti Muzeum)があり、ペーチ周辺で発掘された鉄器などが展示されている。

大聖堂 Dom

11世紀に創建されたこの大聖堂はオスマン帝国軍によって破壊され、19世紀後半にネオロマネスク様式の教会として再建された。
この大聖堂は幅約40m、高さ約70mと大きく、四方にそびえ建つ尖塔が印象的な建物。
内部も広く、高い天井一面には美しいフレスコ画が描かれている。

また、教会内には小さな礼拝堂や聖堂地下室、尖塔などの創建当時の部分が残っており、周辺には15世紀の砦跡や18世紀に修復された司教館、周辺で発掘された石柱やレリーフなどを展示している大聖堂博物館(Dom Muzeum)がある。
開場時間は9:00~17:00、日曜は13:00~17:00、入場料は大聖堂が1200Ft、博物館が400Ft。

初期キリスト教の礼拝堂跡 Ókeresztény Mauzóleum

大聖堂の南にあり、初期キリスト教墓地遺跡として世界遺産に登録された遺跡の一部。
礼拝堂の下には4世紀のローマ時代に造られた埋葬室(カタコンベ)があり、旧約聖書に関する壁画や石棺などをガラス越しに見ることができる。

このすぐそばにあるツェラ・セプティコラ・ビジターセンターでは、ペーチで発見された8ヵ所の地下遺跡の内の5ヵ所を地下通路から見学できる。
また、大聖堂の北側にある中世大学跡の見学も、このビジターセンターで申し込みができる。

入場料は礼拝堂跡とビジターセンター共通チケットで1700Ft。
公式サイトはこちら。
ツェラ・セプティコラ・ビジターセンター

シナゴーグ zsinagóga

ペーチには1865~1869年にかけていくつものシナゴーグが建設されたが、現存するのはこの1つのみ。
高さ18.73m、幅23.3m、奥行き32.25mという大きさを誇り、ダビデの星が描かれた教壇部分にはユダヤ教典やユダヤ・カレンダーなどが当時のまま残されている。
入場料は500Ftで、男性は見学する際に受付にある帽子を被らなければいけない。

ヤコヴァーリ・ハッサーン・モスク jakovali hasszán pasa dzsámi

現在は機能していないが、16世紀に造られたモスク。
ハンガリーでは少ないイスラム教寺院で、モスクに添えられた尖塔(ミナレット)が残る唯一のモスク。
内部は小さな博物館になっており、衣服や楽器、コーランなどでイスラム文化を伝えている。
開館時間は10:00~17:30、入館料は1000Ft。

国立劇場 nemzeti színház

堂々とした佇まいと優しげな色使いが印象的は国立劇場。
1893~1895年にかけて、様々な様式を取り入れて建てられた劇場は内装も豪華で、毎晩19:00頃になると様々な演劇などが開催される。
建物正面右側にあるチケットオフィスで公演の内容やスケジュールが確認できる。
公式サイトはこちら。
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ペーチの気候


内陸国であるハンガリーは北海道と同じくらいの緯度に位置し、気候は大陸性気候に属する。
日本のように四季があるが、地域によっての気候の差はあまりない。
日本と比べると年間を通じて雨が少なく、夏と冬の寒暖の差が大きい。

近年の異常気象の影響で、夏には最高気温が35℃に達することもあるが、冬は最低気温がマイナス10℃以下になることもある。
ペーチの年間降水量は610㎜ほどで、毎月30~80㎜ほどの雨が降る。
ハンガリー観光のベストシーズンは春から秋にかけての5~9月で、7~8月は旅行者で最も混雑する。

夏は6~8月で、6月頃から気温が高くなり、日中は30℃を超えることも珍しくない。
7~8月は異常気象の影響で35℃を超えることもある。
また、日照時間も長くなり、20時を過ぎても明るいほど。
しかし朝晩は気温が下がるので、薄手の上着があるといいでしょう。
ペーチの6~8月の平均最高気温は25℃前後で、最低気温は14℃前後。

12~2月は本格的は冬となり、日中でも最高気温は5℃を下回る。
1~2月は各地で雪が降り、最低気温は10℃以下になることもある。
深い霧が出る日も多くなり、朝晩はかなり冷え込むので防寒対策が必須となる。
ペーチの12~2月の平均最高気温は3℃前後で、最低気温はマイナス2.5℃前後。

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日本からのアクセスと行き方


現在、日本からハンガリーへの直行便はなく、最低1度は近隣諸国で乗り換えが必要になる。
一般的な経由地はパリ、フランクフルト、ヘルシンキ、アムステルダム、ウィーンなどで、これらの都市からブダペストのリスト・フェレンツ国際空港まで所要90分ほど。
日本から上記の都市までは所要12~13時間ほど。

空港からブダペスト市内への移動について

空港からブダペスト市内までは約24km離れており、エアポート・シャトルバスやエアポート・タクシーを利用するか、もしくは市バスで駅まで向かい、地下鉄を利用して市内に向かう。

ブダペストからペーチへは、東駅(Keleti-palyaudvar)から2時間に1本でている鉄道か、ネープリゲト長距離バスターミナル(Népliget autóbusz állomás)から1~2時間に1本でている長距離バスで向かう。

このバスターミナルはネープリゲト駅(Népliget)に隣接している。
ペーチまでの所要時間はどちらも3~4時間ほどだが、料金はバスの方が少し安い。

  • エアポート・シャトルバスで市内へ向かう
    到着ロビーのエアポート・シャトルバス受付カウンターでチケットを購入して利用する。
    空港から市内までが3つのエリアに分けられており、下車するエリアによって料金が異なる。
    ある程度乗客が集まってから出発するので待たされることもり、出発すると空港から目的地が近い順に乗客を降ろしていくシステムになっている。
    公式サイトはこちら。
    エアポート・シャトルバス
  • エアポート・タクシーで市内へ向かう
    フォータクシー社(Fotaxi)が空港公認のエアポート・タクシーとして運行している。
    料金はメーター制で、市内中心部までの料金は6000~7000Ftほどが目安。
    公式サイトはこちら。
    Fotaxi
  • 市バスと地下鉄で市内へ向かう
    空港ターミナル2A前から市バス200E番で終点のクーバーニャ・キシュペスト駅(Kobanya-Kispest)まで行き、ここから地下鉄M3でデアーク・フェレンツ広場駅(Deák-Ferenc-tér)へと向かい、ここで地下鉄M2に乗り換え東駅へと向かう。
    もしくは地下鉄M3でネープリゲト駅まで行き、ここからバスターミナルに向かう。
通貨と言語とビザについて

ハンガリーの通貨はフォリント(Forint)で、紙幣と硬貨が流通している。
公用語はハンガリー語だが、観光地などでは英語が通じる所も多く、ドイツ語も比較的よく通じる。
シェンゲン協定加盟国であるハンガリーへの入国は、90日以内の滞在であればビザは不要。
パスポートの残存有効期間は、ハンガリー出国予定日から3ヶ月以上必要。
シェンゲン協定に関しての詳細はこちら。
シェンゲン協定加盟国への入国

気候に関してはこちら
ハンガリーの気候とベストシーズンと年間行事

基本情報はこちら
ハンガリーの基本情報

ハンガリーのその他の世界遺産に関する情報はこちら
ドウナ河岸、ブダ地区及びアンドラーシ通りを含むブダペスト
パンノンハルマのベネディクト会修道院とその自然環境

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