テッサロニキの初期キリスト教とビザンティン様式の建造物群(エゲの古代遺跡) 観光情報まとめ

世界遺産の概要


ギリシャ北部に位置し、首都アテネに次ぐ第二の都市テッサロニキは、政治や経済、商工業の中心地として繁栄し、約1000年続いた中世ビザンティン(東ローマ帝国)時代の面影を色濃く残す街である。
紀元前315年、古代マケドニアの都市として、当時の王カッサンドロスにより創建されると、テッサロニケという王妃の名を取って、この都市を“テッサロニキ”と名付けた。

紀元前168年以降、古代ローマ時代に港と街道を有する交易都市として栄え、この地を訪れた使徒パウロがキリスト教を布教すると、教会が設立されキリスト教伝道の中心地となる。
5世紀、中世ビザンティン時代にコンスタンティノープルに次ぐ第二の都市となり、アヴァール人やスラブ人、アラブ人との争いを繰り返しながら発展したテッサロニキは、15世紀のオスマン帝国時代になっても、交易の中枢を担う都市としてさらに繁栄していく。

これらの時代から現在に至るまで、様々な民族との抗争、そして地震や火災などに見舞われたが、今なお残る当時の貴重な歴史的建造物は、“テッサロニキの初期キリスト教とビザンティン様式の建造物群”として1988年に世界遺産に登録された。

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テッサロニキの町について


湾に面したニキス通り(Nikis)

テッサロニキはテルマイコス湾に面し、湾の北側にある丘陵地帯との間に広がっている。
湾に面して延びるニキス通りの中央には、アリストテルス広場(Aristotelous Square)という大きな広場があり、ここではイベンドなどが催され、周辺にはカフェが立ち並んでいる。
広場から湾に沿って通りを1㎞ほど東へ行くと、右側にホワイト・タワーが、左側に北ギリシャ国立劇場があり、さらに進むとアレクサンドロス大王の騎馬像がある広場に着く。

ツィミスキ通り(Tsimiski)

ホワイト・タワーから湾を背にして200mほど進むと、ツィミスキ通りと交わる。
この通りを右に曲がると50mほどで右側に観光案内所があり、ここから400mほど進むと右側にテッサロニキ考古学博物館が、さらに200mほど進むとビザンティン文化博物館がある。
その一方で、ツィミスキ通りを左に曲がると、通り沿いに銀行やショップが立ち並び、人々で賑わうこの通りを1.5㎞ほど行った辺りに空港からのバスの停留所がある。

エグナティア通り(Egnatia)

ツィミスキ通りと交わった所からさらに700mほど進むと、エグナティア通りと交わる。
この通り沿いと周辺には古い教会が多く、左に200mほど進むと右側にガレリウスの凱旋門があり、ここの路地を右に入ると大きなロトンダが見えてくる。

凱旋門から900mほど進むと右側にパナギア・ハルケオン教会があり、ここからさらに500mほど進むと空港行きのバス乗り場がある。
このバス乗り場から1㎞ほど行くとテッサロニキ駅があり、駅からさらに2.5㎞先の町外れにマケドニア・バスターミナルがある。

アテネ行きなどの長距離バス、テッサロニキ近郊や郊外へのバスは、全てこのマケドニア・バスターミナルから発着する。
ツィミスキ通りやエグナティア通りのバス停、テッサロニキ駅前のバスターミナルからマケドニア・バスターミナル行きのバスが出ている。
公式サイトはこちら。
Macedonia Intercity Bus Station

アギウ・ディミトリウ通り(Agiou Dimitriou)

エグナティア通りと交わった所からさらに500mほど進むと、アギウ・ディミトリウ通りと交わる。
ここの正面には墓地があるが、この墓地の左側の緩やかな上り坂の路地を上っていくと、左側にかつての城壁が見えてくる。

この城壁に沿うように坂道を進んで行くと、上りきった所にピルゴス・トリゴニウ(pirgos trigoniou)という大きな見張り塔が建っている。
この塔はTrigono Towerとも呼ばれ、ここからはテッサロニキの町を一望できる。

墓地からこの塔までは、距離にして約800m。
また、墓地を正面に見て、アギウ・ディミトリウ通りを左に曲がり900mほど進むと、右側にアギオス・ディミトリオス聖堂がある。

主な見どころを巡る観光バスが便利

点在する見どころを効率よく回るのに便利なのが、テッサロニキ市内の主な見どころを巡る観光バス。
このバスは市内の見どころ8ヶ所を約80分で巡るバスで、約40分ごとに運行されている。

出発点と終着点はともにホワイト・タワー前で、途中で乗り降り自由なので利用しやすい。
8ヶ所の見どころの中で気になる所があれば、バスを降りてゆっくりと観光し、約40分ごとに来るバスで次に向かうことができる。

チケットは出発点のホワイト・タワー前で販売されているが、乗車時にバスで購入することもできる。
つまり、出発点でチケットを購入して乗車しなくても、ルート上の8ヶ所の好きな所から乗車し、その際にチケットを購入すればバスを利用することができる。

チケットは€10で2日間有効。
観光バス会社の公式サイトはこちら。
Sightseeing Thessaloniki

テッサロニキの見どころ


ホワイト・タワー White Tower

15世紀にヴェネツィア人によって造られた防壁の一部で、現在は7階建ての内部がビザンティン博物館として公開されており、最上階は展望台にもなっている。
18~19世紀には牢獄として使われ、多くの人がこの場所で処刑されたことから、かつては“血塗られた塔”とも呼ばれていた。
開館時間は8:30~15:00、入館料は€3、定休日は月曜。
公式サイトはこちら。
White Tower

ガレリウスの凱旋門 The Arch of Galerius

ガレリウス皇帝率いるローマ軍とササン朝ペルシア軍の戦いで、ローマ軍の勝利を記念して303年に造られた凱旋門。
立派な造りのこの凱旋門の表面には、戦いの様子や勝利を称えるレリーフが彫られている。

ロトンダ Rotonda

ガレリウス皇帝の霊廟として306年に造られたもので、世界遺産に登録されている建造物群のひとつでもあるこのロトンダは、凱旋門と並んでテッサロニキで最も古い建物。
その後、400年頃にキリスト教の教会として手が加えられたことから、聖イオルギオス教会とも呼ばれている。

大きな円形のロトンダは全体がレンガ造りで、それを木造のハリで支えるという独特の構造をしており、トルコ時代にモスクとして使われていた時のミナレット(尖塔)が現在も残されている。
内部の天井には5世紀頃のモザイク画が描かれ、中央の正面には9世紀頃のフレスコ画が描かれている。
開館時間は8:00~15:00、入場無料、定休日は月曜。

パナギア・ハルケオン教会 Panagia Chalkeon

レンガ造りのこの教会は、11世紀に造られたビザンティン様式の教会で、世界遺産に登録されている建造物群のひとつである。
現在もキリスト教の教会として使われ、信仰する人々の心に安らぎを与えている。
開館時間は7:30~21:30、入場無料、定休日はなし。

アギオス・ディミトリオス教会 Agios Dimitrios

ビザンティン時代の初期である5世紀に、テッサロニキの守護神ディミトリオスが殉教した場所に造られた教会で、ギリシャ最大の教会であり、世界遺産に登録されている建造物群のひとつでもある。
1917年に火災で大きな被害を受けたが、出来る限り焼け残った資材を用いて再建された。

内部には祭壇があり、その両側には7世紀に描かれたモザイク画が飾られている。
中央の大理石でできた水盤はディミトリオスが殉教した場所だといわれており、毎年10月26日には殉教したディミトリオスを追悼する盛大な式典が行われる。
開館時間は7:00~22:00、入場無料、定休日はなし。

テッサロニキ考古学博物館 Archaeological Museum

テッサロニキが位置するマケドニア地方と、その南東のハルキディキ半島からの出土品などが展示されているが、展示物は時期によって異なる場合がある。
壁画やモザイク画、陶器や彫刻、貴金属の装飾品など様々なものが展示されている。

開館時間は9:00~16:00、定休日はなし。
入館料はこの博物館のみは€6、ビザンティン文化博物館と共通は€8で、どちらも当日のみ有効。
また、毎月第一日曜と、11月1日~3月31日の日曜は入館無料。
公式サイトはこちら。
Archaeological Museum

ビザンティン文化博物館 Museum of Byzantine Culture

主にマケドニア地方とその周辺で発掘された、4~19世紀の美術品が展示されている。
館内には11の部屋があり、モザイク画やフレスコ画、イコンや装飾品などが年代別の展示されている。
開館時間は8:00~20:00、冬期は月曜は10:00~17:00、火~日は8:00~15:00、定休日はなし。

入館料はこの博物館のみは€4、テッサロニキ考古学博物館と共通は€8で、どちらも当日のみ有効。
また、毎月第一日曜と、11月1日~3月31日の日曜は入館無料。
公式サイトはこちら。
Museum of Byzantine Culture

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テッサロニキ郊外の見どころ


ヴェルギナ Vergina

テッサロニキの南東70㎞ほどの、ベルミオ山のピエリア山の間にある位置する小さな町。
古代マケドニア最初の都として繁栄したヴェルギナは、当時はアイガイ(Aigai)という名で呼ばれ、現代ギリシャ語では“エゲ”と発音する。

この地が特に注目されたのは1977年、テッサロニキの考古学者マノリス・アンドロニコスにより、マケドニア国王フィリッポス2世の墳墓が発掘されてからのこと。
この墳墓からは、武器や装飾品、紀元前4世紀頃の絵画、マケドニアを象徴する太陽の紋章が描かれた黄金の納骨箱など様々なものが発掘された。

他にもこの周辺では、パラティッツァ宮殿跡や20以上の墳墓が発掘されている。
これらの貴重な古代マケドニアの遺跡は、1996年に“エゲの古代遺跡”として世界遺産に登録された。
現在はこれらものが遺跡と博物館として公開されている。

開館時間は10:00~17:00、入館料は€8、定休日は月曜。
また、11月1日~3月31日の毎月第一日曜は入館無料。

マケドニア・バスターミナルでヴェリア(Veria)行きに乗り、ヴェリアでヴェルギナ行きに乗り換える。
ヴェリアまで約90分、ここからヴェルギナまで20~30分ほど。
ヴェルギナに着いたら、その道をバスの進行方向に100mほど進むと遺跡の看板が見えてくる。
また、テッサロニキ駅から鉄道でヴェリアへ行き、ここからヴェルギナ行きのバスに乗る方法もある。
公式サイトはこちら。
Archaeological Site of Aigai

ペラ Pella

テッサロニキの北西40㎞ほどに位置する小さな町で、紀元前5世紀後半に、古代マケドニアの都がヴェルギナからこの地に移され発展した。
また、フィリッポス2世やその息子アレクサンドロスといった、マケドニアの歴史に名を刻む国王が誕生した場所でもある。

20世紀に入ってからの調査で、広大なモザイクの床や紀元前3世紀の柱廊(ストア)などが発掘された。
現在はこれらものが遺跡と博物館として公開されている。
開館時間は8:00~18:00、入館料は€6、定休日はなし。
マケドニア・バスターミナルでヤニッツァ(Gianitsa)行きに乗り、パリア・ペラ(Palia Pella)で降りる。
ここまで所要40~50分ほど。

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テッサロニキの気候


地中海性気候に属しているギリシャには四季があり、基本的には年間を通じて温暖で雨も少ない。
しかし、北部の山岳地帯や南部のエーゲ海の島々とでは気候が異なり、気温や降水量に差がある。
南部のエーゲ海の島々は冬でも暖かいが、北部の山岳地帯は冬は冷え込んで雪が降る地域もある。
また、降水量は南部の方が多く、北部に行くほど少なくなる。

ギリシャ南部、マケドニア地方に位置するテッサロニキは雨が少なく、年間降水量は400~500㎜ほどで、最も雨が少ない夏は20~30㎜ほど、秋~春にかけては40~60㎜ほどの雨が降る。
年間を通じて雨が少ないので、この地域を訪れるのに雨の心配をする必要はない。

夏(6~8月)の最高気温は30℃を超えるが、朝晩は17℃前後まで気温が下がるので、東京の夏のような寝苦しさを感じることはないでしょう。
夏は雨も少なく、テッサロニキ観光のベストシーズンといえる。

冬(12~2月)の最高気温は10℃前後で日中でも寒く、朝晩は2℃前後まで冷え込み、時には氷点下に達する。
この地域は、冬になるとほぼ毎年雪が降り、テッサロニキ周辺でもスキー場がいくつも営業している。
また、春と秋は夏と冬の中間くらいの気温をしている。

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日本からのアクセスと行き方


現在、日本からギリシャへの直行便はなく、最低1回の乗り継ぎが必要になる。
一般的なのはヨーロッパの都市で乗り継ぐ方法で、日本からパリ、ローマ、ロンドン、フランクフルトまで11~13時間、これらの都市からアテネ国際空港(エレフテリオス・ヴェニゼロス国際空港)まで2~4時間。

ヨーロッパ以外では、ドバイやアブダビ、イスタンブールやドーハなどで乗り継ぐ方法があり、所要時間はヨーロッパ経由とあまり変わらない。
アテネからテッサロニキへは、飛行機、鉄道、バスのいずれかを利用する。
空港公式サイトはこちら。
Athens International Airport

アテネから飛行機(国内線)を利用する


アテネからテッサロニキ・マケドニア国際空港への国内線がほぼ毎日出ており、所要約1時間。
また、海外から直接テッサロニキへ乗り入れている国際便も多い。
空港からテッサロニキ市内までは約15㎞離れており、エアポートバスかタクシーを利用する。

エアポートバスは、ツィミスキ通り、テッサロニキ駅を経由してマケドニア・バスターミナルまで行くので、テッサロニキ市内を観光する場合はツィミスキ通りで下車しましょう。
所要30~40分ほどで料金は€2、タクシーの場合は€20前後かかる。

アテネから鉄道かバスを利用する


アテネから鉄道やバスでテッサロニキへ行くには、まず空港から約30㎞離れたアテネ市内へ行く。
エアポートバス、地下鉄、タクシーのいずれかを利用してアテネ市内へ行き、そこから鉄道かバスでテッサロニキへ向かう。

エアポートバスでアテネ市内へ行き、長距離バスでテッサロニキへ行く

アテネ国際空港内部はAエリアとBエリアに分かれているが、エアポートバス乗り場はBエリア側の到着ロビーを出た所にあり、チケット売り場もこの近くにある。
行き先により番号が異なるが、キフィスウ・バスターミナル(Kifissos Bus Terminal)行きの93番に乗る。
キフィスウ・バスターミナルはBus Terminal Aと表記されることもあるので注意が必要。

空港からここまで所要約1時間で料金は€5。
ここからテッサロニキ行きのバスが出ており、所要約6時間で料金は€43。
バスターミナルのチケット売り場は、行き先によって窓口が分かれているので注意が必要。
また、エアポートバスは基本的には24時間運行している。

地下鉄(メトロ)でアテネ市内へ行き、鉄道でテッサロニキへ行く

空港到着ロビーを出て、5分ほど歩いた所に駅がある。
ここからLine3の地下鉄に乗り、シンタグマ駅(Syntagma)まで行く。
ここでLine2に乗り換え、ラリッサ駅(Larissa)まで行く。
なお、ラリッサ駅はアテネ中央駅(Athens Central)と表記される場合もある。

ここで地下鉄からテッサロニキ行きの鉄道に乗り換える。
テッサロニキ行きは1日にだいたい6本出ていて、普通とIC(急行)がある。
普通は所要約6時間、料金は€25~35。
ICは所要約5時間20分、料金は€45~55。

チケットは駅の窓口で買うか、運営会社の公式サイトで買う。(予約も可)
テッサロニキ駅から市内へは、タクシーか駅前のバスターミナルからバスを利用する。
鉄道運営会社の公式サイトはこちら。
Train Ose

タクシーでアテネ市内へ行く

到着ロビーを出てほぼ中央にタクシー乗り場がある。
アテネ市内まで所要約40分、料金は一律€38、00:00~5:00は€54。

通貨と言語とビザについて


通貨はユーロ(€)で公用語は現代ギリシャ語だが、観光地やホテルなどでは英語が通じる所が多く、場所によってはフランス語、イタリア語、ドイツ語の方がよく通じる場合もある。
ギリシャへの入国は、シェンゲン協定加盟国での総滞在日数が90日以内であればビザは不要。
また、パスポートの残存有効期間が入国時に滞在日数+90日以上必要。
シェンゲン協定に関しての詳細はこちら。
シェンゲン協定加盟国への入国

気候と行事に関してはこちら
ギリシャの気候とベストシーズンと年間行事

基本情報はこちら
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